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「大きなかぶ」ではなくて、大きな里芋のお話」

2024年4月下旬。毎年恒例の息子プレゼン「今年の栽培計画」が行われた。
きちんとパワポで、品種名、育て方、写真もついている。
おまけにどうして育てたいか、育てたらどうしたいか、まで。
(まるで企画書です)
今年もたくさんあったのですが彼の一つの目標は、

今年は種芋の種類をやりたい

「じゃがいも、やってみたいんだよね。いつも買ったジャガイモの一部を切って、芽が出るのを待つけど、そうじゃなくてジャガイモの花が見たいんだ」
息子が喜々としていうので、こっそり検索すると、それはジャガイモからは想像できない白い華憐な花だった。

きれい~!

そしてホームセンターに行った。
私にもついてきてという時は趣味費の予算がない時、レジに来てからお財布をガサゴソ見て私を覗き込む。
店員さんの前なので、私は「良い母」に見られたいから仕方なくお金を出す。
逆についてきてほしくない、という時は、私に反対されるものを買いたい時。
今回、種付けする品種は大きなプランターと園芸土がいるというので、私に出動命令がくだされたのだった。

ところが、ちょっと時期をずらしてしまったのか、ジャガイモの種芋にはもう芽が出ていた。するとその横にあったのが「里芋」
「おうちでも気楽に家庭菜園」そんな言葉が書いてあったと思う。
品種は「土垂れ」宮城県産

ねっとりホクホク食感がたまらない。
煮物、汁物に最適です。
土垂は小ぶりな子芋を食べる品種で食べやすく煮崩れにくいのが特徴です。

https://komorebinouen.com/product-agri/69/

なるほど、まあやりたいならやらせてみよう。
しかし、その時は里芋栽培がこんなにも大変なことは知らなかった。
植えたのは2株。5月中旬。順調に育って、茎が出ては喜んでいた。

上から見た図。今にもベランダの柵を越えそうな勢い
あっという間にこの状態

6月下旬に急に気温が上がったからだろう。7月に入った途端、みるみる内に枯れて行った。

さてこの時、実は息子はアメリカに行っており、世話は私達夫婦に任されていた。
息子は詳しい説明を書いて行ったが、予測不能の天候ゆえ、こんなになるとは思わなかったらしい。
渡米直前には乾燥を防ぐ為に、土の表面にもみ殻も撒いていた。
それなのにコレ!
野菜など育てたことのない私は(まったく、誰に似たの?この趣味)と思いながら、必死で対策をネット検索した。

すると分かったことは二つ
①里芋に限らず、夏野菜は非常に水を要する。つまり、朝一回の水やりではなく、朝と午前中の2回に分けて水やりをたっぷりと行う。
②枯れた葉はこのままにしておいてもいいが、害虫にやられていたら、あっという間に他の葉にも移るので、できるならカット。

はい、やりましたよ。
真南の我が家は朝8時ともなるとベランダは灼熱。
その為、息子の学校があるわけでもないのに早起きして何度もジョウロでね。あー、スロップシンクのあるマンションにすればよかったと何度も思いました。

そして何とか夏を乗り切り、つい先日やっと収穫!

切った断面は汁気があり、息子いわく「これはおいしいよ」と
そしてなぜかコクワガタの幼虫もいて大喜び。

まずは試し掘りです。数日前にやって、里芋が育っているのを確認していたので、どんどん周囲を掘っていきます。
ところが全然、根っこに届きません。掘っても掘っても届かないので、息子は茎を持ち、揺らしながら引っ張りました。
それでも10歳の子には無理で、ついに「ママー!あれやって、小さい頃に読んだ絵本でカブをひっぱてたでしょ」
あ~あれね、ロシア絵本の「大きなカブ」なかなか抜けないカブをついには町中の人でひっぱったというお話。

私はそれを思い出し、息子のお腹のあたりをつかんで
「よっこいしょーよっこいしょー」息子が続いて「それでもカブは、じゃなくて里芋は抜けません」と笑いあってるうちに抜けました!

大きいのが親芋、小さいのが子芋です。さらに小さいのは孫芋?

早速息子がシンプルに蒸すだけという「きぬかつぎ」という料理にしてくれました。
たしかに土垂れは小ぶりで柔らかく、甘くておいしかったです。
親芋は茎に近いせいか、まだ黄緑になってる部分もあり、ちょっと硬かったかな。
それにしても子芋のおいしいこと!皮は見事にツルっと剥けるのも楽しくて。本来はみそだれを付けるらしいのですが我が家は甘味を引き立たせるために、あえて塩で食べました。

教訓「来年は親芋はもっと浅いところに埋める」

この親芋は来年も使えるからだそうです。
えっ!来年もまたやるの??今年は雨が少なく、水枯れにやられましたから、来年こそはもっと雨が降ってほしいです。
農家さんの大変さが良くわかるとともに、いつも息子ということですが、
「なんでも一から育てて工夫して食べて、創作するのは楽しい」です。

【おまけ】
実は我が家は失敗してしまったのですが、この茎の部分でパピルスという紙が作れます。それに茎の部分はズイキと言って煮たりするそうです。
味は蕗に似てるとか。
パピルスの作り方、です。お試しあれ!

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