ワーケーションを考える
ワーケーションとは仕事(work)と休暇(vacation)を合わせた造語で、リゾート地や観光地などの環境の良い場所で休暇を兼ねてリモートワークをする業務形態。
具体的には、テレ(在宅)ワークという働き方を推奨している会社では、従業員がわざわざ通常決められた職場に通勤することなく、勤務先や自宅以外の場所でテレワークのインフラを使って仕事と並行し休暇を取得する制度。事前に勤務場所を申請するテレワークと違い、仕事自体を旅先で行うという点で異なるようです。
もともと、2000年にアメリカで生まれた造語のようですが、ある程度個人の仕事の仕方や働き方に裁量権がある職種、比較的従業員の自由度を尊重する風土がある会社などで採用されています。
もともと成果主義のアメリカはヨーロッパ各国と比較して、有給休暇消化率が低いとされていました。そこでこのような働き方が提案され、有給休暇を取得しやすくしたという経緯があります。確かにヨーロッパはアメリカに比べると、長期で休暇をとる習慣があったり、それが法律で定められていたりするので、かなり有給休暇を取りやすい環境ではあります。
日本はかつてのアメリカ同様、今も有給休暇の取得率が低い国として名高く、古い体質の会社であったり、また業種によっては、今でもそのような状況が続いているようですね。ただ最近は政府の後押しもあり、ワークライフバランス的な考えも浸透してきているようなので、状況は少しずつ改善されていることも事実です。
ノマドワーカーとは違うの?
ノマドワーカー は遊牧民(nomad)と働く人(worker)を合わせたこれまた造語。 モバイルが普及し出したころ、スターバックス、喫茶店、公立の図書館などでよく見かけましたよね?ノートパソコンを広げて優雅に仕事をする姿。
もうかれこれ10年くらい前になるのでしょうか、そもそも職場に個人の席を設けていないとか、やはり個人に裁量権がある仕事をしているような人たちがとっていた仕事のスタイルでした。今のテレワークの場所である自宅が、スタバや喫茶店になったようなもの、また通信媒体も今のWiFiがモバイルだったと言うだけで仕事のスタイルは変わりません。
しかし、ワーケーションはどうでしょうか?
この働き方、利用方法を間違えたら「休暇中も働いて下さい!」にしか聞こえないのは私だけでしょうか。
わざわざ休暇を取得しているのにもかかわらず、リモートでパソコンをつなげて勤務ってどういうこと?と思うのです。一見、「自宅をリゾート地に変えるだけ?それなら仕事するにはもってこいの環境で、尚且つリゾート地で遊べてしまう!」と一挙両得感がありますよね。。。
でも、それちょっと待った!
今のテレワークすら仕事とプライベートとの境界線に区別がつかない状態なのにもかかわらず、更に休暇中も仕事しろ!とならないように気を付ける必要がありそうです。
リゾート地や休暇で出向くような環境の良い場所から、リモートワークをする業務形態なので、一瞬、休暇を楽しんでいるような感覚でなんとも幸せ~と思いがち。でも休暇中の仕事なのです。有給休暇を消化させるだけの目的のような気がします。
では、ノマドワーカーとワーケーションを合わせて造語を作ったら、No-Vacation(休暇無し)になりませんか? oh, noooooo~!
まさに休暇中も働け!くらいの勢いの造語です。恐ろしや~( ゚Д゚)
企業が大々的に運用を急ぐ前に、国としても労働基準法や労働者災害補償保険法(労災)の取り扱いとか、法的な整備なども見直しが必要になると思うのです。なぜなら、通常休暇中に何かあったら労災は適用されませんが、勤務中に何かあれば労災が適用されるはず。
では、この業務形態の場合はどうなるのでしょうか?
利便性だけを優先するのではなく、まず関係法令の整備を優先しなければ、また、何かあってから泣き寝入りを強いられる弱い立場の従業員が増える可能性がありますよね。
企業にとっても、労務管理の面で早急に問題点を洗い出してからの運用が望まれます。
あらゆる面で法整備が後手に回る日本と日本企業の現状、行き当たりばったりで前のめりにスタートさせるのではなく、きちんとあらゆる場面を想定し、リスク管理やシミュレーションも万全にし、企業にも従業員にもまた社会にもWin Winな状態になる運用をして頂きたいものだと思います。**********************************************************************************イラスト・写真提供元:
テレワーク / Illust AC おかかさん
ラクダに乗る人 / Illust AC acworksさん
清流・滝 / フォトマルシェ 畑田畑明紀さん
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