横浜本屋巡り① 団地の中のお洒落な本屋。「BOOK STAND 若葉台」をレポート。
横浜の本屋さんを紹介していくシリーズ「横浜本屋巡り」
こんにちは、AFTER BOOK CLUBメンバーの野原たんぽぽ(@noharatampopo)です。
本好き×横浜市民が多い私たちのブッククラブ。
これからこのnoteでは、「横浜の素敵な本屋さん」をメンバーたちで紹介する、「横浜本屋巡り」というシリーズを書いていきたいと思います。
BOOK STAND 若葉台
今回紹介するのは、横浜市旭区の若葉台団地内にある、「BOOK STAND 若葉台」さんです。
2022年の8月27日にオープンした書店。
移動式本屋「BOOK TRUCK」で有名な三田修平さんがオーナーを務めています。
ここは書店の中にドリンクスタンドを併設しており、好きなだけゆっくりできる空間です。
この本屋ならではのポイント
私がBOOK STAND若葉台さんで感じた、ここにしかないポイントを5つ挙げてみます。
正直、①だけでも強烈な個性と言えそうです。
が、私がいいなと思ったのはやはり②〜④の、本屋さんの魅力に直結する部分です。
次の項で詳しく見ていきましょう。
BOOK STAND 若葉台のポイント解説
①「団地の中にある」こと。
「団地内 本屋」でGoogle検索すると、このBOOK STAND 若葉台に関する情報しか出てこない…。
それだけ、団地の中に本屋さんがあるのは珍しいことなのでしょう。
この横浜市旭区の若葉台団地には、大型スーパーがくっついているだけでなく、団地の人々が楽しく語らえるようなレストランや個人商店が軒を連ねます。
まるで団地全体が一つの街のようになっていて、その中でいろいろな経験ができる動線がある…。若葉台団地自体が個性的な場所なのです。
置いてある本も、高齢者や家族が多い団地の住人たちにも楽しんでもらえるようなラインナップが見てとれました。
②置いてある本のラインナップが個性的。
ジャンルで言えば、大衆小説や雑誌が多めに置いてあり、確かに「街の本屋さん」という感じはあるんです。
しかし、時折「この本、初めて見たぞ?」という、個性的な本やZINEがひょっこりと現れます。
いったい選書担当の方はどういった素敵な審美眼をお持ちなのだろう…と、中の人にまで思いを馳せてしまうラインナップなのです。
③新刊と古本が混在して置かれている。
私が訪問した際は、古本と新刊が混在して置かれていました。
なので、「これは新刊」「これは古本」のような先入観を持たずに、フラットな気持ちで新しい本に出会えるのがよかったです。
あとはやはり古本のチョイスが面白い。
のちほど、実際に購入した本を紹介しますので、お楽しみに。
④あまり見ないZINEなども置いてある。
「ZINE」とは、ひとことで表すと「自費出版の雑誌」です。
有志の個人や、グループが発行しており、制約が少ないぶん大衆的な雑誌よりも編集者の個性が濃く出やすいのがZINEの特徴です。
そんなZINEですが、BOOK STAND 若葉台にもさまざまなラインナップがありました。
本屋好きで色々巡っている私でも、まだ見たことのなかったZINEが置いてあり、「またここに来てZINEをチェックしようじゃないか…」という思いが湧き起こりました。
(参考)ZINEではなく雑誌なのですが、『IWAKAN』という雑誌が特に気になりました。
⑤総括すると、新しいタイプの本屋さん。
これまでのすべてをまとめると、「団地の中にあって、愛される街の本屋としての顔もしっかり担当しつつ、実は尖る部分は尖っている、ニュータイプの本屋さん」と総括できるのではないでしょうか。
ドリンクスタンドの併設や、ライフスタイルに関するグッズなども販売していたり、「本屋」という枠のみではくくれない面白さがあると言えるでしょう。
どんな本を買った?
私がこの日購入したのは、3冊の本。
左から新しい本が1冊と、古本が2冊です。
『ことばの焚き火』
前回のブッククラブのテーマが「対話」だったので、その本を探していたところで購入。
『「論破」ではなく、「対話」が処方箋。』と書いてある帯にぐっと惹かれました。
近ごろの論破ブームのような傾向に逆らう姿勢が、面白そうだなと感じたのです。
特に面白いなと思ったのは、この本には非常に余白が多くとられているというところ。
自分の感じたことを書き込めたり、また物理的な余白が、読み手の頭にもゆとりを生み出してくれるのではないかと思いました。
これはまさに「対話」のあり方ではないでしょうか。相手の意見のための、「余白」を残しておく、という筆者たちの気持ちを受け取りました。
この本はまた別の記事で紹介したいです。
(参考)Oさんが書いてくださった、「対話」の回の記事はこちら▽
『少年とアフリカ』
こちらは音楽家の坂本龍一さんと作家の天童荒太さんの対話集。
坂本龍一さんの音楽が好きな私は、ついつい手に取ってしまいました。
天童さんの作品『永遠の仔』がドラマ化される際、音楽を坂本さんが担当。その後、二人の対談本の話が進み、〈少年〉篇と〈アフリカ〉篇で本書は構成されています。
二人の会話は、社会に対する洞察に満ちており、会話に加わりたくなるくらい面白いです。
こちらの書店では古本にて¥700で購入。
『ぼくたちはなんだかすべて忘れてしまうね』
漫画家・岡崎京子さんの、唯一の物語集。
岡崎さんの作品は、「ヘルタースケルター」を読み、その世界観に惹き込まれた経験があります。
本書も、何か起こりそうな、そしてどこか壊れそうな、ただならぬ雰囲気を感じて手に取りました。
いくつかの短編や走り書きなどで構成されていて、どの作品をとっても磨き抜かれた岡崎京子イズムを堪能できます。
古本で¥600で購入しました。
この他にも、お持ち帰りしたい本が数多くありました。
本屋さんの隣にはドリンクスタンドも併設されているので、今度は1人でもっとゆっくり滞在してみようと思います。
おわりに
BOOK STAND 若葉台のレポート、いかがでしたでしょうか。
横浜で新しい本・書店に出会いたい方は、ぜひとも足を運んでみてください!
BOOK STAND 若葉台
X:@BOOKSTANDWAKABA
STORES.JP(ネット販売):https://booktruck.stores.jp/
(執筆者:野原たんぽぽ @noharatampopo)
AFTER BOOK CLUBとは
神奈川県立図書館主催の「After5ゼミ」第1期生がはじめたブッククラブ。
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このnoteでは、読書会の記録やイベント情報、また本や横浜にまつわるお話を公開しています。