この中にお殿様はいらっしゃいますか 毎週ショートショートnote
討 議 【410字】
「この中にお殿様はいらっしゃいますか」
というアナウンスにパラパラと手が上がった。
「申し訳ございません。石高、十万石以上のお殿様はいらっしゃいますか」
ゆっくりと手が下ろされ、残った中から3名が選ばれ、前の卓に着いた。
「これからのAIについて」というお題で討論せよということだ。
「ぼくにはユートピアしか見えないね」と一人が言う。
「ユートピアなもんか。AIに支配される未来だよ。彼らが駆動するための電力を賄うために人間の叡智が利用されるのさ」
「AIはもう彼ら自身で全てを完結できるんじゃないのかね?人類はただの添え物、そのうち駆逐されると踏んでおる」
「駆逐だって?そんなことあるものか。支配権を持っているのはずっと我々人類だよ」
討議はそんなものであっさり終了した。
「もうお殿様と呼ばれる方以外のタスクはすべてAIが担っています。次回は人類は地球にどんな貢献ができるのか、について考えてみましょう。本日はありがとうございました」
了
たらはかにさま
よろしくお願いいたします