『人類滅亡後のPinocchia』の場合③
引き続き、今回はセーブ仕様について反省点みたいなものを書きます。
・どこでもセーブってどうなん?
本作のコンセプトは「まだいけるはず……」「そろそろ危ないか?」という体験があると書きました。
となると、「どこでもセーブ」できる仕様は緊張感を削ぎ、コンセプトに反するのでは?
はい、そうです。
と答えざるを得ません。
ただ、これについては諸々の事情から現仕様になっています。
・オートセーブを採用しなかった理由
セーブの仕様は難易度に直結します。
「緊張感」を最大に表現するには「セーブデータは一つのみ」「オートセーブでリロード不可」さらにいえば、『FTL』のように「ゲームオーバーでセーブデータ消滅」くらいが理想です。
本作はその『FTL』に大きな影響を受けています。
が、残念ながらそのまま真似するわけにはいきませんでした。
なぜなら、本作は「即死」してゲームオーバーになるタイプのゲームではないからです。
本作でリロードしたくなるような「失敗」のタイミングは、どちらかといえば「アンドロイドの機能停止」です。
残骸となると25kgのアイテムとなり、探索も中断、素材も失い大きなロスになります。
そうやってじわじわジリ貧になり……二進も三進もいかなくなり……30日経過! ゲームオーバー!
最悪です。
一思いに殺してもらえるならともかく、これはかなりきつい。
そこからリカバリーしていくのも楽しくはありますが、初見プレイだと時間切れゲームオーバーの危険性があります。
そこまできついゲームにするつもりはありませんでした。
難易度の想定としては「初見でクリアはできる」くらいを目指していました。
・拠点セーブを採用しなかった理由
オートセーブまでしなくても、拠点セーブという手もあったのでは?
「探索の時間が無駄になる」というリスクでも、ある程度の緊張感は表現できたのでは?
さて、同じようにリロードしたくなるタイミング、「アンドロイドの機能停止」を考えてみましょう。
この場合、「拠点からリロード」するのは目に見えています。
はっきりいってめんどくさいだけです。
過去作の『カリスは影差す迷宮で』では「拠点のみセーブ」を採用していました。
この作品における「失敗」は「主人公の死(戦闘不能)」で、ペナルティは「一日が無駄になる」というものです。
そこまでペナルティが重いわけでもないので「前日からリロード」か「そのまま続けるか」、その判断は微妙なところです。
なので、カリスの場合は「拠点のみセーブ」は結構噛み合っていたといえるでしょう。
ピノキアの場合は「拠点からリロード」以外ありません。
そのまま続けて得をする要素は一つもなく、デメリットがあまりに大きすぎるからです。
・コンセプトよりもめんどくささの軽減を優先
「オートセーブ」や「拠点セーブ」の方が「どこでもセーブ」よりはコンセプトには沿います。それは確かでしょう。
しかし、そのことによって生まれる「面白さ」よりも「めんどくささ」の方が上回ってしまう可能性がありました。
そういうわけで、本作はやむを得ず「どこでもセーブ」を採用しています。
で、どうせその仕様なら「クイックセーブもあった方が便利だよね」と振り切りました。
あえてプレイヤーを煩わせる必要はないという判断です。
セーブを縛りたければ縛ればいいし、リロードしまくって資材を集めまくって無傷で突破してもいい。
プレイヤー次第の遊び方ができるといえば聞こえはいいですが。
やはり妥協ではあります。
「あとでハードモードを用意すればいいや」というのもありました。
そういうわけで、本作はハードモードまで実装してはじめて完成といえるかもしれません。
(現執筆時点ではまだ手はつけてませんが)
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