Project siranui episode 3
本来あるべき運用型広告の改善施策とは
前回は、品質スコアおよびそのコンポーネントの評価に対する分析と改善施策について記述しました。
おそらく代理店側や広告主側で運用に従事されている方々は、およそ理解されている分析内容であり、改善施策の内容であったと思いますが、アカウントの規模が大きくなればなるほど、このプロダクトの仕様に従ってマニュアルでの分析を行い、改善すべき文字列の優先順位を決め、キャンペーン・広告グループ配下の広告クリエーティブに改善を加えることは大きな工数を伴います。理解はされていても、実行されていないアカウントも多く存在することでしょう。
加えて、12年前と同様、品質スコアに対するそもそもの誤解がある、プロダクトの仕様に関して正しい理解がない状況での分析は、分析のプロセスが正しくないために抽出された課題点も本質的なものとは異なり、それに基づいた改善施策も的を得たものではない可能性が高くなります。
そしてこの仕様に関する正しい理解については、私が運用型広告に関わることになった2002年から本質的には何も変わっていないように感じるし、そろそろ各々が各々の理解に基づいて、効果が出たり、出なかったりするような運用業務で疲弊していくのは終わりにしていいのでは?と考えています。
本来あるべき運用型広告の改善施策とは、プロダクトの仕様を正しく理解し、たとえアカウントの規模が大きくなったとしても、最低限の工数で実行可能な施策であるべきですし、機械学習による自動化が前提となった運用業務においては、(適切なアカウント構造を前提として)クリエーティブ、ビッディング&バジェット、ターゲティングにおける初期値の設定・管理・更新です。
12年前のハガクレとは何だったのか?
今から約12年前、私はGoogle合同会社の代理店チームに配属されました。当時はモバイルオプトイン(PC用キャンペーンとモバイル用キャンペーンで分かれていたキャンペーンを統合する施策)を各代理店が進めている最中でしたが、それ以前に、広告カスタマイザが出る前のお話ですので、ユーザーの検索文字列に対して広告クリエーティブ上の重要な文字列の視認性を意識するなら広告グループを細分化する必要があり、極端な場合は1キーワード・1広告グループの構成、加えてキーワードのマッチタイプによってキャンペーンや広告グループを分ける場合もあったため、さらに複雑なアカウント構成となっていたのでした。
コンバージョンオプティマイザー(現在の目標コンバージョン単価戦略、懐かしい…)や拡張入札単価など自動入札機能はすでに存在していましたが、当時の評価は、案件によって良くなるものと悪くなるものがある、でした。その他、新しく登場するプロダクトや機能に対する評価は、ことごとく案件による、だったのです。一般的にはそのような場合、どのように設定すれば期待値通り稼働するのかを各機能に関して追求することになるのですが、ちょっと待てよ、これそもそも正しく稼働する土台がないのでは?というのが、ハガクレの起点でした。
なぜなら、すべてのシステムにはその理想的な利用方法が必ず存在するからです。新しいプロダクトや機能は、リリース前に幾度もテストが繰り返されるし、うまく稼働することを確認した上でリリースされるのです。
海外も含めた同僚との会話やプロダクトや機能の仕様を確認する中で、プラットフォームの根幹であり、最も重要な部分は、進化はしているものの、Google Adwordsが始まった頃から何も変わっていないことをあらためて認識し、正しい仕様に従って利用することの必要性に辿り着きました。
自動化による恩恵と困難になってしまったこと
マニュアル(手動)での運用業務は、ニーズを持っているユーザーが検索しうる文字列を想定して追加したターゲットキーワードに対して、重要な文字列を広告クリエーティブの見出しに含め、特定の掲載順位を狙って上限入札単価を都度調整するものでした。
今となれば、手動でやっているからこそ、その内容と結果の紐づけができ、改善施策も明確に提示できていたように思います。自動入札にはじまり、直近ではインテントマッチ(旧部分一致)のキーワードによってコンバージョンシグナルを捉えて幅広く拡張を行う自動ターゲティング、ユーザーのシグナルを捉えて複数の広告アセットから広告クリエーティブを生成するレスポンシブ広告フォーマットによる自動クリエーティブなど運用業務のすべてのレバーにユーザーシグナルに基づく自動化が適用されています。
自動化が前提となった運用では、上図のように運用者が行う業務とシステムが自動で行う業務が入り組んでいる状態となり、機械学習については、過去では検索クエリを完全一致で大量に新規キーワードとして追加、それらに個別の上限入札単価を設定、キーワードインサーションを活用してクリエーティブを工夫もしくは1キーワード・1広告グループで広告クリエーティブを力技でユニーク化していた部分です。
最適化案については、ハガクレの後のゴリンにおいて実施していたように、アカウント構造が再構築されている前提で推奨されるプロダクトや機能の導入状況をアカウント毎に把握し、半ば人的に導入推進をしていましたが、それらが自動化され、アカウントの状況に応じて個別に推奨されるようになりました。
その結果、これまで人的に行っていた部分が自動化され、工数が減っているように思いますが、その反面、アカウントにおける課題点の抽出と把握が難しくなる側面が出てきてしまったのです。
課題点抽出と把握の重要性
アカウントの規模が大型になればなるほど運用業務の工数が上がるのは当然ですが、運用業務以外にもアカウントデータの分析や改善施策の立案、週次定例などのレポーティング業務が必須です。前述した通り、マニュアル(手動)で運用していたときの方が、施策と結果の紐づけや分析が容易であり、改善施策の立案も時間は掛かるものの、ある程度、結果が想定できるものであったと思います。
限られた時間の中で上記の業務を遂行するにあたり、最も時間が掛かる、かつ困難なのはアカウントにおける課題点の抽出と把握です。機械学習による自動化とプロダクトの仕様の理解度の違いによって、より複雑になってしまったと考えています。
しかしながらこの自動化の流れが止まることは考えにくく、プロダクトの仕様に関する正しい理解も冒頭で述べた通り、長年の課題です。また運用者において正しい仕様の理解が難しいのであれば、広告主にとってはより難しいお話であり、その状況ではスピーディな改善施策の実施には時間が掛かってしまうことがあります。
ライトプランはアカウントの課題点の抽出と視覚化に特化
運用支援システム"siranui"(シラヌイ)は、アカウントの課題点の抽出と視覚化、その課題点に対する改善施策のスピーディな実行に拘った設計になっています。(レギュラープラン)
ライトプランは、アカウントの課題点の抽出と視覚化に特化して広告主向けに提供開始致しました。2025年2月末までのお申込みまで、月額固定5.5万円、6ヶ月契約での提供です。(事業ドメイン単位、Google広告/Yahoo!広告対応、3月末以降のお申込みについては、月額固定11万円)広告主と代理店間でアカウントの課題に関して共通の理解を持つことを目的として施策実行面の機能を制限することで安価に提供しています。本来あるべき改善施策を市場に浸透させることも狙いの一つです。
クリエーティブ|Creatives
作成・編集
-新規クリエーティブ作成
-既存クリエーティブ編集
分析・改善
-品質スコア分析
-文字列解析
-広告の改善効果
‐広告診断/訴求要素検証(開発中)
バジェット&ビッディング|Budget & Bidding
管理・予測
-予算管理
-着地見込み予測
分析・最適化(開発中)
-パフォーマンス分析・入札戦略診断(ベータテスト中)
-曜日別、週別、月別費用対効果分析・コストアロケーション機能(開発 中)
ターゲティング|Targeting(開発中)
作成・編集
分析・予測
-定量分析(日別、週別、月別キーワード、クエリ数×表示回数、クリック、CV)
-文字列解析(キーワード、クエリ × 表示回数、クリック、CV)
-オーディエンス分析(新規・既存)オーディエンス別効果予測
※開発中の機能は予告なく変更される可能性があります。
※利用可能な機能についても、追加・編集関連の機能は利用頂けません。
現状、運用業務を委託されている代理店経由で弊社もしくは弊社に直接お問い合わせ下さい。
設計者略歴
米満 智之
2002年よりデジタルマーケティング事業に従事し、大手2社での運用型広告事業の経験を基に2013年グーグル合同会社に入社、アカウント再構築施策である"Project hagakure"や"GORIN Project"を企画推進。2018年3月、株式会社unknown設立。
当社設立後もグーグル広告のシステムおよびプロダクトの仕様に基づいたアカウント分析及び改善施策の立案や大型アカウントの運用業務をサービスとして提供し、自動化を前提とした効率的な運用業務を遂行するために今回リリースするsiranuiの前身となる社内システムを2018年より構築。運用型広告のパフォーマンスの最大化および最適化と業務効率の改善を市場全体に浸透させることが当社の使命と考えております。
お問い合わせ
電話:03-5562-8823
ウェブサイト:https://un-known.co.jp/contact/
メール:info@un-known.co.jp
詳細ページ:https://un-known.co.jp/solution/siranui/
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