ほっかほっか小説くらぶ
本作品は、阿賀北ノベルジャム2020の応募作品 『おっかなびっくりスローライフ』のスピンオフにあたる連載短編です。
本作品は、阿賀北ノベルジャム2020の応募作品 『おっかなびっくりスローライフ』のスピンオフにあたる連載短編です。 最初に発作が起きたのは、中学一年生のときのだった。 いま考えると、典型的な体育会系だった。夜中に煌々とかがやく体育館でバスケットボールの練習に励み、毎日ボールが跳ねる音とシューズの滑る音に刺激されて、甲高い声をとばした。最低学年に課されるのはとにかく練習、練習、練習だ。 帰りはだいたい二十時か二十一時くらい、勉強なんてするつもりはなかった。土日に仲間内で
本作品は、阿賀北ノベルジャム2020の応募作品 『おっかなびっくりスローライフ』のスピンオフにあたる連載短編です。 地震の横揺れと船酔いを一緒にしたような、つらいめまいの発作。いつどんなときにそれがやって来るかは、わからない。 それを視界の端の端まで追いやって、私は農家の道に分け入ろうとしていた。 家業であるイチゴ農家を継ぐために、五月から「源川農園」の就農研修を始めた。 きっかけは、父が腰を痛めてしまったこと。でも、話を切り出したのは私からだった。 父は仕事の