人生という名のフルスイング①
第1章:新しい街での出会い
小学1年生のある日、父親がぽつりとこう言った。「来年、山梨から神奈川に引っ越すことになった」。ぼくは転校を告げられても、それほど驚かなかった。もともと幼い頃から父の転勤が多く、保育園だけで三つも通ったくらいだから、「またか」という気持ちが強かったのかもしれない。ただ少し、富士山が見えなくなることが心残りではあった。けれど、ぼくは小さく「わかった」とだけ答えた。
神奈川の新しい学校は最初こそ少しばかり緊張したが、ほどなくしてぼくは野球と出会った。