【秋田・青森】念願の五能線の旅。雨雲の行方と旅の道連れ
昔から、ローカル線で行くスローな日本国内の旅に憧れがあった。
一両か二両だけの列車で、時間をかけて田舎を行く鉄道旅だ。
なんでも、秋田県と青森県に渡り日本海沿岸を走る五能線というのはそんなイメージにぴったりのローカル線で、かつ日本有数の絶景路線だという話で、わたしの行きたいところリストに長い年月にわたり残っていたわけだ。
でも、東京から五能線に乗るためには、まず秋田か青森のどちらかに行く必要があり、時間もかかるし少し遠いなぁと億劫に思い、長年実現しなかったのだ。(アフリカの方がよっぽど遠い件はさておき)
今、少しの時間が取れそうなこのチャンスを逃すまいと、スケジュール帳とにらめっこしながらようやく五能線の旅のプランを立てた。
秋田から五能線全線を経て青森へと抜ける「リゾートしらかみ」は、観光客に大変人気のあるリゾート列車だ。気合いを入れて、指定席券を予約する。
わたしのすばらしいドリーム計画では、まず秋田から朝いちばんに出るリゾートしらかみ1号で北上して十二湖駅で下車。
そこからバスで白神山地の一部にある十二湖を見に行く。
そしてまた十二湖駅からリゾートしらかみ3号へ乗り込み、美しい日本海の絶景を楽しみながら弘前まで向かうという満喫コースの予定だった。
しかし皮肉なもので、この五能線全線エンジョイドリーム計画が楽しみ過ぎて、見て見ぬふりをしていたのだが、天気予報によるとこの日は降水確率90%または100%(複数の天気予報をチェックした)、どこをどう見ても雨雨また雨だった。
それでも予定を決行した9月の連休直後のある朝、日ごろの行いが良かったため、はたして天気は曇りであった。
雨はやみ、雲間からまぶしい太陽の光がさしているではないか。
やった。
「リゾートしらかみ」は、憧れていたローカル線の旅とは少し違う快適な観光列車ではあるのだが、とにかく人気路線だけあって、大きな窓のあるかわいらしい列車と親切な観光案内のアナウンス、そして絶景ポイントでは撮影しやすいようにスピードを緩めてくれるという大サービスっぷりだ。
迫力のある大きな岩々の向こうにはうつくしい日本海が広がり、反対側には白神山地の神秘的な山々が連なる。輝くような景勝地だ。
ああ、長年夢に描いていた五能線の旅ができてよかったな。
そして十二湖駅で下車して路線バスで十二湖へ。
十二湖とは、白神山地のブナ林に囲まれた33の湖の総称だ。崩山から見ると33のうち12の湖だけが見えることから十二湖と呼ばれているようだ。
このうっそうとした緑の中にひっそりとたたずむ「青池」というのを見たかったのだ。
青池は、コバルトブルーのインクを流し込んだように美しいブルーで、しかもその色は時間帯や光の差し込み具合によって変化する。水深は9メートルほどで透明度が高く、湖底に沈む朽ちたブナも見えるほどだそう。
計画通りにバスを降り、いざハイキングコースを歩き始める。
まず最初に見えてくるのは、比較的おおきな鶏頭場(けとば)の池。
なんと美しい湖なのだろう。ずっと東京で暮らしていると、圧倒的に足りないグリーン要素が身体の中に満たされていくのを感じる。
夢中で旅のお供のDJI Pocket2で動画撮影などをしていると…。
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