「バズ・ライトイヤー」あのオモチャはどこに行ったかな…
どうも、安部スナヲです。
「トイ・ストーリー」のアンディ少年がお気に入りのオモチャ「バズ」は、元々この映画の主人公だったという設定の劇中劇ですが、個人的にはピクサーが本気で作ったSFアニメ映画として興味があり、観て来ました。
興行収入の不振や上映禁止など、何かと問題も抱えた映画ですが果たして…
【相対性理論】
映画は、宇宙飛行中の「スター・コマンド」の探査船が、ある惑星に着陸するところから、概ねはじまります。
バズ・ライトイヤーとアリーシャ・ホーソーン
(スターコマンドの女性指揮官)、そしておぼえられない名前の新人隊員は、その惑星の調査に着手しますが、そこに生息する大蛇みたいに絡みついて来るややこしい植物や巨大な虫に襲われ、苦戦を強いられます。
どうにかこれらを交わして船に戻った御一行ですが、己の力を過信したバズのムチャな操縦が災いし、船は大破。マズいことに燃料タンクがやられてしまったらしく、1000人以上の乗組員もろともこの星から出られなくなりました。
とりあえず彼らはこの惑星で暮らす為にコロニーを作り、脱出に必要なハイパースピード燃料(宇宙を高速で移動する為の)の開発に勤しみます。
バズはその「クリスタル」と呼ばれる燃料がハイパースピード飛行に使えるかどうかをテストする為、宇宙へ出ます。
4分間のテスト飛行を経て、彼が惑星に戻って来ると、アリーシャはじめ仲間たちの様子がどうも変…と思ったら、何と彼がテスト飛行をしている4分間に4年の歳月が経過していたのです。
つまり、ハイパースピード=超高速で動けば時間の流れが遅くなる…そう!いわゆるあれ「相対性理論」
そういうこと、ちゃんとやる映画なんです!
というワケでバズがテスト飛行から戻る度に、惑星で暮らす人々は見る見る年を重ねます。
同志のアリーシャも、結婚していたり家族が増えていたり、人生のフェーズを進めていき、やがて終焉を迎えます。
【頑固モンのバズ】
バズはアリーシャの後を継いで指揮官に就いたバーンサイドから、みなで惑星に定住することが正式に決まったと告げられます。
しかし彼はまだ諦めず、脱出の為のテスト飛行にこだわります。
こういう頑固さは、例えば「トイ・ストーリー」1作目で、アンディのもとにやって来た当初、自分がオモチャであることを受け入れられずにいたバズとも重なり、微笑ましくもあるのですが、この映画の彼は人間です。
オモチャなら愛嬌でも、人間となるとそういう頑固さはコジらせ要素。正直ちょっと面倒臭いです。
バズが半ば意固地になってテスト飛行を繰り返して来たのは、こうなってしまったのは自分が失敗を犯したからという自責の念からです。
だけどもう、すべての元乗組員は脱出なんか考えず、この星でしあわせに暮らすと腹を決めているのです。
だったらパッと気持ちを切り替えて、新しい選択肢を認めるべきだと思うのですが、簡単にそれができないのがバズ。やれやれ。
仲間を想う気持ちと自分の失敗を償いたいという気持ちの葛藤により、彼はますますひとりよがりになって行きます。
そうこうしているうちに燃料配合を改良したクリスタルで再びテスト飛行を行い、遂に成功するのですが、戻って来た惑星ではまた別の問題が発生していました。
「ザーグシップ」と呼ばれる宇宙船が惑星に侵略して来て、何やら強そうなロボットらに攻撃されています。
「ザーグシップ」と聞いてピンと来た方もいるでしょう。
そうです「トイ・ストーリー2」でバズと戦ってた、あの鉄人28号をモビルスーツ化したような「ザーグ」
侵略者のボスはコイツです。
先ほどバズの頑固さに触れましたが、今作ではバズのそういうエゴイスティックな側面が宿敵ザーグとの因縁に大いに関係して来ます。
【愉快なサブキャラ】
ここから映画は、侵略者ザーグの撃退に主題が移るのですが、そこでバズはともに敵と戦う「ジュニア・パトロール」と呼ばれる見習い隊員たちに出会います。
メンバーはアリーシャの孫で宇宙恐怖症のイジー・ホーソーンをはじめ、前科モンでアウトローのダービー・スティール、人の邪魔しかしないドジキャラ、モー・モリソンの3人。
有能なバズからすれば、箸にも棒にもかからぬ愚鈍なトーシロー。こんな連中と協力するくらいならひとりで戦った方がマシじゃい!…と、口に出さずともそれが本音っぽいです。
とはいえ、窮地においてはトーシローだろうが岸部シローだろうが持ちつ持たれつで助け合わざる得ません。
そうやって彼らと力を合わせるうち、次第に結束を固めて行きます。
バズは彼らの失敗に対し、自分もかつては失敗だらけのアカンタレだった、でもそんな自分の才能を肯定してくれたのがアリーシャだったと告白して、彼らを勇気づけます。
そして今作のサブキャラ一番人気!最もおいしいキャラクターは猫型ロボットのソックス。
ソックスは序盤のテスト飛行の時からバズに託されたアシスタント的なロボットです。
いかんせん気が効くわ、ユーモアに長けてるわ、見た目もかわいいわで、好感度が高いのはしょうがないですが、何と言っても超優秀。この場合、ウルトラ高性能なコンピューターデヴァイスと言った方が正確でしょうか。
何を隠そう、件のテスト飛行を成功させたのもソックスです。
ソックスはバズが宇宙を行ったり来たりしてる間、気が遠くなる年月を惑星で過ごしながら、それは健気にコツコツと「クリスタル」の完璧な燃料配合を計算していたのです。
ま、個人的には何か猪口才というか鼻持ちならん感じもあるのですが、色んな意味でこの映画でいちばんええ仕事をしてるのはソックスであることはまちがいありません。
【これを観たアンディがバズのオモチャを欲しがるか?問題】
この映画に否定的な人の多くは、「これを観てアンディがバズのファンになり、オモチャを欲しがるか?」という疑問を抱いているようです。
オモチャバズの前提が、アンディが好きな映画のキャラクターですから、その視点は至極当然ですし、当時5歳のアンディが観る映画として難解ではないか?という意見もわかります。
確かに1995年(トイ・ストーリー1作目公開年)という時代背景を考えると、洗練され過ぎている気はしますし、社会通念や常識の面も、これは今の感覚だなと感じるところはあります。
ただ5歳のアンディがこの映画を好むことに対しては全肯定、オールOKじゃん!というのが私の意見です。
というのも私自身、5歳の時に「スター・ウォーズ」1作目(EPⅣ)を親に連れられて映画館で観て、好きになったからです。
勿論、ストーリーはわかってません。
だけど砂漠で2体のロボットがケンカしているところや、毛むくじゃらのゴリラみたいのが宇宙船を操縦しているところや、溶接ヘルメットみたいな顔の悪モンや、レーザービームみたいに光ってる棒で決闘しているところなど、要所々のキャラクターやシーンはとても印象深く、わけもわからないままワクワクしたものでした。
そして当時、私はR2-D2のオモチャを、それこそ友達みたいに肩身離さず連れていました。
自分が欲しいとねだったのか、誰かがプレゼントしてくれたのか、今となっては憶えていませんが、少なくとも子供の私がスター・ウォーズを好きだという認識が親たちにあったことはまちがいないです。
それを思うと、これを観たアンディが感動してバズのオモチャを欲しがったとして、何も違和感がないどころか、私には「わかりみぃ~」の域です。
子供は、わかるから好きになるのではなく、わからないからこそ好奇心を刺激され、好きになることだってあるのだと、あらためて幼少期を振り返りながら思いました。
最後にこの映画が14ヶ国で上映が禁止される要因となった、同性カップルのキスシーンについて、一言だけ述べたいと思います。
えーっと…
あったっけ⁇そんなシーン。
出典:
映画「バズ・ライトイヤー」公式劇中パンフレット
バズ・ライトイヤー : 作品情報 - 映画.com
バズ・ライトイヤー|映画|ディズニー公式
『バズ・ライトイヤー』のあらすじネタバレ!ラストの意味・ザーグの正体【解説・評価まで】 | ciatr[シアター]
『トイ・ストーリー2』あらすじ・キャラクターを紹介♪|Disney+(ディズニープラス)公式