デジタルリテラシー向上を目指したIT&デザイン教育プロジェクト「IFUTO」ワークショップレポート
こんにちは、アドビ未来デジタルラボです!
デジタルリテラシーの有無が将来のキャリアに大きく影響を持つようになる中、ITに触れる機会が少ない子どもたちがいます。世帯年収が低い世帯ではインターネット利用率が低いというデータもあり、家庭の経済状況によって子どもたちのデジタルに対する経験値の格差が生じているのです。一方、デジタルリテラシーが高ければ、将来の職業選択の機会を増やすなど、キャリア形成においてポジティブな影響をもたらします。
アドビでは2022年より、認定NPO法人キッズドアが行うプロジェクト「IFUTO」を支援。興味はあるのにパソコンを自宅で使ったり、教室に通ったりすることが経済的に難しい女子生徒に向けて、デジタルツールに触れるきっかけを作るプロジェクトです。今回は、女子高校生を対象に2023年7月23日(日)に行われたワークショップの様子をご紹介します。
1)DX人材の必須スキル「デジタルリテラシー」とは
「デジタルリテラシー」とは、デジタル技術について理解し、適切に活用するスキルのことです。具体的にいうと、パソコン・スマートフォンなどのデバイスや、各種ソフトウェアを理解し、活用する能力をいいます。
たとえば、経済産業省がオブザーバーを務める「デジタルリテラシー協議会」では、ビジネスパーソンが備えておくべきデジタルリテラシーを「Di-Lite」と定めています。「Di-Lite」は現在、「ITソフトウェア領域」「数理・データサイエンス領域」「AI・ディープラーニング領域」の3領域として定義されています。
また、学校教育においては、中高生に向けてデジタルリテラシーを向上するため、インターネットや携帯電話等のICTメディアの利用の仕方について、さまざまな取り組みを行っています。
2)IT&デザイン教育プロジェクト「IFUTO」とは
IFUTOとは、ITやデザインに興味はあるのに経済的な理由で日常的にパソコンに触れたり、教室に通ったりする機会が少ない⼥⼦生徒を対象に、機会を提供するプログラムです。2022年は女子中高生を対象に、今年は女子高校生を対象に無料で開催しています。
プログラムは主にデザインを通してITリテラシーを身に付ける前半、デザインしたものを販売するなど、より実践的な後半に分かれています。
アドビでは、Adobe Expressを使用した講座の企画・運営を行っています。
3)Adobe Expressを使って缶バッジづくりに挑戦
缶バッジづくりの講師は、キャラクターデザイナーとして活躍する、ナオッキー(北沢直樹)さん。
講義では最初にカラーやフォントの効果的な使い方といった、デザインのポイントを生徒たちにレクチャー。そして次に、著作権や肖像権についても触れ、アイドルや推しの写真を使うとどんなリスクがあるのかなど、分かりやすく伝えます。
講義が終わったら生徒たちは早速デザインをスタート。同時に、アドビやキッズドアのスタッフが教室をまわり、一人ひとりの様子を見ながらAdobe Expressの使い方をサポートしていきます。
生徒たちは用意してきた写真をスマホからパソコンに取り込んだり、Adobe Stockからイラストを探したり。BGMが流れる教室で、思い思いに進めます。
デザインができた人から自分でクラウド内に保存。いよいよ缶バッジにしていきます。教室の脇でアドビスタッフがプリント、カットを行い、生徒たちが自分の手でプレスして完成!
できた缶バッジを手にした生徒たちは、それぞれ嬉しそうな表情で席に戻っていきます。周りの子の缶バッジを見て会話する生徒もいれば、すぐに2個目のデザインにとりかかる生徒も。それぞれがデザインを楽しみました。
4)デザインのポイントをみんなの前で発表
講義の後半は発表の時間です。一人ずつ前に出て、作成したバッジをスクリーンに投影しながらデザインのポイントやこだわりを発表します。
使った写真のエピソードやロゴのカラーを選んだ理由など、それぞれの個性があらわれる場となりました。
参加した生徒たちのコメントをご紹介します。
5)ワークショップを終えて
最後に、今回のワークショップを受けて、キッズドア の渡辺由美子理事長にコメントいただきました。
「キッズドアでは、これまで学校の授業の補習、受験対策などを長く行ってきたのですが、最近、学校や社会でITスキルやクリエイティビティ、人前で何か発表することなどが、特に重要になってきたと思います。
私たちが支援しているご家庭では半数ぐらいがパソコンを持っておらず、そうすると子どもたちはITに対して苦手意識を持ってしまいます。また、プログラミング教室などを開催すると、ほとんどが男子生徒の参加になります。それを無くしたいという思いで始めたのがこのワークショップです。
ITに興味を持ち、苦手意識をなくすことができれば将来の可能性が広がります。また、ワークショップの中では発表の時間を設けて、自分の思いを人前で話したり、アピールする機会をつくっています。面接が増えている大学受験に備えることもできます。
ワークショップが長期的なプランになっているのは、参加する生徒のスキルの定着を狙っているからです。今年も12月まで開催することで、“缶バッジをつくって楽しかった”だけではなく、将来に繋がるような場にしていきます。
IFUTOを通して、デザインやアートワークの道に進みたいと思うようになった生徒がいればぜひ応援したいですし、そうでなくても自分のやりたいことに向かって、自分の可能性を信じて自分の好きな道に進んでくれる場にしていきたいですね。」
「IFUTO」の今後の活動として、メタバース空間でデザインを販売し、NFTに触れる機会も計画されています。アドビでは、ITやデザインを通して、すべての子どもたちが未来を切りひらいていける活動を今後も応援していきます。
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