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光も陰も

2017年、私は壊れた。
 
全く機能しなくなった頭と身体を抱え、微動だにすることができなくなった。力を振り絞り実家へ逃げ帰ったが、あまりこのころの記憶がない。
 
食べ物を受け付けなくなった。何を食べてもプラスチックみたいで喉につかえてしまう。両親が作ってくれたものをとても緩慢な動きで機械的に口へ運んでいた。
テレビはおろかさえずる鳥の声さえうるさくてたまらなくなり、耳と心を閉ざした。当然文章も読めない。唯一聴ける数曲でプレイリストを作り、ひたすらそれをループして聴いていた記憶がある。
森山直太朗の「生きてることが辛いなら」。これはとてもよかった。


絶望的な言葉を吐き、母を泣かせ、言葉に尽くせないほどの心配をかけた。
弟は寡黙で実家を離れていることもあり、当時はそこまで話をしなかったのだけど、のちに私が2度目の結婚をする際、モラハラ元夫に「姉貴が鬱になったとき、ほんまにこのまま死んでしまうんちゃうかって。またあんなことになったら今度こそ死んでしまうって思うんです。だから姉貴のこと、ほんまによろしくお願いします」と言っていた。思い出すだけで泣けてくる。
 
 
今の私から、当時の私に声をかけてあげたい。
死にたいほどの日々が続いているよね。周囲にも心配と迷惑ばっかりかけて、でも前みたいに戻れないそんな自分も嫌だよね。自己嫌悪に苛まれて、でも死ぬ勇気もなくて。家族がいなければ死ねるのに、とすら思ったよね。
一生懸命働き、真摯に生きることがモットーだったのに。自分の存在価値をそこに見出していたのに、生きる意味すら見失ってしまっているよね。
でもとにかく今は甘え切りなさい。そして生き延びなさい。生きた先でみんなに恩返しをすればいい。
 
そして教えてあげたい。
 
あと数年頑張って生きていれば、とても素敵な人と恋に落ちるよ。
 
彼はぶっきらぼうだけど深い愛であなたを包んでくれるよ。
無邪気で噓のつけない正直な人。くしゃっと笑う顔が太陽みたい。
そうそう、あなたのために禁煙も始める。
おいしいものが大好きで、ケーキ屋巡りやパン屋巡りにも付き合ってくれる。
今まで感じたことがないほどの安心感に包まれて、自然体の自分でいられるし、心の中はいつも温かい。
食べるものはおいしいし、聴こえる音楽も素敵、おしゃれを楽しむこともできる。
今のあなたには信じられないことかもしれないけどね。ぜんぶほんとう。
 
だからとにかく生きて。今日を生き抜いて。

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