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みんなと私の『動機づけ面接』ーークライエントとの同行二人指南(18) 『12の障害ってそもそも何の障害?』
(写真は地図らしい。×印は宝があるのではなく、通れないのだと言う)
よく聴く
仲間のトレーナーの動機づけ面接オンラインサロンの勉強会に参加したのをきっかけに、記事の続きを書くことにした。
【よく聴いて、まとめて言う練習】
・2人1組になる
・お互いに2分間話す
↓
・互いに要約する
(要約はその都度やらないと、最初に聞いた人が忘れてしまうかもしれない)
よく聴くことがカウンセリングであるとは言われる。さて上のような練習をしてみた方へ。「よく聴く」ことはできたであろうか?
よく聞かない
英語の勉強をしない子の親の例を考えてみる。子供は中1で、居間で寝そべってテレビを見ている。たしか明日は学校で英語のテストがあるはずである。親がなにか言おうかと迷っていたところ、
「明日の英語、やべーなー」
親に間違い指摘反射が起こる瞬間である。
「そう言っていながらやってないじゃない」「矛盾しているでしょ!」
言い争いが起こり、嫌な空気になるかもしれない。家庭でありがちなことである。
さて、共感するためには、相手の身になってみることが役に立つ。たとえば、
1. 自分は子の役になり、誰かに親の役になってもらって同じセリフを言ってもらう。
2. どう感じたかを語り合う
なんてエクササイズが役に立つだろうか。
ただ、この程度のエクササイズでは今さら物足りないと言うプロの援助職がいるかもしれない。現場ではもっとべつな話題を扱っているわけである。じゃあどうせ言われる人の立場になってみるならば、いっそ自分がクライエントにかけている言葉を仲間に言ってもらい、それを聞く機会を作ってみるのもよいか?
トーマス・ゴードンの12の障害
「トーマス・ゴードンの12の障害(ロードブロック)」とは、傾聴はでないものである。
カウンセラーがたとえばこの中のものを使うとしたらこんな感じだろう。
・非難:「まだ禁煙しないんですか?」
・説得:「タバコをやめれば食事がおいしくなりますよ」
12の障害を使わないのは難しい。「これが全部ダメっていうけど、じゃあなにを話したらいいの?」と言った人もある。それでもこれがコミュニケーションにおいて致命的になるのだ。その理由は?そもそも12の障害と言うがなにが障害されるのだろう?12の障害という言葉を使う人は多いが、これらのことをしっかり整理して理解しているだろうか?
クライエントは、自分で迷いながら解決する力を持っている。動機づけ面接の枠組みで述べると、12の障害は、「クライエントが解決に至る考えの道筋を障害しうる」と言い表せる。
カウンセリングの本質は触媒として関わることである。回復や解決の過程を、促進するのだ。12の障害は、回復・解決を、遠回りさせうる。させうるだけだから、絶対にダメというわけではない。その証拠に12の障害には「質問」もある。尋問でなくても、質問が回復を遠ざけことがある。一方で、「開かれた質問」は動機づけ面接の有効な技法のひとつでもある。
12の障害は、ここぞというときには動機づけ面接においては使ってもよいのだ。使ってはいけない、という誤解が多い。
ただ、それよりもよい対応があるから、それによってコミュニケーションを重ねていくことを推奨するのである。
それはなにか?動機づけ面接の言葉を使うなら、12の障害でないものは「聞き返し」の範疇に入るものだけである。その本質は共感である。
なんと「賞賛・同意」も12の障害のひとつである。トーマス・ゴードンがそのような、一見関係を良くしそうなものまでもを障害に加えたことが優れていると私は思っている。
「賞賛・同意」は、相手の話していることを正確に理解するためのコミュニケーションではない。触媒するというのは、相手が迷いながら進む歩みを確かなものにする手助けをするということである。いずれかの決断への肩入れをするのは、それを踏まえた後でもよい。
「受容しろ」「傾聴しろ」とは援助者が耳にタコができるくらいに聞かされる言葉だが、ただ傾聴しろと言われても難しい。なんだか心持ちの問題かと思えてしまう。そうではなく、まず傾聴でないものを知りそれを避けること、次に「聞き返し」という技術として理解することでやっと具体的なやりかたのイメージが湧くものではないかと思う。
2021/9/30 Ver.1.0
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