Unlocking the power of Google Ads 06
前回は誤解の多い品質スコアと広告ランクについて、さらに品質スコアを用いた広告クリエーティブの改善方法について説明しました。今回は広告クリエーティブの評価についてです。
以降は、弊社で広告アカウントを運用する中で見出した答えであり、自身の個人的な見解も含まれます。
広告主が期待する運用業務の価値とは?
ターゲティング、ビッディング、クリエーティブの3つのレバーをコントロールすることによる運用業務に対して広告主が期待することとは非常にシンプルで、競合他社より安く、広告掲載面の最上部でクリックされることと考えています。
2019年に平均掲載順位という概念はなくなりました。それはユーザーシグナルによって参加するオークションや広告の掲載順位を変えていることや自動入札によってベースの掲載順位が低くても、学習したコンバージョンシグナルからコンバージョンに至る可能性の高いオークションを識別して拡張入札を実施しているため、平均掲載順位を確認することの意味がなくなってしまったからです。
一般的に掲載順位が高ければ高いほど、クリック率やコンバージョン率は高いと言われていますし、運用している広告アカウントと連携しているGoogle Analyticsで広告スロット位置などのデータを確認するとおよそコンバージョンが獲得できている順位は1位もしくは2位が大部分を占めています。
ユーザーシグナルによるオークションの識別や自動入札による広告の掲載順位のロジックが複雑化する中で広告クリエーティブの評価を行うためにはどうするべきか、運用業務の目的(=広告主の期待値)も考慮した結果、辿り着いた答えは、ページ最上部/上部インプレッションの割合およびインプレッションシェアの推移を診ていくということでした。もちろんこれまでの評価方法に追加するということになりますが、こちらがメインであると言っても過言ではありません。
品質スコアによる広告クリエーティブの評価
広告運用業務のレポーティングの際に広告クリエーティブの評価として品質スコアの推移を出すというのは、よく見る評価方法です。
前回でも記載したように品質スコアとは、広告ランクにおける広告の質の部分をターゲットしている文字列レベルに細分化し、掲載順位や広告表示オプションによる増分クリック率を正規化することで、ターゲットしている文字列に対する見出し/説明文/表示URLによるパフォーマンスが平均か平均より上か平均より下かを確認するための評価指標です。
あくまで同一ドメイン配下のターゲットキーワードが対象となっているのであって、競合他社と比較可能な指標ではありません。(競合他社の平均値が異なれば、同一キーワードの品質スコア:7は同じクリック単価効率を示すとは限りません。)
仮に広告が露出した検索クエリをすべてターゲットキーワードとして追加できたとすると品質スコア:6を頂点として10と1に向かって下がっていく、山なりになるはずで、意図的にターゲティングしている文字列すなわちターゲットキーワードの分布がどのようになっているのかを確認できるということになります。
ということは品質スコア:6以上のターゲットキーワードが多い広告アカウントというのは品質スコアが低いターゲットキーワードをターゲットキーワードとしては追加していないし、広告クリエーティブの改善対象となる文字列は含まれない(と運用者は認識している)ということになるけれど、広告は露出しているということですよね。
ユーザーの検索トレンドというものは、その文字列や表示回数も変化していくものであって、運用者が考えるほど綺麗には検索してくれないものです。正しく広告クリエーティブの改善を実施し、評価していくためには最低限の検索クエリ、ターゲットするべき文字列は、ターゲットキーワードとして追加し、品質スコアとして現状の広告の評価を文字列レベルで確認できるようにする必要があります。
そして品質スコアによって広告クリエーティブの評価を行うのであれば、全体的な推移を追うだけではなく、視認性における課題となっている文字列を特定した上で狙い通りに品質スコアが改善したかを追う必要がありますし、広告の質の大部分を予測クリック率が占めることを考えるならば、予測値とは過去のデータを用いて算出されるものなので、品質スコアが変化するのは広告クリエーティブを変更してからタイムラグがあるということを認識しておく必要があります。これも広告ランクと品質スコアの仕組みから考えると当然であり、広告ランクの算出に品質スコアが使われていないからこそです。
もし広告クリエーティブを変更してすぐに品質スコアを確認しているのであれば、順番が違う。品質スコアの変化の前に、その改善が正しければクリック率の上昇とクリック単価の効率化(効率化とは単に金額が下がるのではなく、掲載順位に対するクリック単価の効率のことを言う。)が数値として確認され、その後、品質スコアに変化が出ると考えられます。
上記が、キーワード主体とした運用ではなく、クリエーティブを主体とした運用を行うべきであると申し上げている理由でもあります。
ページ最上部/上部インプレッションの割合 | 検索広告のページ最上部/上部インプレッションシェア
ページ最上部/上部インプレッションの割合 = 検索結果ページの最上部/上部で発生したインプレッションの数 ÷ すべてのインプレッション数
検索広告のページ最上部/上部インプレッションシェア = 検索結果ページの最上部/上部で発生したインプレッション数 ÷ ページ上部インプレッションの推定数
ページ最上部/上部インプレッションシェアの割合は、キャンペーン/広告グループ/キーワードおよび広告クリエーティブごとに確認することができる指標であり、検索広告のページ最上部/上部インプレションシェアはキャンペーン/広告グループ/キーワードごとに確認することができる指標です。
広告運用の目的が、競合他社より安く、広告掲載面の最上部でクリックされることならば、広告クリエーティブの改善により検索クエリに対する広告クリエーティブの視認性は改善し、広告ランクの改善に伴ってインプレッションシェアの改善とともに上記の数値が変動します。
広告クリエーティブの改善の範囲に依りますが、変更後は上記の指標の推移を追い掛けています。もちろん、競合他社の入札強化などで数値は変動しますので、オークション分析で同一のオークションに参加している競合他社の動きを数値から探る必要があります。
ページ最上部/上部インプレッションの割合やインプレッションシェアとクリック率やクリック単価などの基本指標およびコンバージョンやコンバージョン率などのパフォーマンス関連指標を分析することで広告クリエーティブの評価を正しく行うことができます。その上で、結果として品質スコアの変化も確認できるはずです。
次回は広告クリエーティブの検証方法について深堀りしていきたいと思います。
to be continued...
株式会社アンノウンとは、”葉隠” 葉陰に隠れて見えない=まだ知られていない、”はやい、うまい、やすい”を生み出していくために設立した会社です。
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クリエーティブ主体の広告運用を考える会https://note.com/adplatform_tiger/circle
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