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専門調査員に応募する前に確認すべき5ポイント

国際協力業界へのエントリーポイントとして、専門調査員を検討している人向けに、どのような国・公館を選択するべきかについて解説します。僕自身、数あるアフリカ公館で複数の選択肢があったので迷いました。専門調査員の経験を振りかえって、こういう基準で勤務先を決めればよかったなぁ…という点を紹介しますね。
 
まず、そもそもですが、これから紹介するポイントを検討するにあたって、現在働いている/もしくは直近まで働いていた専門調査員とのコンタクトを作る必要があります。今思うに最適な方法は、知り合いor SNSを通じて、どこの大使館でもいいので、専門調査員か派遣員として勤務している人を探すことです。誰か見つけることさえできれば、専門調査員と派遣員の大半はTeamのグループで繋がっているので、応募を考えている国の専門調査員を紹介してくれます。現在働いている/もしくは直近まで働いていた専門調査員さえ見つければ、これから紹介するポイントに沿ってインタービューをすればOKです。
 

チェックポイント1:仕事の裁量と幅(業務内容)

まずは仕事の裁量と幅です。かつての僕のように、民間企業で働きつつ専門調査員を検討している人の大半は今現在正社員だと思いますが、専門調査員は正規の外務省職員ではなく、派遣社員です。つまり、ぶっちゃけ、TORなんてあってないようなもので、どの程度の裁量を渡されるか、またどの業務内容に従事できるかは、直属の上司(政務班班長や経済班長)の意向や考えに大幅に左右されます(業務内容に関しては応募時に記載がありますが、いざ着任すると僕の場合は多少違っており不満でした)。したがって、開発関連の業務(N連、草の根、国連補正予算などに)携われるかどうかは将来転職活動をするにあたってクリティカルですので、この辺を確認すべきでしょう。なお、あまり多くはないと思いますが、JPOで平和構築関連などのポストを視野に入れている人は、政務班関連の仕事をできる公館を選ぶと良いでしょう。
 

チェックポイント2:業務量/残業時間

業務量/残業時間は、ワークライフバランスを保つ上で重要なファクターです。毎年1月や2月は日本人新年会や天皇誕生日レセプションなどで忙しい事に加え、大使の意向により業務量が大幅に変動します。他の専門調査員と話した限りでは、日本と関係が強い、または要人の往来が多い国が忙しくなると思います。
 

チェックポイント3:チーム内の役割分担

仕事の幅とも関連する事ですが、チーム内の役割分担を理解する事で、自分の業務範囲を把握する事ができます。特に、草の根委職員や経済協力調整との業務のすみ分けを知っておく事をお勧めします。草の根委職員がいる場合は、専門調査員は草の根関連の業務を任せてもらえる可能性は低いでしょうし、経済協力調整員がいる場合は、国連との調整を任せてもらえる可能性が少なくなってしまいます。
 

チェックポイント4:出張の頻度

政治上の首都と経済上の首都が別の都市にある国が、アフリカではよくあります。例えば、経済上の首都に大使館がある場合、政府機関と面談する場合はわざわざ政治上の首都に出張をせざるを得ない場合があります(じゃあ一部の重要な会議は別として、オンライン会議すりゃよくない?と民間でフルリモートだった僕は思うのですが、上司が古いタイプの人間だとコスパを意識せず出張する羽目になります…)。専門調査員の場合は、通常の国内出張の場合には、定時勤務扱いとなります。つまり、どれだけ朝早く起きてor夜遅くに帰ってきても残業代は1円も発生しません。ですので、ワークライフバランスを保つためにも、不要な出張が発生しないかどうかを見極めるとよいでしょう。
 

チェックポイント5:館の人間関係

大使館のカルチャーは、残念ながら年次に関係なくフラットに議論できるようなものでもありませんし、また、大使館の業務プロセスはデジタルの波に追従できているとは言えませんので、大使が及ぼす影響力は、企業の海外事務所所長のそれとは比になりません。大使の人格や仕事スタイルが適切かどうか(権力を理不尽に行使するやべぇ奴じゃないかどうか)は、有意義な専門調査員生活を送る上で不可欠ですので、絶対確認しましょう。また、不仲な職員同士がいるかどうかも重要なチェックポイントです。

まとめ

国際交流協会が公募する際に公表している求人票は、最低限の情報しか記載されていません。激務の公館orやべぇ大使がいる公館にうっかり身を置いてしまうと、専門調査員(大使館の職員)として働く時間が有意義でないものになりかねませんので、ネットには載っていない情報を集めるようにしたらいいと思います。