Unlocking the power of Google Ads 08
前回は広告クリエーティブの改善・検証に関して説明しました。広告クリエーティブの改善・検証の内容と方法を突き詰めていくと直面するのは、どのように広告クリエーティブをデザインしたかという点ですが、今回は最近やたらと質問が多く、近々Yahoo!検索広告でも対応が必要となると思われるレスポンシブ検索広告について説明します。(※個人的見解を含みます。)
レスポンシブ検索広告の仕様
レスポンシブ検索広告は、広告見出しが15個まで、広告説明文が4個まで登録できる広告フォーマットであり、ユーザーの検索クエリに対して登録した見出し、説明文の出方が変わります。拡張テキスト広告に替わるフォーマットではなく、併用することが求められる広告フォーマットです。
※引用元:レスポンシブ検索広告のリリース時の資料
上記のポイントで重要なポイントは、3番目の長さについて。レスポンシブ検索広告は最大15個の見出しから2〜3つの見出しが出ることになりますが、多様な検索クエリに対応するのであれば、生成されるバリエーションが多いほうがいいので極力短い見出しで意味が通じるように見出しを作るのが重要です。
拡張テキスト広告の作成においては、3番目の見出しが追加されるまで文字数制限ギリギリまで使うことで広告クリエーティブのタテ×ヨコを最大化することに繋がっていたため、長い見出しを作る傾向にあるかもしれませんが、レスポンシブ検索広告では逆です。
上記のポイント以外には見出し、説明文の位置を固定しないことが推奨されています。
でも実際に作成された組み合わせのパターンを確認したり、掲出されているレスポンシブ検索広告を確認すると、
・社名やサイト名、ブランディングの要素が入っていないパターン
・ユーザーに商品やサービスの内容が伝わっているかわからない見出しになっているパターン
など不安になるパターンが存在するのも事実で、つい2番目の位置に社名やサイト名などブランディングの訴求要素を固定したくなります。
広告フォーマットとユーザーファネル
Google広告における機能はユーザーファネルに則して設計されています。最も分かりやすいのはターゲティングの機能です。広告出稿の目的や予算に応じてどのようなターゲティングを実施すべきかが判断しやすくなります。
広告フォーマットもユーザーファネルに則して考えるとその役割が見えてきます。
上図では拡張テキスト広告はローファネル、レスポンシブ検索広告はミドルファネル、ギャラリー広告(現在は画像表示オプションβに吸収されたため、サンセット)はアッパーファネルに対応する広告フォーマットであると考えられます。(※個人的な見解です。)
検索クエリで説明すると、
例)自動車保険、自動車保険 見積もり ・・・コンバージョンに限りなく近いユーザーの検索クエリ
例)自動車保険 おすすめ、自動車保険 比較 ・・・数社検討している、検討してから決めたいユーザーの検索クエリ
例)〇〇〇〇自動車保険 ・・・テレビCMや他媒体で認知しているユーザー、再来訪ユーザーや比較検討ユーザーもしくは申し込みするユーザーの検索クエリ
比較検討ユーザーが検索している検索クエリは、ランキングサイトの情報や一括見積りサイトでの資料請求などを目的としているように思いますが、実際にはGoogleやYahoo!のおすすめを目的として検索している場合も多いのです。またランキングやおすすめなどの検索クエリ以外に関しても、商品やサービスに関する選択軸はユーザーによって十人十色、拡張テキスト広告ではカバーできない検索クエリに対しては上位に掲載することが難しくなってしまいます。
レスポンシブ検索広告の開始当初は、それまで運用してきた拡張テキスト広告の見出しおよび説明文を集めて入稿していたアカウントが多かったと思います。導入を早めるという観点では正しいのですが、それでは拡張テキスト広告でターゲットされている検索クエリとさほど変わらない検索クエリをターゲットすることになり、むしろカバレッジの観点では柔軟な広告フォーマットであるが故に、拡張テキスト広告よりも表示回数も多くなりますが、その分拡張テキスト広告の表示回数が減少している場合もあり、新規のコンバージョン検索クエリが増加するわけではありません。
レスポンシブ検索広告の目的と評価すべき効果
上記に記載したレスポンシブ検索広告の広告フォーマットとしての特性を考えれば、1クリック1コンバージョンのユーザーではないユーザーや未CV再検索ユーザーに拡張テキスト広告では訴求できていない内容を訴求していくことやこれまでは獲得が難しかった比較検討ユーザーのコンバージョン獲得を促進することが本質的な目的であると言えるのではないでしょうか。また位置を固定しないことを推奨している理由もその特性を考えると納得できます。
Googleが推進しているMUGEN Projectの内容には、
・ビッディング・・・自動入札
・ターゲティング・・・マッチタイプの開放、部分一致キーワードの追加、動的検索広告、すなわちターゲットの拡張
・クリエーティブ・・・レスポンシブ検索広告
が含まれていますが、これらは各々個別に実施してもダメで、これらの3つの施策が連携して初めてパフォーマンスを最大化するものです。
自動入札を導入しているからこそ、マッチタイプを開放したり、部分一致KWsを追加しても、それまでの学習内容からパフォーマンスに寄与するであろう検索クエリに拡張し、最初は拡張テキスト広告の見出しと説明文を集めて入稿したレスポンシブ検索広告を、品質スコアの分析から検索クエリに対する広告クリエーティブの視認性に課題のある文字列を特定、新たな見出しとして追加することで、これまでカバーできていなかった検索クエリの文字列に対する視認性を改善するからこそ、パフォーマンスを最大化できるのだと思います。
レスポンシブ検索広告の評価は、管理画面でアセットの最良、良、低、調整中などのステータスで確認できますが、これは改善点の特定に使うもので、広告クリエーティブとしての評価は前回に記載した通り、ページ最上部および上部の表示割合/インプレッションシェアが改善したかどうかに加えてコンバージョンに至った新規検索クエリがどれくらい増加したかをトラッキングしていくことが必要です。
最後に、今回冒頭で述べた通り、広告クリエーティブの改善や検証を突き詰めていくとそもそもどのように広告クリエーティブをデザインしたのかに直面します。拡張テキスト広告は見出しが最大3つです。なので最大15個の見出しを入れることに戸惑う方も多いかもしれません。しかしながら広告主の商品やサービスに関する(強みを含めた)情報を漏れなく広告に含めることは無理だとしても可能な限り含めていくためにはどうすればよいか?
それには広告クリエーティブとは一体何なのか?を考える必要があると思います。あくまでネットの運用型広告における広告クリエーティブのお話です。
広告クリエーティブとは、コンテンツを凝縮したもの
広告クリエーティブをクリック、ランディングページを閲覧し、コンバージョンに至るプロセスを考えれば、広告クリエーティブの内容とランディングページのコンテンツには関連性が必要であり、広告クリエーティブによるコンテンツへの期待値に対して実際が上ならともかく、期待値より低ければ離脱するユーザーが増加するわけです。
だからこそ広告クリエーティブとは、ユーザーが広告をクリックした後に遷移するページのコンテンツを凝縮したものであるべきと考えています。
"1 content × 1 targeting = 1 ad group”はProject hagakure(アカウント再構築施策)のコンセプトでしたが、その背景は、上記の広告クリエーティブとはランディングページのコンテンツを凝縮したものという考え方であり、重複コンテンツが自然検索において上位掲載への阻害要因となるように、"ユーザーの検索の意図にぴったり一致する結果を返す検索エンジン”において広告クリエーティブが重複することは広告に対するユーザーエクスペリエンスの向上を阻害する要因になり得るという考え方でした。
そしてこれは機械学習を前提とした運用業務において、広告クリエーティブの初期値はどうあるべきかの答えでもあるし、広告主のビジネス拡張を支援するにあたってコンテンツとして何の訴求要素が足りてないかを考え、より魅力的なコンテンツにユーザーを誘導、広告主の売上拡大に寄与するものであると考えています。
to be continued...
株式会社アンノウンとは、”葉隠” 葉陰に隠れて見えない=まだ知られていない、”はやい、うまい、やすい”を生み出していくために設立した会社です。
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・サークルを作成しました。
クリエーティブ主体の広告運用を考える会https://note.com/adplatform_tiger/circle
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