第1回ノートノベリスト詩詠み会 数学短歌 『願い』
↑こちらの企画に参加しています。
兼題が「願い」です。そこで今回私は数学短歌をお送りします。
数学をしていると、願うことがしばしばあります。それは
「この問題解きたい!」
です。ほぼそれに尽きます。
ただの計算だって、サクサク解きたいし、できるだけ計算を少なくしてミスの少ないように解きたい。小さな問題もさっさと解きたい。証明問題なら、最初から最後までをうまく繋げたいし、その過程で「まずは必要条件から示したいなー」「あー、ここはさみうち使えないかなー」「鳩の巣使いたいなー」などといった願いに溢れかえります。
中にはもっともっと大きな願いがありまして、「有名未解決問題を解きたい!」という願いの中には、「ロックでビッグになるぜ!」なんて夢なんかハナクソほどに簡単に思えるほどの大願もあります。
つまるところ皆「エレガントに解きてー!」と思っているわけでありますし、この世に知られる定理は皆その願いの成就したものでありますから、数学と願いは切っても切れないものなのであります。
それでは世界初(?)数学短歌の世界をどうぞご堪能ください。
(各短歌はどれも、有名な定理・問題・予想等を歌っています。数学に詳しい方には当てる楽しみもあるでしょうから、ここではしばらく答えを書かずに置きましょう。ただ、私がすでにその定理等に関連する数理落語やエッセイを書いたものについては、リンクを貼って飛べるようにしてあります。それ以外については、コメント欄等でいずれ種明かしするかもしれません)
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xとyの三乗足し合わせ式変形を始めたあの日
機器がすべて四色で地図を塗り分けた目的地一つ失う学徒
切って分けずらして合わす錬金術ビスケット増えるポケットが欲し
ロケットを飛ばす伊藤の公式でマーケットもまた青天井に
非合理なものと複雑なるものが足して無に帰すものに繋がり