エロ体験談 No.1 30歳前半 イケメン会社員とのSEX 出会い編
当時の私は、23歳。その頃は社会人になって数年、任せて貰える仕事も増え、日々の生活も充実し、それなりに楽しい日々を過ごしてた。
ただ、なんとなく物足りなさを感じていた。何かに不満があったわけでは無い。恋人が居てくれた事もあり、公私共に充実しているかの様だった。しかし、私の仕事が充実していくにつれて彼との関係に溝が生まれ、結局は破局。そろそろ結婚なんて、頭をよぎっていたが、そんな事がどうでも良いと思えるくらいに、冷え切っていたのだ。
「ちょっと!まどか!あんたご飯食べてんの?!」
久しぶりに会った親友の葵が、私を見るなり叫んだ。それも、当然だろう。私の姿が、葵が知る姿と違うからだ。その頃の私は彼との破局したストレスを、全て仕事に打つける事で考えない様にしていた。全てがめんどくさくなってしまい、すっぴんに着古したトレーナーにジーパンというラフ過ぎるスタイルも、葵の不安を増長させたのだろう。私は、軽く謝りながら葵と近くのカフェに入った。
「葵、心配かけてごめんって」
「まどか、あんたわかって謝っているわけ?」
「わかってるよ。彼との破局の事、ずっと黙っていたからでしょう?」
「わかってるなら、なんで言わないの!ずっと心配したんだから」
葵は、ことの顛末を私の親経由で聞いたらしく、今日会うために電話した時にも、電話越しでわんわん泣いていた。よっぽど、私の事を心配していてくれたらしい。
「ねぇ、何で健さんと別れちゃったのよ。あんた達、結婚秒読みだったじゃない!!」
「そうなんだけどね、なかなかうまく行かないのよ。人生って」
私がそう言った後、何かを言いかけたがグッと堪えた葵が提案してきた。
「まずは、あんたのそのクソダサ服をどうにかして。良い男どころか、良い運まで逃しそう!ほら、早く!!」
急かされるまま、私は葵と店を出た。ここからは、女の本領発揮である。葵は私に似合う服を数着見繕って、試着室に押し込んだ。気に入ったものは全て、葵がプレゼントしてくれた。最後は、美容院でカットカラーまでした。正直、あまり乗り気ではなかったが、葵の気合に根負けした。しかし、親友は流石である。さっきまでの私の気分をあっと言う間に、晴らしてくれるからだ。
美容院を出る頃には、もう夕方をとっくに過ぎていた。これからどうするんだろうなと、ぼんやり考えていたら、葵からまだまだやる事はあると、急かされながら繁華街に向かった。
「さて、景気付けといきましょうか。」
私達は、馴染みの居酒屋にいた。ここは、脱サラした店主が開くサラリーマンやOLの憩いの店だ。私も用がなくても、1人でご飯を食べに来たりする事もある。そんな店には2人でもよく利用した。生ビールを勢いよく空にし、出されたお通しを食べ切ったタイミングで、葵が口を開く。
「ねぇ、あんた達何で別れちゃったのよ・・・」
あんまりにも寂しそうに言うから、私は一瞬何にも言えなくなった。なんと伝えたら懸命か、ただ飽きただけだと言う?他に好きな人ができた?ううん、きっとどんな言葉も彼女には通じないだろう。ゆっくりと、今までの話や、お互いの事ですれ違いが増えたこと、意図的に合わない時間を作ろうとしていたこと、今まで無理していた事を全て伝えたら、葵はただ涙を溜めて頑張ったねって言ってくれた。私はその一言で、救われた。そこからは、いつもの私たちの様に楽しくお喋りをしながら居酒屋でのひと時を楽しんだ。
「さて、ここまでお洒落をさせたのはただいつもの店で飲んでしゃべって帰る為ではありません。私は、今からあんたを2件目に連れていくよ」
半ば強引な親友の提案は、お酒の力もあってか快諾した。
葵が話す店とは、繁華街の中心部から少し路地に入って暗がりを進んだ所にあった。一見、ただの雑居ビルにしか見えない。こんな夜に訪れても大丈夫な場所なのか、心配していたが葵が慣れた手つきで入店口まで、案内してくれた。ここは、大人しか入れないBARだった。店の入り口は、教えられていないと絶対に気が付く事が出来ない構造で、思わず感心する。ドアを開け、狭い廊下が現れる。大人がすれ違うのがギリギリなくらいだ。そこを進むと奥にエレベーターがあった。ここでやっと目的の店が何階なのかを知れた。どうやら、エレベーターは最上階へと辿り着いた。
エレベーターが開くと、エントランスが私たちを出迎えてくれた。少し違和感を覚えたのは、エレベーターの大きさとこのエントランスの広さが比例していない事だ。小さなエレベーターには似合わない豪華なエントランスが、この異様さを押し上げているのだろうか。そんな些細な事に気を取られてぼーっとしてしまい、店の扉が開いた事に気が付かなく、思いっきりぶつかってしまった。
何でまたこうも、運がないのだろうか。わざわざここに来て、こんなベタな事やる?!一瞬で恥ずかしくなって、帰りたくなった。
「申し訳ありません。お怪我はありませんか?」
店主なのだろうか。初老の店主がにっこりと私に問いかけた。
「あ、はい。ごめんなさい!大丈夫です」
少し焦る私に、にっこりと笑いながら店主は続ける。
「良かったです。お客様、本日はお2人でのご来店でよろしいでしょうか?」
「そうです♪カウンターの席で、お願いします」
葵が慣れたように、答えた。良く来る店なのだろうか、そんなことを考えていた。
「かしこまりました。では、こちらにどうぞ。お足元にお気をつけ下さい」
私たちは、店の1番手前側のカウンターに案内された。店内は、暗く、カウンターの他にBOX席もあった。洋楽が爆音で流れ、煙草の匂いが鼻をついた。人はまばらで、私たち以外には、カップルが1組いるだけだった。所謂、ミュージックバーというやつだ。好きな曲があれば、店員に伝えリクエストが通ればDJが流してくれる。生憎、早い時間帯のようでDJは居なく、店員が適当にDJブースに入り回していた。
「さて、乾杯しよう」
カウンター越しに出されたジョッキを持ちながら、高らかと葵が言う。私たちは、何回目かわからなくなった乾杯をした。もう、自分が酔っているのか曖昧になってくるぐらいには、出来上がってきた。
葵はここでも、私の破局を悲しんだ。時より、蚊の鳴くような声でどうしてと囁き、何か言いたそうな顔をして黙る。私以上に悲しんでくれる事に、胸が痛んだ。
「葵、もうあんな奴の事なんてどうでもいいの。」
「とか言って、あんた今日までボロボロだったじゃない!」
確かに!と言うと、葵が思わず吹き出した。今日は、飲もうともう一度ジョッキを傾けた。
最近の仕事の事やら、葵の恋愛の話をしていたら、だんだんと周りが賑やかになってきた。バーはここからが、賑わう時間帯なのだろう。私達が陣取っていたカウンターも、人で埋まってきた。この喧騒が心地よく、お酒の力もあってか皆の声が大きくなる。その中にいると、私も一緒に呑まれてしまう様な感覚が、何とも言えない解放感を与えてくれる。このまま、時が止まれば楽なのになと、どうでもいい事を考えていた。
「まどか、さっきから隣の席の男性が鏡越しに見てるよ」
「え?どこのこと?」
葵が、バーカウンターの後ろにある大きな鏡を顎で刺しながら教えてくれた。その鏡は、バーカウンターの壁に貼られており、空間を広く魅せる為の作りだろうか。鏡に目を向けると、隣の席に座る男性と目が合った。私は、思わず視線を外してしまった。体中の毛が逆立つ様な、雷に打たれた様な衝撃に駆られた。本当に一瞬息が出来なくなった。私は、その男性に目を奪われたのだ。
何故だかわからないが、葵にはこの感情を伝えたくなかった。全部私だけのものにしたかった。葵に不自然に思われない様、平静を装ってお手洗いへ行くと告げ、席を立った。
店内は最高潮の盛り上がりを見せていた。カウンターも、席という席が全て埋まり、飲んで楽しむ者、ダーツを興じる者、薄暗い中で男女の駆け引きをしている者さえいた。言ってしまえば、カオスなこの状況を私もお酒の力を借りて、楽しむくらいの余裕はある。だけど、先ほどの男性の目が私の記憶を支配した。どうしても、あの目に見られるのが心地が悪い様な、いい様な居心地の悪さまで感じてしまうのだ。この不自然な胸の高鳴りはなんだろう。私の全細胞が警報を鳴らす。でも、それがどういう意味だったのか、全く見当もつかない。お手洗いの鏡に映る私は、いつもより紅潮して目も潤んでいた。仕方ない、今日はもう終電で帰ろう。ため息をついて、そっとお手洗いの扉を開けた。
扉を開けた瞬間、彼がそこに立っていた。思わずびっくりして、声をあげそうになったが、押し殺して平静を装った。
「失礼いたしました。」
会釈をし、その場から立ち去ろうとすると彼が口を開いた。ただ、ちょうどその時誰かがグラスを盛大に割ったのか大きな音がし、彼が何を言ったのか理解できなかった。
「連絡先、教えてよ」
今度は、私の耳元で聞こえる様に囁いてくれた。その声だけで、体が熱っぽくなったのがわかる。嗚呼、私この人とSEXがしたいんだ。気が付いてしまった。私の方が下心があるのではないか。急に、自分が破廉恥に思えて恥ずかしくなった。私は、ちょっと勿体ぶって「LINEならいいですよ」と伝え、交換し席に戻った。彼は、そのままお手洗いへ入った様だった。
席に着くと、葵がメニューを見ながら次のお酒を何にするのか考えていた。なるべく強い酒を飲みたくなって、私はブラックルシアンを、葵はモヒートを注文した。酒を待っている間、私達の周りにはひっきりなしに男達が誘いにきた。私は、先程の男性が気になて仕方ないのに、この囲まれている状況がストレスでしかなく、腹も立ってきた。何人目かの男に声をかけられた時、いい加減言い返そうとすると「ここ、俺の席だから」と、先程の男性が助けに入ってくれた。彼の堂々とした出立ちと、オーラに圧倒されたのか、それ以上迷惑なナンパはされなくなった。
その男性も決して私と葵の会話に入ってきたり、無理に話しかけてくるような無粋な事はしなかった。男性のおかげで、私と葵はこの状況を楽しむことができた。なんだかこの妙な浮つきを、どこか楽しむ自分にも驚いた。
「そろそろ、帰ろうか」と、葵と荷物をまとめた。店を出る前に、あの男性に声をかけたがったがもう姿はなかった。いつの間にか、席を立っていたようだ。なんだか、少し胸が痛んだ。名前も何も知らないのに、青2才の恋愛では無いのだから。しかし、私は今日起こった事に胸が躍るくらいには、舞い上がっていた。連絡先もあるし、ここにくればまた会える様な気がいていたから。
葵とタクシー乗り場まで並んで歩いた。少し酔って疲れている葵は、来たタクシーに速攻で乗り込んだ。「また、連絡する!気をつけて帰って!」という葵を見送った。私は、電車が動いているからそのまま駅へ向かう。すると携帯が鳴った。この時間にかけてくるのは、葵くらいなもんだろう。ディスプレイを確認せず、出た。
「どうしたの〜?まだ、酔ってんの?気をつけて帰りなね」
まで言い切ったところで、違和感に襲われる。ん?葵の声じゃ無い。
「酔ってるんですか?」
「・・・?!?!」
電話の主は、先程LINEを交換した男性だった。私があまりにも驚いていると
「そんなに驚いてくれるのですか?かけて正解だったな」
男性の声は、店で聞くよりも優しく心地い音だった。まだ、事の理解に追いつかない私に、彼は続ける。
「このまま、返したい気分じゃないんだ。もし、あなたが良かったら飲み直したい。強制はしない。店の場所を送っておくから、気が向いたらきて欲しい。」
私の返事を待たずに、電話は切れてしまった。これはわざとなのか、たまたまなのかわからない。彼の常套手段かもしれない。でも、私に帰る選択肢はなかった。
彼から、住所と店名が送られてきた。先程、葵といたバーの近くにあるところが指定されていた。ドキドキしながら、向かう。店の前に着くと、重たそうな木の大きな扉が私を阻んだ気がした。でも、そんな事に気を取られている余裕もなかった。店内は、咽せ混みそうな葉巻の匂いで充満して、視界もなんだかぼやけて見えた。これが余計に、幻想的というか大人の雰囲気を演出している様な感じがした。少し、目が慣れてきた時、カウンターの席で先程の男性が待っていた。
「やぁ、いらっしゃい。来てくれてありがとう。待っていたよ」
そう優しく言われ、少しドキッとした。お酒も入っているし、少し落ち着かせないとと、気が焦る。彼が、席を指し私に座るよう促した。
続く