2020年下半期お気に入り音楽
2020年下半期で良かった音楽作品です。ランキングではなく相変わらず順不同。ライブの出来ない状況というのは音楽性のトレンドにも大きく作用していますね。いつまで続くかわからない、この状況が明けた後に、また変化はあるんでしょうか。
上半期はこちらから。↓
Half Price at 3:30/Art Feynman
Spotifyのおすすめリスト聴いていて、一発でストライクに入りました。Here We Go Magicというバンドのフロントマンであるルーク・テンプルのソロプロジェクトだそうです。電子音を使ったクラウトロックやミニマルファンクな歌物で、ブライアン・イーノやデヴィッド・バーンの音楽性を受け継いでいる感じですね。エフェクトかけたギターなのか、シンセで打ち込んだのかよくわからないソロが良い。
SIGN/PLUS/ Autechre
トレンドとは全く無縁の活動を続けるオウテカの新作。突如2枚連続リリースというのも驚きでしたが、今までのイメージを覆す、聴きやすいポップな仕上がりも意外。とはいえ、普通の音楽に比べると、かなり難解ですね。オウテカの音楽って、曲になりかかっている状態の音を聴かせているような感じなんですよね。もちろん、未完成というわけではなく、それで完成形の音楽なんですけど。2枚とも、一聴したときの聴きにくさを超えると、ものすごく快感性の高い音に聴こえる不思議な作品。
maze/chelmico
アニメ『映像研には手を出すな!』のOPテーマ収録だけでも必聴でしたけど、意外と小難しいトラックのラップナンバーもあって、聴き応えある作品。もちろん、楽しいポップさは全体の空気としてあるので、何も考えずに聴くことも出来ました。今後も楽しみなアーティスト。
Sister/Ultraista
こちらもSpotifyのおすすめリストで気に入り、すぐにダウンロード。後で調べたら、ナイジェル・ゴドリッチ率いるバンドの2ndというのを知りました。遡って前作を聴くと、いかにもトム・ヨークソロの音を女性ボーカルにしただけという印象なんですけど、こちらではより独自性が強まっていて、歌メロがとにかく良くなっている印象。曲順とかの流れもかなり好みです。
Djesse vol.3/Jacob Collier
NHKの特番「おげんさんといっしょ」で、星野源と松重豊がお気に入りと紹介していて知ったアーティスト。過去作も聴いてみましたが、伝統的なソングライティングだけでなく、エレクトロ駆使、ラップまで、何でもできる人という印象。全体の音楽性としては新しいものではない印象ですが、「器用貧乏」の「器用」の部分が化物クラスなんだと思います。4部作の第3弾という今作は、伝統的なゴスペルを下地に、R&BやHIPHOPなどのダンスミュージックを上手く組み合わせていますね。
ただ、昨年末の「M-1グランプリ」で、おいでやすこがの「よく知らん洋楽を歌うネタ」見たら、それにしか聴こえなくなってしまった。
ROVO/ROVO
セルフタイトルにした時点で、傑作の自信があったと想像していましたが、確かに『RAVO』以来の大傑作アルバムでした。ソロは勝井さんのヴァイオリンが多かったイメージですが、今作は山本精一さんの怒るようなノイズギターソロが魅力。最終曲『SAI』の音がほどけてゆくようなエンディングまで完璧。
Folklore/Evermore/Taylor Swift
2020年のコロナ禍を最も象徴していた作品2作なんじゃないでしょうか。ザ・ナショナルのアーロン・デスナーとリモートワークで制作された楽曲は、華やいだポップなライブイメージとは程遠い、内省的で美しい音楽。星野源の『うちで踊ろう』と同じメッセージを、2枚のアルバムで伝えてくれているように感じました。
『Folklore』収録のM⑨『this is me trying』なんか、シガー・ロスを想起させますが、よもやテイラー・スウィフト聴いてシガー・ロスを連想する日が来るなんて、思いもよりませんでした。
We Will Always Love You/The Avalanches
パーティーダンスナンバーのイメージが強いアヴァランチーズでしたが、今作ではとても内省的で、少し哀しさを漂う雰囲気を纏っています。それでいて、しっかりと踊れる音楽ではあるというのが、非常にツボで、数年経っても愛聴し続けるアルバムと確信しています。
一人でオールナイトのクラブイベントに参加して、楽しく踊っているんだけど、知り合いがいるわけではないので、誰にも声をかけることなくほぼ会話せず朝方に帰った経験を彷彿とさせる作品。めっちゃ聴いた。
Covers/James Blake
一応、フルアルバム限定で感想書いていこうと思ったんですけど、このカヴァーEPがあまりにも良かったので入れてしまいました。元楽曲が良いというのもあるんですけど、ピアノと歌声の美しさだけで、人殺そうとしてんじゃねぇかというレベル。怖くなるくらいに感動してしまいました。
スティービー・ワンダーやジョイ・ディヴィジョンなどの古い曲だけでなく、ビリー・アイリッシュ、フランク・オーシャンなどの最近の楽曲までお構いなしに並べてカヴァーしているのが今っぽいですね。M⑤『When We‘re Order』は共作曲であるビヨンセ『OTHERSIDE』のセルフカバーてことでタイトル変えてるのかな。最終曲ロバータ・フラッタの名曲『The First Time Ever I Saw Your Face(愛は面影の中に)』まで完璧な作品。
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