色見本帖② 氷色 三羽さんの企画
氷色(こおりいろ)
氷はぼくの目の前の景色をことごとく歪めてしまう。とは言っても、それは光に満ちて眩しいほどだ。
君の姿ははっきり見えないし、世間のこともよくわからない。感覚のすべてが氷で固められたようにフリーズしてしまったみたいだ。
普段は見なくても構わないようなものをこの眼(まなこ)に映してリソースを消費している。
君の躍動を見てみたいと思うけど、陽炎のように霞んでいるんだ。ぼくがどれだけ情熱を注いでも、君を見る目の氷は溶けない。皮肉なもんさ、熱が作る空気の歪みと、氷が作る歪みが似ているなんてね。
そんなあやふやな像だけど、ぼくは君を見ていたいんだ。ぼくを捉えて離さない、あの時の、出会った時の感覚のままに。
氷色のイメージで小噺を書いてみました。果たしてこれで伝わるのでしょうか。
三羽さん
よろしくお願いいたします