都々逸 艶と洒落
都々逸でございます。「どどいつ」と読みます。
基本的には「七・七・七・五」の音で構成されるんですが、もうちっとうるさく言うと頭の七は「三・四」が好ましくて、次の七はそれと対称に「四・三」が好まれます。でも、促音・長音は字余りが許されがちになるとか、字足らずはあまりないとか、この辺はリズムで良かったり悪かったりが決まります。
また、これらの音に加えて頭に五音がつくときもあります。
和歌や俳句と違うのは「あたしゃ」「ちと」みたいなくだけた言葉、「主」みたいな花魁が使う言葉なども入り、より普段使う言葉に近いところです。
さて現代の在原業平、あるいはシラノ・ド・ベルジュラクこと自然対数乃亭吟遊がちょいと都々逸を作ってみましたので御覧あれ。
艶な話をそうとは言わずに匂わせるタイプの唄編
来たね。こっちのほうがほんとは難しい。
慣れぬ寝床に目覚めも早くひとり飲んでるぬるい水
櫛のひとつも落ちてはおらず温度差のある敷布団
眼鏡姿を初めて見たと言ってるあなたが見えていず
果てたはずでもあなたは起きる光るPC壊したい
御苑で乗らずに新宿行って地下で御苑をまた過ぎる
「帳尻合わせ」と回数券をくれた事情を推し量る
息を切らせた男が朝にコンビニで買う除光液
たまたま課長が駅名言ってなぜかふたりが固くなる
トリプルミーニング編
掛詞なんていうダブルミーニングくらいなら簡単。ということでトリプルミーニング(以上)の唄を考えてみた。
手始めに
とけてしまったハートの形粋なかいとうエレガント
救ってあげてもあなたはよそへあたしはあたしの恋したい
次はくだらないよ。
願はないけどでも神社ない? 参る参らんしょうがない
せっかちなんだよ江戸っ子だもの頼まれなくてもすぐに行く
早撃ちマックの異名を取った仕事のできるお兄さん
松茸でいいと女に言われ後のつきあい考える
通いつめたは不純な動機貴女に心をつかまれる
五・七・七・七・五で行けば
消防士家庭取るのか仕事を取るか迷わず答えたかじを取る
「26時よ、おやつをくれ」とサーティーワンではない女
スキと言ったらスキ返されてそのスキにまたスキしたい
駄洒落に頼るばかりが能じゃない。
昔笑顔で接してくれた今じゃすっかり怖い女(ひと)
パンの白さに葡萄の赤をつけて覚えた生の咎
センス見たくておねだりしたらやすい御用といい男
by 自然対数の底、いや、亭 吟遊
2020/7/15 Ver 1.0 2020/7/16
さて、どうしてこんなのを作ろうという気になったかって? 姐さんから「司令」もしくは「指令」あるいは「死霊」が届いたからですよ(ハハ、最後の最後だけ下手だったね。姐さん生きているし)。
って、あれ?ああっ!また
「聴いてみたい」
ってあるー!
三味線弾きを呼んでくるかねえ。っていうか、季節毎に、noteで都々逸のサークルにするのもアリかもねえ。ボソ。
都々逸で落語しちゃったのはこちら。
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