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アフリカで働くための職種一覧【大学生・第二新卒向け】

僕が学部に入学してから10年以上経ちますが、アフリカで留学やインターン(最近はビジネス系も)する人って増えた印象です。僕もそのうちの1人で、学生時代にアフリカ某国で留学・インターンを経て、すっかりアフリカに魅了されました。結果、「アフリカですぐに働きたい!」と思うようになり、就職活動をすることに…。色々あってアフリカ駐在とは全く違うIT業界で会社員をする事になりましたが、かつての僕のようにすぐにアフリカ駐在したい人向けに、僕が当時知りたかった情報を整理しました

青年海外協力隊(JOCV)

言わずと知れた青年海外協力隊。大学生の頃の僕は、学部卒でも協力隊になれる(参考になりそうなブログ)とは知らなかったので、選択肢にありませんでした…(無知)。民間企業で資料作成や事務処理、仕事のお作法を学ぶのも有意義ですが、国際協力の職種の中で最も現場に近い(困っている人との距離が近い)経験を積める協力隊は、個人的におすすめの職種です。PC隊員や保健隊員など、理系のバックグラウンドが強いイメージですが、文系出身の人でもコミュニティ開発などに就けます(僕の周りにも4人はいます)。JOCVを経験しておくと、JOCV経験者のみが参加できるUNVのスキームがありますし、開発コンサルや草の根、専門調査員など、様々な国際協力の職にもつながるので、キャリア的にも非常にいいです。
 
給料が安い以外の留意事項としては、期待値を上げすぎないことですかね。「世界を変える!」とキラキラしすぎると、お金をせびってくる援助体質(これはアフリカが悪いというより援助側のやり方の問題なんでしょうが…)とのギャップに苦しみます。また、アフリカの大半の国は男尊女卑社会です。もし大学を卒業したばかりの若い女性がアフリカの農村にいっても、セクハラおやじの被害にあうこともあるでしょう。あまりキラキラしすぎず、世界を変えようとは思わず、アフリカの現実をその身で体感し、将来の問題意識を育む・・・それくらいがちょうどいい温度感なのかなと思います。

NGO駐在員

国際協力と言えば、国連やJICAだけではなく、NGOも主要なプレイヤーです。経理や広報など色々な職種がある中でも花形の駐在員。国連やJICAの手が届きにくい草の根の人々に対して、現場レベルでプロジェクトを形成・実施できる点が最大の魅力だと思います。やりがいも相当大きいと思います。また、現地職員の"上司"として派遣されることが大半なので、国際協力の仕事に就くうえで重要なアセットとなるマネジメント経験も積めます
 
とは言え、問題は「新卒でNGO駐在員になれるのか」ということですが、不可能ではないというのが僕の答えです(僕の友人で実例あり)。ただし、戦略的な"考動"が求められるでしょう。そもそも論として、1企業からすると、フルタイムでの勤務経験がない新卒を駐在させることは、リスクの高い投資になります。ましてや、営利企業ではないNGOにとって、そのリスクはより高くなります。この問題を解決するためには、学生時代からNGOの国内事務所でインターンを始めることで顔を売りインターン駐在に漕ぎつき、さらにその後は自分の能力を発揮しつつ駐在員としてのポストを作ってもらえるようにNGOに"営業"を掛けることが必要です。したがって、学生時代からかなり先を見越して行動する勇気とバイタリティが必要です(駐在インターンを通じて能力を認めてもらっても、予算の制約からポストを作ってもらえる保証はないですし…)。
 
留意点としては、高いやりがいに伴い仕事の難易度が高いということでしょう。プロジェクトの立案・管理に伴って頻発するトラ物対処、賄賂をせびってくる汚職役人への対応、時間や納期を守らないステークホルダーとの折衝・・これらをフルタイム勤務経験のない新卒が行うことは並大抵のことではありません。加えて、一般企業と比べると給与や報酬面でどうしても見劣りします。僕はNGOで駐在インターンを経験して、NGO駐在員は素晴らしい職種だなと思っているので、数年以内に挑戦したいですね。大学時代は…戦略的に行動できていなかったので、就職活動の際には選択肢にもありませんでした…。なお、2年以上勤務している第二新卒の人からすると、比較的どこのNGOでも採用してくれる可能性があります。完全に独断と偏見ですが、AARは採用要件が緩そうかつコンスタントに募集が出ているのでおすすめです。

UNV for Youth

若手向けUNVの存在は最近友人から教えてもらい、盲点でした。僕も全然詳しくないですが、UNV(国連ボランティア)という経験者向け国連ポストがあるのですが(関連分野3年以上の人が応募するスキーム。求人はこちら)、さらに若い人向けのスキームであるUNV for Youthがあるみたいです。僕も詳しくないので求人を見たところ、職務経験がない学部卒でも採用可能性はありますので、UNV for YouthからUNVをしていくと、20代でJPO合格は再現度が高いのでは?と思ってしまいました。直接の友人にはUNV for Youthを経験している人はいませんが、大きな可能性を秘めているかと思います。こういう情報を大学生の時に知りたかった・・!

UNOCHAのHumanitarian Affairs Associate@コロンビア(link)。経歴として「人道支援領域で1年間の経験もしくは強い関心がある、かつ学士でOK」と記載しています。

アフリカ日系ベンチャー

ここ5年くらいでアフリカスタートアップ盛り上がってますよね。新卒アフリカ駐在を考える上で外せない存在です。(大学生の時の僕は解像度が低くて理解していませんでしたが)民間での経験、とくにDX系やエコシステム系の経験は開発分野でのキャリア形成(JPOやJICAの企画調査員)でも役に立つので、開発でキャリアを築いていきたい人にとってもにおすすめの選択肢です。また、泥臭く現場でアフリカ人とビジネスを運営する経験は、開発であれビジネスでキャリアを構築する上で有意義だと思います。
 
給料が少ない以外の留意事項としては、①良い企業の見極めと②事前インターンの2点でしょうか。アフリカベンチャーといっても有象無象です。「社会に良いインパクトを!」とどの企業も掲げていますが、成長できそう(=組織基盤がしっかりしている)かどうかは別の話です。中には使いつぶされてしまうブラックなスタートアップもあります(ただの雑用やサービス残業を押し付けられて病む)。なるべく情報を収集して(社員ではなくインターン経験者に話を聞くと良い)、自分の新卒切符を投資するにふさわしい企業を選定する事が大事でしょう。次に、NGO駐在員とも一緒の構造になりますが、見ず知らずの新卒を駐在員にするほどベンチャー企業は余裕がありません。したがって、事前にインターンをすることで、組織カルチャーとのマッチング度や自分の有能さをアピールする必要があります。

大使館の草の根委職員

今回紹介する職種の中では知名度はありませんが、開発分野でキャリアを構築する上で有意義なのが草の根委職員です(英語ではProject Management Consultant)。簡単に説明すると、現地のNGOを中心に学校や井戸などのインフラ建設のために大使館が1,000万円以下で資金を提供するスキームがあり、草の根委職員は案件の審査~選定~モニタリング~評価などを担当します(参考になりそうなブログ)。JOCVやNGO駐在員ほどではないにせよ、現場レベルで(後述の専門調査員や派遣員よりも地方への出張が多いです)開発関連の仕事を経験できる事は魅力的です草の根を経験した後は、JICA企画調査員やJPO、開発コンサルなどキャリアの選択肢が広がるでしょう。修士号が不要なのもポイントです。
 
留意点としては、基本的に第二新卒を対象にしているポストということでしょうか。ただし、新卒であっても後述の派遣員を在学中/卒業後に経験して草の根に採用される人もいますので、学部卒でも草の根になる事は可能です。加えて、同じ大使館職員である専門調査員や派遣員と比較すると、給料面で劣る点や、住宅手当などがない点がネックですかね。僕自身としては、専門調査員よりも草の根委職員の仕事内容が魅力的なので、任期中にジョブチェンジしたかったです‥(笑) 

大使館の専門調査員

続いては、僕が経験した専門調査員です。大使館によって仕事内容が大きく異なるのですが、政府・他大使館・企業と面会して議事録を作成する、政治や経済のニュースを整理して報告書を作成する、開発関連ならNGO連携無償、国連補正予算などの審査補助…といったところでしょうか。最大の魅力としては、修士さえあれば、新卒でも政治・経済・開発分野での仕事に携われ、額面で50-60万円ほど(家賃はほぼ無料)と高報酬いったところでしょうか。専門調査員を経験すれば、NGO駐在員、JPO、JICA企画調査員などのポストにも通過しやすくなります
留意点としては、(これは自省にもなりますが…)公館によっては裁量が小さく、有給のインターン"になりかねない場合があるということでしょう。いいかえると、会社でバリバリやっていた人からすると仕事の質や裁量に物足りなさを感じてしまう場合があります。その点では5~10年程度正社員として働いていた人にはお勧めできないポストとなります。

大使館の派遣員

最後は大使館の縁の力持ちである派遣員です。大使館職員の離着任・休暇の手配や、日本からの出張者の手配、会計業務などを担う仕事です。魅力としては、高校さえ卒業していれば、海外勤務経験を積め、待遇も良い(30-40万程度、住居手当別)といったところでしょうか。僕の周りには大学在学中に派遣員を経験する人が何人もいます(卒業後でももちろん応募できますが、新卒カードを残しておくという意味で、卒業後より在学中に応募する方が賢い選択肢です)。
留意点としては、キャリア的な展開を見据えると、協力隊や(修士を持っている人は)専門調査員、UNV for youthに劣るということでしょうか。例えば、大学卒業後に協力隊として派遣されれば、コミュニティ開発にせよHIV啓発にしよ何かしらのセクター経験が積めますが、派遣員は事務経験なのでキャリア開発という点では強い訴求力を持ちません。ただし、"職種は問わないのですぐに海外で働きたい人"にとっては採用されやすいポジションではありますし、2年の任期中にお金を貯めて、大学院に通い、その後は専門調査員や草の根を経験するというルートであればキャリア的にも有効でしょう。

まとめ

大学卒業後にはアフリカですぐに働きたいと僕は思っていましたが、十分に情報を把握していたとは言い難かったです。大学卒業後の数年間で色々な事が分かり、当時の僕が知っていれば有益な若手キャリアとしての選択肢を整理しました。まとめとしては下記の図になります。かつての僕のように、アフリカですぐに働きたい大学生や、若手社会人の人たちの参考になれば幸いです。