#8 3分でブロックチェーンをざっくり理解する
「新しい時代のお金の教科書」が1話無料で読めるマガジン。前回は「貨幣の本質的な問題は、格差ではなく文脈の毀損である。」という話でした。
今回は、お金の変化を促す技術という流れをみていきます。編集秘話では、仮想通過のニュースで見るべき観点について触れていきます。
空間から時間へ —インターネットと双璧をなす革新技術
お金にまつわる技術、ブロックチェーンの話をみていきましょう。
今話題になっているビットコインとはBが大文字の方は仮想通貨、そして小文字の方はブロックチェーンという技術のことを指しています。
ビットコイン(Bitcoin)の価格が上がるかどうかは、まず第1にその信用と汎用、つまり利用者と利用場所の拡大にかかっていますが、第2に、さきほど述べた国家とネットワークの二つの層の戦いでもあります。
そういう意味では国家の発行する法定通貨が弱くなるほどビットコインが強くなるでしょう。
ビットコインのような無国籍通貨というのは、中央銀行と国家にとっては厄介な存在です。なぜなら無国籍の通貨の発行と対応しなくてはならないからです。そうすると秩序が保たれないからです。 ブロックチェーンの本質は分散台帳にあります。
ブロックチェーンについては、その本質をしっかり知っておくと良いかもしれません。
まずインターネットとブロックチェーンは別ものだということです。
その違いを説明するのは難しいですがトライしてみましょう。例えば、AさんとBさんがいます。Aさんの100万円がBさんに移る時、どうするでしょうか?
インターネットでは、Aさんの口座からBさんの口座にデジタル上のネットワーク(TCP/IP規格)を通ってデータが流れます。デジタルデータですから当然コピーが発生する。Bさんの口座に100万円のデータが表示されたと同時にAさんの口座からその金額を消さなければならない。これはわかります。
ではブロックチェーンとは何か? 今度はパラパラ漫画を思い浮かべてください。
ブロックチェーンではデータは「移動」しません。まず一枚目の紙にはAさんの口座に100万円が書いてあります。Bさんにはなにもなしです。しかし二枚目をめくるとあら不思議、Aさんの口座にはなにもなく、Bさんの口座に100万円と書いてある。パラパラ漫画やアニメの仕組みとはパラパラとセルをめくるとあたかも動いているように見えます。しかし実際には動いていない。視覚のトリックです。ブロックチェーンも同じです。
これはAさん、Bさんの取引を記帳したわけです。そしてその世界中の膨大な取引の記帳を十分ごとに記帳し続ける。その記帳の束(ブロック)が連なっている(チェーン)から、ブロックチェーンなのです。
インターネットが世界をデジタル化して、コミュニケーションを加速させる技術なら、ブロックチェーンは、世界を「上書き」し続ける技術です。
インターネットと同じインパクトをブロックチェーンが持つといわれるのは、前者は空間を広げ、後者は時間を刻むからです。
いかがでしょう? 少しだけでも仕組みがわかるといいのですが。
お金を取り巻く大きな変化は、インターネットが広げきった空間から、ブロックチェーンが刻む時間へとシフトしていることです。
時間はこれからのお金を語る上で重要なテーマとなりま。本書では仮想通貨の次に来るのは、時間通貨であると後ほど述べます。
(本文:山口揚平「新しい時代のお金の教科書」)
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<編集秘話>
今回のメッセージは「 インターネットが世界をデジタル化して、コミュニケーションを加速させる技術なら、ブロックチェーンは、世界を「上書き」し続ける技術である。」でした。
さて、編集後記では最近のニュースにこの内容を掛け合わせたらどうなるの?という話を少し書いてみようかと思います。
仮想通貨のニュース、最近多いけど正直よくわからない…と思うことが多いのではないでしょうか?
(つづく…)
仮想通貨のニュースを見るときに意識したら良い点は、2つです。
1. 仮想通貨の信用とは、技術の強度つまり個人の相互監視を母体としており、すべての信用を担保する機関は存在はしない
非中央集権とは、リスクも信用も分散させるということ。ブロックチェーンは記帳の束を繋げることで相互監視を実現し、誰も嘘がつけないことを通して信用を担保した。これはつまり、技術の強度が大前提だということ。
今回の取引所ニュースのように、ハッキングされ技術的な問題が出れば、その信用は実態を失うのです。
2.仮想通貨の価値とは利用者と場所の拡大によって担保されており、国家vsネットワーク化された超国家という縮図によって価値が上がる
信用がその母体から離れれば離れるほどに、お金の信用の安定性はゆらいでいきます。
得体の知れない仮想通貨、国発行する通貨とは全く別の性質を持つものだということを念頭に置いて、ニュースを見なければ、よくわからない…と思うことが多いのではないでしょうか?
(編集後記: 大西 芽衣)
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