#4 お金持ちはどうやってお金持ちになるのか?
代表山口の書籍「新しい時代のお金の教科書」を全文掲載するこの連載。(amazonへはこちらから)
前回は、「生物種としての人間の生存戦略は、「個性」と「社会性」です。互いの個性を発揮して、分業してゆくためにはどうしてもお金というメディア(交換媒体)が必要です。」というメッセージをお届けしました。
今回は、お金持ちがどのようにお金持ちになるのか?について紐解きます。編集後記では、「21世紀、お金持ちは変わる」という山口の考察と、たったひとつの方法をご紹介します。
信用の「箱」を持て
さて、実際に現実の世界を見渡すとサラリーマン社長はどんなに大企業でも大金持ちにはなれません。不思議だと思いませんか?
その理由はどんなに社長として大きな価値を創り出してもその信用の「箱」を持っていないからです。
起業家がお金を持っているのは、最初に箱を作った人だからです。「起業するならIPO(新規株式上場)を目指せ」と言われますが、IPOは会社の株が広く譲渡されるような場に「箱」を持っていることです。譲渡売買が行われるマーケットがある。だからIPOするわけです。
起業家は、まず会社という箱を作り、その箱の中に価値を創り、それらを結びつけて事業を形作っていく。その会社(箱)の株の価値が上がっていくにつれてお金という財と化すというわけです。ただ価値を創るのではなく、株という形で譲渡可能にしておくからこそ、彼らはお金持ちになるわけです。
繰り返します。お金は譲渡可能な信用です。譲渡可能な形にするためには、仕組みから考えないといけないのです。ここにポイントがあります。
お金持ちになるかどうかは、価値を創ったかどうかということではありません。どんなに価値があったとしても役に立たないのは、譲渡可能なシステム、箱を持っていないからです。
この仕組みがわかると、世界のお金のうちほとんどが起業家・創業者からうまれる、という理由がわかります。
まとめると20世紀まではお金持ちになるには三つのステップが必要でした。
1.まず譲渡可能な「箱」を作り、2.その中に「価値」を積み上げてゆく、3.最後にその「箱」を譲渡する、ということでした。この隠された仕組みに気がついていることが大切でした。
しかし、この仕組みは、きっと21世紀には通用しないでしょう。なぜならお金そのものがまったく別のものに変わってゆくからです。そこにブロックチェーンテクノロジーの時代、つまり「記帳時代」のからくりがあるのです。それはお金を使わず、直接、価値の交換をしてすべてを記帳してゆく時代です。その話は後半でします。
ここで第1回〜第4回の要点をまとめます。
1~4回目までのまとめ
お金は記帳を起源にはじまりました。そしてお金の定義は、譲渡可能な(外部化された)信用であるということです。
また社会性と個性を軸とする人間によって、効率的な社会的取引のためにこのお金というのは重要な発明でした。
ここから言える第一章でのメッセージはお金の本質に戻ったとき、それは信用であるということであり、「お金は稼ぐのではなく、実は〝創るもの〞である」、ということです。
21世紀で大事なことは、人(や国家)がつくった二次的な生産物であるお金をもらう、というスタンスではなく、自分が自らお金(信用)を創り出すということなのです。
そして、もう一つ。人間にとってお金が大事な理由です。
この世界に万能なスーパーマンは存在しませんし、存在してはならない。なぜなら人間とは個性と社会性の二つをもって分業し合うことで繁栄することを生存戦略とした生物種だからです。
ですから人生の早いタイミングで自分の個性(天才性)を見つけ、それを際立たせ、そこから決して意識のポジションをずらすことなく伸ばし育てていきましょう。そしてその自分固有の能力を人と分かち合い互いに分業しましょう。イチローのように。そうすればあなたは社会において特別な存在ではないが特殊な存在になりえるのです。大丈夫。この世には、コモディティ(一般性)な人間など一人もいないのです。
では、記帳として始まったお金は、その後どういう風に発展していったのでしょうか。次回からは、お金を二つの要素に分け、定義と変遷について述べてゆきます。
(本文:山口揚平「新しい時代のお金の教科書」)
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<編集後記>
「20世紀までのお金持ちのなり方は、まず譲渡可能な「箱」を作り、その中に「価値」を積み上げてゆく、最後にその「箱」を譲渡するという順番である。」というのが今回のメッセージです。
そして、21世紀お金の稼ぎ方は変わります。
これは言ってみれば、「皆が“上場”している社会」ということである。facebookやtwitter、その他のSNS、あるいはライフログみたいなものも含め、個人の信用が「可視化」される社会では、そこに参加する人すべてに、「株価」がついている。単なる評判ではなく、個人の「株価」と敢えて言ったのは、クラウドファンディングなどの手段を通じて、即座に個人の信用を、現実の「マネー」へと換金することも可能になっているからだ。つまり、マネーと信用とのスイッチが容易にできるということだ。多くの人が気づき始めているが、この社会において大事なことは、お金を持っていることではない。信用を持っていることである。
価値を積み上げ、お金に変えるという方法から、信用をお金の変換するという方法へとお金の稼ぎ方が変わっているのです。山口の前著で紹介した、お金のピラミッドを見てみましょう。
今までは、個人は価値からお金を生むマネタイズの方法しか取ることができませんでした。お金の信用の母体は国家でしたから、信用からお金をうむキャピタライズという方法は、国家がお金を刷るしか手がなかったからです。
しかし、ブロックチェーンという自立分散型のシステムの導入によって、個人の信用が正確に可視化される時代が来ています。信用からお金を生む(キャピタライズ)、というの方法を誰でも取れる時代なのです。
価値→お金:自分の能力を提供し(外部化し)お金を稼ぐ
信用→お金:信用を貯め、必要な時にお金に変換する
ですから、ここで重要になるのは、信用を積んでいくということです。信用の積み方は今までに述べた通りです。
お金を稼ぐのではなく、信用を創ること。ここまで一般化されると、信用の創り方がたくさんあることは気づくのではないでしょうか?
youtuber、ブロガー、instagramarはその方法の一つにすぎません。会社にいるから、個人事業主だから関係がないというわけではないのです。
あなたはどんな風に信用を積みますか?
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