🇫🇷⑯アオサギとツインレイ

鳥類公園に入ると、フラミンゴより先にアオサギがいた。

アオサギだ…
アオサギは私にある人物を思い出させた。

2023年3月
「コロナも終わったし、今年はエジプトに行こうと思ってる」
そう言う私にミナさんは
「エジプトは来年行きます」
と呟く。
「来年？今年行こうと思ってるんだけど」
「…行ってもいいですけど…エジプト人と合わなくて…すごく真面目で…」
「真面目？エジプト人が？」

エジプト人が真面目とか聞いたことない。
吉村作治だって、エジプト人は見てないと働かない、って言ってたし。

この話のオープニングにも登場したミナさんは、もう一度言うと霊媒師。

そして去年、エジプトに行った私は、ギリシャの女神の名前を冠する場所で、ある人と出会った。

彼は私を見るなり息が止まったかのように驚いて、胸を押さえて横を向き、大きく深呼吸した。
私から見ると、まだ男の子と呼べるような若者なのに、エックハルトトールのような雰囲気をまとっていて（この子、こんなに若いのに悟ってるのかな？）というのが私の最初の印象だった。

自己紹介をするとお互いのニックネームがほとんど同じ音で「似てるね」と彼が微笑んだ。
さらにエジプトに行く前、私がある人を想定して何度も送っていたメールの返信を彼がしていたこともわかった。

エジプトはキツイ浄化の旅だった。
彼に会うとそれは加速された。私は常に怒りの炎に包まれていて彼を戸惑わせた。

次の場所に移動してからもトラブル続きで、私は彼に当たり散らした。
「今どこにいるの？すぐそこに行くよ」
と言う彼に
「なんで来るの？来なくていいよ」
と言って振り払うように飛行機に乗り、より遠くへと移動した。
ずっと年下なのに、なぜか父親のように振る舞う彼が鬱陶しかった。

しかし、日本に帰ってツインレイ関連の動画で埋め尽くされたYouTubeのおすすめを見た時、もしかして彼は私のツインレイなのではないか？という思いがわいてきた。

「私、エジプトでツインレイに会ったでしょうか？」

ミナさんに聞いてみた。
「その人とは前世で夫婦だった。エジプトで2人で農業をやっていて…」

「そんな都合のいい前世は却下。そんなこと言ってたら前世なんていくつあっても足りないし、そもそも5回しか生まれ変わっていない私の前世はすでに一杯。じゃあ質問を変えます。前回ミナさん私に、エジプトへは来年行くって言ってたけど、また行きますか？」

「やり残したことがある」

「やり残したこと？確かにイシス神殿には行けなかったけど、そのためだけに行くとしたらコスパ悪すぎる」
ミナさんは何も答えない。

「行くとしたら春かなぁ」
「もっと遅く。できるだけ遅く」

「アオサギがいるよ」
会社帰り、普段挨拶しかしたことのない近所のおじさんが、通りがかった私にそう話しかけた。
「ほんとだ！白じゃない」
家の前を流れる川を覗き込むと、見たことのない鳥がそこにいた。
その川には最近鴨の親子をはじめ、シラサギやカワセミが住み着いて、望遠カメラを覗き込む素人カメラマンが集まることがよくあったけど、アオサギは初めて。

東京のアオサギ

アオサギについて調べると、とても縁起の良い鳥であることがわかった。しかも古代エジプトでは不死鳥（フェニックス）の語源であるベンヌと呼ばれ、神のように崇められていたという。

私は彼にLINEしてみた。
［家の前にアオサギがいたよ。古代エジプトでは神のように崇められていたんだって］

［はい、エジプト人はこの鳥が大好き。作物を食べない鳥の1つで、虫を食べ、農民が土地をきれいに保つのを手伝うんだ］

農民とか言ってるし…

私はまた彼にLINEしてみた。
［今フランスにいるの。アオサギがたくさんいるよ］

［よかったね enjoy your holiday 🫶🏼］

よかったね、って…
単純な単語ほどGoogle翻訳は注意が必要。