ゼロから、ラブライブ!サンシャイン!!のライブに行った話
ピチュン、ハロー、おれは鷺ノ宮だ。おれはプロデューサーで支配人だったが、ラブライバーではなかった。おまえは「ラブライブ!サンシャイン!!」を知っているか?知らないのならば、ライブに行く前のおれと同じだ。知っているのならば、おれの先輩ということになる。この記事は「ラブライブ!サンシャイン!!」とAqours(アクア)の事を何も知らなかったおれが、「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~」に行くまでの記録をまとめた記事になる。いわゆるレポート記事だ。今回は逆噴射先生の文体はこの最初の挨拶にしか使わない。あとは1人のオタクがライブに行くまでの話を書き連ねていくことにする。
・5月21日(月)
直接のきっかけは、友人のもっくさんからの誘いだった。
もっくさんは一緒にナナシスとデレマスのライブでよく同伴する仲間で、何ならバンドリやスタリラにも造詣が深いという"信頼できるオタク"の一人だ。
「ラブライブ!サンシャイン!!」……作品タイトルくらいは当然聞いたことがある。9tableメンバーのしゃろんからも、一度ライブへ誘われたこともあった。だがおれの知っている情報は、限りなくゼロに近かった。
サンシャイン!!の前に展開していた「ラブライブ!」、いわゆる無印の頃もアニメは一度も観たことがないし、楽曲もほぼ聴いたことがなかった。
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の天王寺璃奈さんだけ知っていたのも、直近で秋葉原に行ったときにたまたま別の友達がアニメイトで「こんなキャラいるんだね〜」と話していたのを聞いていたからだ。完全にBEAT CRUSADERSのヒダカトオルじゃんと思ってよく覚えていた。
一緒じゃん
「6月のメラドは地獄」というのは、去年デレマスの6thのメットライフドーム公演が夜、メチャメチャに冷え込んだことによる気象の影響を懸念してのことだ。
思い返せば昔、「ラ!サ!!のライブ、6月のメラドでやるってよ」という話だけは、別のオタク友達づてに聞いていたが、そのときは普通に雨とか降ったらマジで最悪だなと思っていた。まさかそれに自分が行くことになるとは全く思っていなかったが……。
ナナシスもデレマスもどちらも、今では完全に人生の一部と化しているが、最初はどちらもライブに誘われてのことだった。ナナシスのときは4Uの単独ライブに、デレマスのときは去年の台湾公演のライブビューイングがきっかけだ。
どちらも直前に勉強と称して楽曲を聴く期間を作りはしたが、4Uのときはそういうアイドル系コンテンツのライブの流れが全然つかめていなかったし、台湾公演では周年ライブと異なり楽曲の予想がつかず、カバー範囲が広すぎてどこまで聴いたらいいか把握しきれず中途半端になっていた。
結果的にはどちらの作品にもハマることに繋がったし、ライブに行ってよかったことは間違いない。だが……そういった事前準備が十全であったかと考えたら、間違いなく足りてはいなかっただろう。
過去の失敗を乗り越えるチャンスは、生きていてもそう多くない。
今度こそ、しっかりやらねばなるまい。
そう決意したのが5月27日の月曜日、ライブ当日まで残り2週間を切っていた。
・5月27日(月)
なにはともあれ、まずはアニメを観ることにした。
ラブライブ!シリーズのアニメはどれもAmazon Prime Videoに全部あったのが非常にありがたい。まずは重く考えずに、その時開催していたモバマスのイベントを走りながら観ていくことにした。
以下は当時の雑感をざっくりと箇条書きでまとめていく。ネタバレにはあまり配慮していないので、おれと同じように情報ゼロから追いたい人は読み飛ばしてもらって構わない。
■第1話「輝きたい!!」
・楽曲がなんかキラキラしてる
・ずら…みたいなこと言ってる奴の理由がわからなくて気になる
・ルビィちゃんの突然の高周波で耳が終わった
・松浦果南さんが休学してて暗いものを感じる、OPでも暗い顔してたし、3年生の不穏な空気、いいですね
・やらないといいつつEDでCG混じりのダンスをしていたので梨子ちゃんはすぐ加入するんだろうな〜。と思った
・1話目に観たこの曲はたぶん挿入歌でEDではないんだろうけど、サビ終わりの泣きメロがすごい心に残った("いっしょにだったら/飛べるかな"のあたり)
■第2話「転校生をつかまえろ!」
・ルビィちゃんの人見知りってこういう感じじゃない気もするけど難しいことはいいんだろうな〜と思う
・楽曲作るのってピアノ弾けたらOKじゃないんだろうけど難しいことはいいんだろうな〜と思う
・堕天する人が学校とかこなくなったらしく、ここにも後ろ暗いものを感じる。暗い発想を無限にしてしまう……おれは阿部共実とか好きだから……
・無印の時の曲がキーになってるようだが観てないからわかんね〜、でも曲すごいよさそ〜
・EDのアニメは全然動きがないけど、曲がいいですね
■第3話「ファーストステップ」
・生徒会長の人がルー語を使っている…
・いや体育館いっぱいは無理やろ〜〜〜!!!これが逆境……!?なんか限りなく島本和彦作品っぽくなってきたな?
・沼津駅前が登場、昔カードショップセラを一回見に行ったときに寄ったことあるけど、周りなんもないよねと思った
・一回ダメだったと見せかけてからのよかった〜〜の演出、緩急の付け方がこれで合ってるのかわかんないけど、すごい
・しかし路上で無差別勧誘とかしてるのに集まったお客さんが全員女性なの、なんかそういう世界観だと聞いてはいたけど、すごいな……。
■第4話「ふたりのキモチ」
・ついにずらずら言ってるこの子のルーツがわかるのか、と思いきや、親友のルビィちゃんへのドデカい感情の前にメチャメチャ泣いてしまいました………最近はこういう"本当に優しい子"に非常に弱い…………
・ルビィちゃんが話しにくるときも第一声が「ルビィね……!」なのが感情詰まってていいんだよな……自分の話を聞いてくれ、という………
・EDがまた花丸ちゃんとルビィちゃんのデュオなのが極大感情を刺激してきてヤバイ…………ってか歌うま………みんな歌うまい……みんな歌うまくない?
■第5話「ヨハネ堕天」
・いわゆる色物枠みたいなキャラは、最初は色眼鏡で見てしまうが故にハマるとやばくて、「なにこいつ…」→「ちょっとわかるかも…」→「こいつのことがわかるのは世界で俺だけ…」となるので、慎重に行かないと、死ぬ……
・しかし既に先に「色物枠やろ〜w」というふうに花丸ちゃんを見ていたせいか、善子からのダメージは最小で済んでよかった
・既にインターネットの世界でも大人気のルビィちゃん、主人公か?
・「でも、嫌だったら嫌だって言う!」ってすごくいい関係づくりの第一歩だと思う。全世界のコミュニケーションがこうだったらな〜〜〜
■第6話「PVを作ろう」
・統廃合の危機……………って無印と被ってない??大丈夫???
・三年生のダイヤさんと一年生のやりとり、どちらにも顔を出してくるルビィちゃん、完全に主人公なのでは?
・5話で加入した善子が誰に対してもタメ口なのが気になるといえば気になるが、統廃合寸前で人数少ない学校だって考えたらむしろ自然か…?
・「努力の量と結果は比例しない」って鞠莉さんすげえいいこと言うな〜と思ったし、そこから街や学校の魅力=そこに住む人達の協力、に着地するのすごくいいし、そのことに外から転校してきた梨子ちゃんが気づくのが劇的にいい
・からの挿入歌の「夢で夜空を照らしたい」がまたいいんですね〜〜〜。この一年で、今、どうにかしないといけないという想いが乗ってるからか、挿入歌のメッセージ性とそこから来る"攻撃力"が非常に高いように感じる。
■第7話「TOKYO」
・サブタイと予告からしてすごい気楽な感じになるかと思いきや………のやつ
・6人がワチャワチャしてるのにもだいぶ慣れてきて、この状態にハマりつつあるのを感じる
・ライバルユニットのお手本みたいなキャラが出てきて本当にビックリした
■第8話「くやしくないの?」
・Saint Snowの曲も歌詞もパフォーマンスもAqoursの真逆というのがライバルユニットのお手本中のお手本という感じですごすぎ。もしかして「ライバルユニットの作り方」みたいな教科書に載ってる?
・千歌ちゃんの落ち込みに曜ちゃんが一番に気づく瞬間、100点─────
・得票数が0っていうの、逆境としてはやりすぎかもしれないとさえ思うほどに重いけど、物語にすごくアクセントがついた
・加入時のエピソードでもよく参照されるμ'sを、単純にAqoursと対比するとか、Aqoursにだけ影響があったとかじゃなくて、「界隈全体へのレベルと参加者数の底上げに繋がるほどの影響があった」とするの、説得力がありすぎる。インフレの原因て……
・そこからのAqoursの再起につながるの綺麗すぎる、当時はここからAqoursをちゃんと推そうとなった人も多いんじゃないでしょうか。(何目線?)
■第9話「未熟DREAMER」
・ココに来て三年生の加入エピソード、その挿入歌をサブタイトルに持ってくるという"パワー"のある采配、文句なしの100点
・果南さんが休学してたのは家の手伝いが100%で、別に過去になにかあったわけではなかったか……(ここまで来ると重いエピソードあんま入れないでくれという気持ちさえあるけど)
・未熟DREAMER、調べたら何度もフィギュア化されてるし衣装も曲も人気すごいのね……おれもアニメ初見で思わずペンライトを取り出して振ってしまいました……
■第10話「シャイ煮はじめました」
・メンバー全員が集まったタイミングでワチャワチャ回を挟むのは非常に重要
・ちかりこ、か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・別の日、別の夜に二回、会うのがすごく良いんだよな……
■第11話「友情ヨーソロー」
・前回ものすごく濃厚なちかりこをこれでもかとやった上での曜ちゃんメインのエピソード………サ!!のグラブルコラボのときのキャラでは投票で2年生チームに最終上限解放が実装されたと室井さんから聞いていたけど、正直、完全に頷けた
・曜ちゃんのいじけ方がかなり濃厚なのに想ってることが一貫して千歌ちゃんへ「私の事がどのくらい好きか聞きたい」なの、あまりにも直球過ぎていい
・部屋着でフレームのでかいメガネなのも最高だし、声色を変えた演技もどれもかわいいし、この回で一瞬で曜ちゃん推しになった人も40億人くらいいるのではないのでしょうか……(何目線?)
・EDの曜ちゃんソロ、正直すごい好きな声色してるんですよね。要所要所で震えてるように聞こえるのがいい……
■第12話「はばたきのとき」
・電撃G's magazineの紙面とかCDとかで展開するのとは違って、「Aqoursのアニメをやること」の一番ハードルはやっぱりμ'sの存在なんだと、そしてそこからどう脱却するかということに対して、100点満点の回答だったんじゃないでしょうか。僕はまだ無印を観たことがありませんが……
・観たことない奴にもμ'sって凄かったんだなと思わせるエピソードとして、「母校に何も残さなかった」という伝説だけが残っているパターンに落とし込むの美しすぎるなと思いました。その後でAqoursが「あくまで普通の女の子が、普通の女の子のまま頑張る」というところに着地することも……
■第13話「サンシャイン!!」
・この回、夏の美術がいくらなんでも綺麗すぎる……
・5月31日(金)
アニメ一期を観終わったところで、気になったところ、おそらくここがポイントなんじゃないかというところが少しずつ見えてきた。
一つは、「スクールアイドルの物語には明確な終わりがある」ということだ。
最初の設定の時点で、1年生・2年生・3年生の各3人ずつで9人のユニットを組むということは、すなわち物理的にその一年しか同じユニットでは活動できないという「時間制限」があるということ。
例えばアイドルマスターに登場するアイドルたちは、は年齢・身体的な成長はなくとも、その媒体の中で精神的な成長を遂げていく。笑顔がうまくいかなかった関裕美さんや、プロデューサーへの好感度がマイナスから始まったような橘ありすさんなど、そういうエピソードは枚挙に暇がない。
それらと比べると、ラブライブ!のスクールアイドルたちにはとにかく時間がない。出会いも別れも、成長も経験も全て、一年間の学校生活の中に凝縮されている。
ラブライブ!のロゴにも表記されている"School Idol Project"は、そういった他のアイドル系コンテンツとは別の時間軸を持つことを明記しているとの同時に、「今しかない一瞬の輝き」を表現するぞという宣言のように受け取れる。だからこそ、メッセージ性の強い、響く楽曲がこんなにもあるのだろうと感じていた。
そう、楽曲がとてつもなく"良い"のだ。「曲が良いんだよ」とは何らかのコンテンツを勧められるときの常套句ではあるが、このラブライブ!サンシャイン!!の楽曲は、単純にクオリティが高いだけではない。その理由を探してしまうほどに、自分の中に"響いて"、"届いて"いたのだ。
その理由の一つが、おそらく、畑亜貴の歌詞だ。ラブライブ!シリーズではμ'sとAqoursの楽曲の作詞を全曲、畑亜貴氏が手がけている。OPEDだけじゃない、挿入歌もソロ曲もシングルのカップリング曲も、全てだ。
氏のwikipediaのページでは無限に等しい仕事量が記されているが、ラブライブ!シリーズの楽曲に関しては無印もサンシャイン!!も「全楽曲」としてまとめられていてビビった。実際どのくらいやってんねん〜?と思って量を確認しにいったのに、なんか釈迦の手のひらで踊らされる孫悟空みたいな気分になった。
作品の持つ魅力を一貫して伝えるため、クリエイターの属人性に寄ること自体は正しい判断だと思うが、そこに途方もない制作の"量"があるという事実にただただ圧倒された。ラブライブ!シリーズは、おれが思っていた以上に、ヤバイ。
そしてもう一つ、気になったのは「自分とAqoursのみんなとの距離」だ。
たとえばアイドルマスターでは自分自身が「プロデューサー」として存在する為、アイドルとの関係性が最初から定義されている。ナナシスも同じように自身が「支配人」として存在する。
だがサンシャイン!!のアニメでは、主人公はAqoursのメンバーたちであると同時に、彼女たちを応援しに来る周囲の人物、いわゆるモブキャラたちが徹頭徹尾女性アバターのため、自分自身を置く感情移入の余地がないように感じている部分があった。
かといって男性キャラの出し方を間違えるととんでもないことになってしまうことはわかるし、極力男性を出さないことが作品と世界観に対する強力なセーフティとなっているのは理解している。
彼女たちの輝きに対して、自分自身をどう定義しているのか。あくまでラブライブ!を好きなオタク、通称ラブライバーの人達がどういう気持ちでいるかが掴みきれない、という感じだった。いちファンなのか、なんなのか……。
しかしこの感情の答えは、きっと当日ライブに行くまでわからないだろうという気もしていた。
そんな事を考えていたからだとは思いたくないが、最終ランキングでは2000位以上の上位報酬を完ッ全に油断して逃してしまった……担当のイベントだったのに……これは本当に……辛かった……
・6月1日(土)
時期的には二期をちょうど見始めたあたりの土曜日で、旧友のラスフェンこと室井さんがオススメの同人誌を持って遊びにきてくれた。
室井さんは百合小説のdigに定評があり、pixiv小説へのブックマークが1680件を超えている、こと百合に関してはマジで詳しい″信頼できるオタク″の一人だ。
読んだのはμ'sでは「にことり」、Aqoursでは「ようよし」と「黒澤姉妹」の本が多かった。
にことりとようよしはどちらも、元々の幼馴染との関係がうまく行かなくなって〜……というやつなので、完全に室井さんの""癖(へき)""が出ていてやばいなと思った。
特ににことりの方は、「μ'sの活動が終わった後の世界」での関係性を書いていて、そうかそういう創作もあるのか、確かに彼女たちの生活は続いていくもんな、と膝を打った。
黒澤姉妹の方も、卒業したら家を継ぐために自身の自由がなくなるダイヤさん(二次創作の設定です)と、一緒にスクールアイドルとして活動できる一年間を刻み付けようとするルビィちゃんの感情、二人の気持ちの交差が非常に強い本をぶつけられてビックリするほど良かった。
どちらも"スクールアイドルという時間制限"があるからこその物語、ラブライブ!シリーズの可能性を垣間見ることができた。
そして考えていた。
μ'sは完全に終わって、後に何も残さなかったが故に、次に進むことができた。
ならば、Aqoursはどうか。
とにかく、二期を観なければ……この物語にも終わりがあるのなら。
それを見届けなければならない。
・6月2日(日)
ここからはアニメ二期、いわゆるシーズン2を観ていく。MtGアリーナのランクマッチを回しながら……
当然ながら一期と同じようにネタバレにはあまり配慮していないので、おれと同じように情報ゼロから追いたい人は読み飛ばしてもらって構わない。一期は観たけど二期まだ観てないんだよなという人は今すぐ観ろ。今まで何して生きてきたんだお前は。
■第1話「ネクストステップ」
・逆境やばすぎるけど、とにかく前向きに頑張る、というところから始めていくの、島本和彦イズムすぎるな
・これは記事のネタバレになりますが、二期EDの「勇気はどこに?君の胸に!」がAqoursでいっっっっっちばん好きな曲です。なので二期は毎話毎話ニコニコしながら観ていました
■第2話「雨の音」
・一年三年の仲が思ったよりよくなってない気もするが、三話で流れる曲がいいのでなんか全部よくなった
・後で電撃G's magazine誌面とかCD展開時では果南の性格設定がもともと「考える前に行動」だったことを知ってなるほどねと思ったけど、なんかこの子、急にいろんな対応が雑になったなと思わなくもなかった
■第3話「虹」
・逆境をなんとかする回
■第4話「ダイヤさんと呼ばないで」
パーフェクト・オタク・コミュニケーション
■第5話「犬を拾う。」
・なんか急にまんがタイムきららみたいな回になったなと思った
・動物への根源的恐怖って簡単に克服できるもんでもない気がするけど、梨子ちゃんが幸せならOKです
■第6話「Aqours WAVE」
・練習してた大技がマジの大技でビックリしちゃった。完全に少年漫画のノリで、実家のような安心感がある
・「MIRACLE WAVE」も100点あるんだよな〜〜〜〜〜。衣装もダンスも可愛いし最後のキメポーズかなり好き(花丸ちゃんが腕の角度指摘されてたやつ)(デレステのTrust meのイベントSRと同じポーズですね)
■第7話「残された時間」
・ガチで「……………え?」つった
・ターニングポイントとしてデカすぎる回、こんなに…………こんなに重くなるとは、と思った。展開も、彼女たちAqoursに対する自分の気持ちも………
・一期の12話で「普通の女の子が、普通の女の子のまま頑張る」って着地点を見出したが故の、このゴールって考えたらこんなに皮肉なことってないけど、だからこそここから「μ'sありきのAqours」じゃなくて「Aqoursそのもの」を追えるようになったと思う。
・ここからが本当の彼女たちの、Aqoursの物語か
■第8話「HAKODATE」
・なんか急に函館に行くとは全く思わなかったのでビビった。ノエイン以来か?
・そして展開にも、ビビった……いいんですかこんなの……ラブライブ決勝へのモチベーションが前話で変化した後でこういう距離の詰め方してくるとはね、という……
・一期7-8話の東京のアイドルイベントで失敗した際も、具体的な失敗シーンを描くことは極力避けてたのに、理亞ちゃんの失敗/挫折に関しては明確にそのシーンを描いているので、「重さ」がすごい
■第9話「Awaken the power」
・ルビィちゃんたちが主人公の回だ…………
・黒澤姉妹の本が刺さったのもあってか、花丸ちゃんの視点と完全にリンクしているのか、ルビィちゃんが頑張ってるともう無条件で泣いてしまうようになってしまった……
■第10話「シャイニーを探して」
・正月、Saint Snowの二人から見た現在のAqpursの立ち位置の確認、そして終わりに向かう物語……
・どれだけ感動的な演出をしていても、本来は星とか見えてないはずのロケーション、それでも晴れることを、輝きが見つかることを、祈る。「普通の女の子たち」だったAqoursに重なって、だいぶつらい
・この辺から毎話毎話最終回みたいな味があって、観てて自然に涙が出てくる
■第11話「浦の星女学院」
・浦の星女学院の閉校祭
・曜ちゃんの「このままずっと、おばあちゃんになるまでやろっか!」ってセリフ、メチャメチャ重くないですか………???
・ちかよう…………???
・りこよしまる…………???
・かなまり……………???
・終わっていく……………楽しかった時間が、みんなの居場所が、物語が………
・大好きな二期ED「勇気はどこに?君の胸に!」の合唱アレンジ、メチャメチャに泣いてしまいました…………(勇気はどこに?が聴けるのはこの回が最後です…………)
■第12話「光の海」
・ラブライブ決勝のために東京に来る回
・キャラクター同士の絡みは前話までで殆どやったので、本番前の最後の自由時間を一人ひとり過ごすことで、一人ひとりの気持ちを明らかにする演出…………文句なしの100点です。対戦ありがとうございました
WATER BLUE NEW WORLD、好きすぎてアリーナのデッキ名にしています(中身はコヴァルスキ先生謹製の青黒コンです)
■第13話「私たちの輝き」
・(声にならない声)
・(号泣)
・(終わってしまった物語の美しさへの慟哭)
結局勢い止まらずイッキ見してしまいました。
μ'sへの憧れと対比から始まった物語は、「ただの普通の女の子たち」の物語としてその幕を閉じた。
母校の統廃合を阻止するという奇跡は、起こせなかった。
起こせなかったんだ。彼女たちはμ'sじゃないから。
だが。
「奇跡を起こせなかった」のがAqoursのなぞったラインだとするならば。
作中のラブライブの優勝という結果は、奇跡ではなく、彼女たちの努力の、当然の結果だったのだろう。
それに、奇跡は起こせなかったが、それで彼女たちのやってたことがゼロに、全て無駄になったわけじゃない。
少なくともおれには、浦の星女学院の生徒たちには、Aqoursのステージを観た全員には、きっと何かが、熱とか光とかが残ったはずだ。
そう確信するほど、濃厚で素晴らしい全26話だった。
正直二期の前半はキャラクターごとの掘り下げをやっているな〜くらいの気持ちで観ていて、感情としてはけっこう凪いでいたのだが、だからこそ7話で廃校が決まった後の緩急はすごくて。
特に10話くらいからは毎回最終回のような情感が毎話込められていて、鞠莉さんたち3年生が卒業してバラバラになるという、"スクールアイドル"の時間制限と相まって涙腺を刺激された。
最終回は"スクールアイドル"Aqoursの終わりとして、無くなってしまう母校をバックにした、今までの思い出全部を載せたステージ。感極まってボロボロ泣いてしまった。
そして26話も観ていると、一期を観終わった頃に思っていた「ラブライバーが自分をどう定義しているのか問題」とかはなんかだいぶどうでもよくなっていた。
決め手は二期を観終えた後に、ノリでインストールしたアプリゲーム、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」を始めた時のことだった。
”どこにいっても誰といても、しょせん人間は1人なんだなぁって。”
……………なにその人生観!!!!!アニメ出てたとき一回でもそんな片鱗あった!?!?!?!?
と大混乱したこともそうですが、ずらずら言ってるけど何こいつwという感じから入り、アニメ一期4話での親友ルビィちゃんを気遣う優しさに涙し、全編通してよく食べるところ、野暮寄りのファッション……気がつけば彼女から目を離せなくなっていました。
ずらずら言ってるのも自分を育ててくれた祖父母と同じ静岡弁の方言という記述をどこかで見たので、"地元へのリスペクトを忘れない子”だと思えばこんなに良いことはないだろ!?なあ!?
それにアプリの目指しているゲーム性や、そもそもラブライブ!が電撃G's magazine誌上で始まった企画であることを考えればそんなん当たり前だけど、制作サイドがキャラの魅力を全面に出すのが下手なはずはなく。
何も考えずに情報ゼロからアニメを観たオタクの視点だと、Aqoursの持つ物語の輝きが先にあり、キャラクターたち一人ひとりの魅力は二の次になっていた……というと少々偉そうに聞こえるかもしれないが。
そうだ。
とうとうおれも、推しが決まるところまで来たのだ。
冷静に考えれば、「可愛いので推す」「気に入ったので推す」、当然の事だ。深く考えすぎて本質を見失ってしまう寸前だった。
結局は一番最初に何こいつwと思った子に対して、「この子の優しさを世界一わかってあげたい」という状態になるというどテンプレなハマり方をしてしまったが、全く問題はない。優しくて可愛い、それ以上なにか必要なのか?
こうして1週間でアニメ二期まで観終わり、残すところあとは今年公開された劇場版のみというところまで来た。
一番最初にライブのお誘いをいただいた時点で、「今年やった映画の曲は全部確実にやるはず」という話を聞いていたので、ライブに行くのにこの映画を外すことはできないだろう。
それに、二期で綺麗に終わった彼女たちAqoursの物語に、続き…ないしは"真のエンドマーク"があるとするなら、それはどんなものになるのか、純粋に気になっていた。
ここまでずっと感情を動かされ続け、最終回までに何度も泣かされた以上は。
ライブで曲をやるにしろやらないしろ、もはやこれを無視することはできなかった。
…が。
ここに、巨大な落とし穴が存在した。
映画の公開は、1月4日。
Blu-rayの発売日は、7月26日。
ライブの日程は、6月8日と9日。
全国公開が終わって、円盤は発売前。
おれがアニメを見始めた今、この時期は……ちょうど″谷″の時期に当たってしまっていたのだった。
ライブで劇場版の楽曲をやることは間違いないのに、物理的に劇場版を観る方法が存在しない。
これには、流石に凹んだ。だが今までに一度はラブライブ!サンシャイン!!というコンテンツへ誘われていたのに、タイミングを外し続けてきたのは他でもない、おれの責任だ。
これがBlu-ray発売直後とかだったら多少無理してでも買っただろうな、と思ってしまうほどの熱があるというのに、それが繋がらないとは……これも因果か………
……………え!?!??!!!??!!
ほ…………本当だ!!!!!
これは………これはもう…………
行くしか、ないだろ!!!
・6月6日(木)
ということでライブ前の平日に沼津に来ました。
朝7時起きで、8時に電車に乗り、11:50からのシネマサンシャイン沼津での上映に向かうことに。
ちなみに沼津に向かったこの木曜日までは、細かい予定があって一日空いている日がなかったので、せっかくなのでアニメをもう一周観ておきました。推しの花丸ちゃんを追う視点を大事にしつつ、沼津周辺の予習も兼ねて……。
とにかくまずは映画の感想を書いていきます。ネタバレには配慮していませんが、この記事をこの位置まで読んでてAqoursの物語に関するネタバレを気にする人いないと思う。
・完ッッ全にミュージカル映画だった。今まで知らなかったけど、ラ・ラ・ランドのラ・ラ部分ってラブライブ!の事だったんだ。
・特に一期では人見知りでずっとお姉ちゃんに甘えてばかりだったルビィちゃんの独り立ち。ダイヤさんが髪を拭こうとするのを断るシーン、スペイン広場でのパフォーマンス後のやりとり、少し寂しそうで、でも嬉しそうなダイヤさんの表情…26話分の積み重ねの上で観ると本当に涙が止まらなくてオイオイ泣きながら観ていました。正直言って姉妹百合はいままでずっと守備範囲外だったのですが、初めて心動かされたと言っても過言ありません。
・二期8話での理亞ちゃんの失敗シーンは、Aqoursが失敗した瞬間を徹底して描かない中でも異質なほどに重くて、だからこそ最後にもう一度、この与えてしまった重さから開放させてあげるためにこのエピソードを入れてくるの、とにかく優しさが詰まっている。「Believe again」の対比となるAqoursの「Brightest Melody」が本当に名曲なのも相まって、込み上げるものがあった。
・EDの「Next SPARKLING!!」が80年代テイストのサウンドなのが、特に涙腺に来る。そう泣かせに来たかみたいな。平成生まれにも郷愁の感があるし、明るく別れる、これからの第一歩を踏み出すという意味合いを乗せるのに相応しい楽曲だと思った(統合先の学校の保護者たちを説得しなきゃいけないみたいな部分と、鞠莉さんの母を説得し親の保護から脱却するみたいな部分ともリンクしてるといえばしてるのかな?考え過ぎか)
・終わりの演出まで完璧で、μ'sは一代限りの特別な存在だったかもしれないけど、Aqoursというスクールアイドルグループは、メンバーが変わっても時代が変わっても、これからもずっと続いていくんだよというメッセージ、これ以上ないほど希望に溢れたエンドマーク。おれ自身がこの映画にに間に合って本当に良かったなと思いました。本当に観て良かった、観ることができて良かった。
フォトセッションを最初に考えた人に、ノーベルフォトセッション賞、あげたいんだ…。
ちなみに今回の行程、全体の予定ではザックリと映画が二回観られればいいかなとしか考えていなかったんですが、電車で沼津へ向かってる最中に、もっくさんから突然タイムスケジュールが送られてきてビビりました。
しかも二案。淡島に行った後、夕方の上映に間に合うルートと、そのまま三津海水浴場に行くルート。わざわざ時間を調べて、手書きで送ってくれました。
おれは元々ゲームや漫画のオタクで、アニメは殆ど観てこなかったし聖地巡礼なんて考えたこともなかったけど、せっかくスケジュールを送ってくれたし、一度目の映画の余韻もそこそこにあわしまマリンパークに向かうことに決定。一期4話の、花丸ちゃんの優しさが忘れられないから………。
全編通してもっくさんのサポートが手厚かったことは何度でも書いておく。
ということでここからは「初めての沼津・聖地巡礼レポート」をお届けします。
劇場から出てすぐのところ、ここは二期の5話冒頭で善子が迷子犬を見つけたポイント…。この日は本当に天気が良くて最高に気持ちいい一日だったけど、この場所だけは雨の日の方が映えそう。
写真を撮り忘れましたが、一期3話で初ライブのチラシを配ってた沼津駅北口の時点でなかなか込み上げるものがありました。
ちなみにシネマサンシャイン沼津は北口、淡島方面に行く観光バスは南口にあるんですが、連絡通路が有料のものしかなくて、無料で逆方面に出ようとするとぐるっと駅を回り込まないといけないことに注意。みなさんご存知だとは思いますが……
おれは犬スポットを撮っていたら13:55発のラッピングバスに間に合わなくなりそうで本気ダッシュをしました。足つるかと思った。
あわしまマリンパークまでの往復バスと入場料が一緒になってすごい安くなったMIRAI TICKETが沼津駅で売っているのでこれを買うと無敵になります。みなさんご存知だとは思いますが……
ラッピングバスはアナウンスが千歌ちゃんだし車内にも車外にもキャストさんのサインがバリバリに入ってて「走る多幸感」そのもの。
降りるときにボタン押そうと思ったらサインが入っていて完全に優勝した時の写真です。
この時期は淡島全体を使ったSCRAPの謎解きイベントが行われていて、探偵衣装の描き下ろしビジュアルのグッズがいっぱい売っていた。
言うてド平日だし聖地巡礼するオタクなんておれくらいのもんやろ〜と思っていたけど、冷静に考えたら5thライブの直前なのでそこらじゅうにラ!サ!!のファンが、それも外国から来たであろう言語の方が半分以上で、グッズ売り場も盛況。
その誰もがわかりやすく、過去開催されたライブTや、キャラプリントのメッセージバッグ、ぬいぐるみや痛バやキャラフォト棒を当然の如く持っていて、逆になんの装備も持たずに来てしまった自分が恥ずかしくなってくる。一応備えとしてアイマスの名刺は持ってきたけど……
船乗ってたのは往復で10分にも満たないけど超〜気持ちよかった!
船が往くよ……ミライへ旅立とう………
カエル館は色指定までアニメのまんまだった上、センターおめでとうを祝うカバーまであって″果南推しの聖地″として非常によかったですね。パワースポット。
そして淡島に来た一番の理由はここ、一期4話で幾度となくゴン泣きさせられた、ルビィちゃんと花丸ちゃんのシーンでもある淡島神社、の、石段、だが、
きっっっつい!!!!
「プチ登山」とは聞いていたものの、プチとは??となるレベルのしんどさで1人登りながら爆笑してました。ここを頂上までダッシュできる体力ないとラブライブ優勝とか、できないのか……スクールアイドル、やはり厳しい世界だ……
しかし頑張らないと来れないだけあって淡島神社と途中の休憩スポットは雰囲気あってよかったですね、ここの裏手で絶対数珠玉手に入ると思う。
ちなみに降りるときのほうが足がキツく、膝はガクガクと笑うし、何なら一瞬足をグネりました……転倒は防ぎましたがマジで危ないところだった。沼津駅での無用なダッシュが効いてるな。
できる限りのスピードで参拝を終えてから、現在時刻を確認した限りだと、ここまでで全体的に予定よりも1〜2本早めのバスと船に乗れている感じ。
他の聖地的なスポットは結構駅から離れているという話だけを聞いていたので、正直、一期4話の舞台だった淡島さえ寄れればそれで良いかなと思っていたが……せっかくならどうしても、あと一ヶ所行きたいところが、ある……
……迷うくらいなら、行ってしまうか!
ここが…三津海水浴場…!
劇場版でも千歌ちゃんと梨子ちゃんが話をしていた、二人の家近くの海辺。
どうしても砂浜で″Aqours″と書いた写真が撮りたい一心で、来てしまいました……。
と思ったら当然のごとく、先人が書いた跡が残ってて感動しました。
この日は完全に一人で来ていたので、自分で書いてから自分で撮る想像をして気恥ずかしくなってたけど、完全に徒労でした。
で帰りのバス停までダラダラと歩いてたら、突然目の前に沼津松月さんが!!
ここは花丸ちゃんの大好きなお店で、劇場版でも理亞ちゃんのことについて聖良さんから相談されたAqoursのみんながお茶しながら話してた場所!
本当にノーチェックだったので突然花丸ちゃんのパワースポットが目の前に現れて「マジで!?!?!?」とデカい声を出してしまいました。調べて行けよという話ですが、これは本当にうれしかった。
イートインでシュークリームをバチっと。劇場版だと鞠莉さんが座ってた席でした(二回目に確認した)。それ以外の席は他のファンのみなさんで埋まっていました。
ちなみに花丸ちゃんの推してるどら焼きは既に売り切れていて、おれが注文したクッキーシューとパイシューも残り2つみたいなタイミングでした。危なかった。。
そして遂にここで初めてラブライブ!サンシャイン!!のグッズを購入しました…。お店にも置かれているスタンプ台のイラストの缶バッジ、メチャメチャに可愛いんですよね……。どっちかってと観光土産に近いかもしれない。
店内には大小様々なグッズが飾られておりました。そんじょそこらのコラボカフェより密度も熱量も高くて、聖地じゃなくても嬉しいだろうに〜と思うほどのファンサ。ほんとうにすごい。
帰り際に営業日を確認したら、本当にたまたま開いてるときに寄れたという感じでした。近年稀に見るタイミングの良さ。あんまり自分のことを運いい方だとは思ってないんですが、この日は本当に噛み合っててよかった。
そして想定よりも一本以上早いバスに乗って沼津駅へリターン。
一区間分多く乗っていましたが、精算時にマリンパックの切符見せたらちゃんと融通利かせてもらえたのでよかったです。
駅に戻ってからは劇場版でもアニメでもよく出てきていた南口で、花丸ちゃんのよく食べてた「のっぽパン」を食す完成されたオタクムーブ。
アニメを見返してて思ったんですが、花丸ちゃんはほんとによくこののっぽパンを美味しそうに食べてるんですよね……お土産と称してこの時に食べたのと違う味のパンを全部買って帰り、後日家で食べました。もう一度アニメを見返しながら……
そして夜の上映へ。昼の上映よりもたくさんの席が埋まってて、おそらく今日初見の外国人のファンが終わったあとで拍手しててマジで良かった。
また地元のファンが「もう何回観たかわからないな」「明日がライブ前に観れる最後の日だから、明日も来よう」と楽しげに話しているのも良かった。ここで上映する意味に、全てが繋がっている行為だ。
二回目の上映を観た後は、劇場版で登場していた仲見世商店街の、浦の星女学院のみんなでお茶してたやば珈琲へ。
花丸ちゃんがホットドッグを食べてたのと同じ席に座って、日替わりコーヒーを飲みながら、今までのことを思い返していてふと思い至りました。
μ'sになくて、Aqoursにあるもの。
母校を救えなかったAqoursが起こした奇跡って、この沼津の町おこしそのものじゃないか。
沼津は、本当にすごかった。どこに行っても、おれが二回見たアニメと同じ、殆どそのままのロケーションで。
劇場版でも冒頭からちょっとやりすぎなくらい仲見世商店街をフィーチャーしていて、しかも観た後にそこへすぐに行ける。すぐに来れている。
違うところがあるとすれば、アニメに出てきたよりもずっと、「ラブライブ!サンシャイン!!」のビジュアルがたくさん飾られていること。そして、それが地元の人達にも受け入れられてること。
聖地巡礼とか町おこしって今まで全然興味なかったけど、こんなに受け入れられてるんだ!?ほんとか!?と一日中ずっと思っていた。
ライブ前という時期だったのもあるけど、実際、沼津のどこに行ってもラブライブのファンがいて、みんなすごく楽しそうにしていた。
友達と「ブッブーデスワー」って言い合っていたフィリピン人っぽい人。
ニコニコしながらあわしまマリンパークで千歌ちゃんの部屋にあったデカいエビのぬいぐるみを買っていた人。
三津海岸でおれと全く同じアングルで写真を撮っていた人。
松月さんで笑いながら大量のお土産を買っていた人。
やば珈琲でも外のテラス席を見れば、ラ!サ!!のキャラTシャツを着て笑う4人が座っていた。
会った人全員が、本当にラブライブ!サンシャイン!!が好きなんだなと思えたし、それをこんなにも共有できる場があること、それで地元の人達とwin-winの関係が作れていること。
それらは全部間違いなくAqoursがもたらしてくれたものだ。μ'sではなく、Aqoursが。
劇場版のラストで、千歌ちゃんが「ゼロはゼロにならないんだよ」と言っていたことも思い出していた。
まさしくアニメ一期二期を観ての感想、「奇跡は起こせなかったが、それで彼女たちのやってたことがゼロになったわけではない」と全く同じ言葉を、千歌ちゃんが言っていた。
この沼津の町おこしがいつまで続くのか、それはわからない。現にラブライブ!サンシャイン!!の物語は、劇場版で終わりを迎えた。この先Aqoursのエンドマークをどうしていくのか。それはわからない。
でもこの沼津に来て、Aqoursの事を想って過ごした時間や思い出や写真は、絶対に消えてなくならない。
Aqoursの起こした奇跡の町で、Aqoursのことを想う。
全ては繋がった。
あとは5thライブの日を待つのみだ。
・6月7日(金)
これまでの経緯とアニメ一話ごとの感想をこうして書き連ねながら、ライブに向けてテンションを上げていた。
二期のサントラを聞いてEDのソロ&デュオアレンジで涙したり、映画のサントラを聞いて沼津に行ったことを思い返したりしていた。
現地のライブへ行くのは、日曜日の公演だ。ライブ自体は2dayあって、土曜日にも公演はある。
……おれは考えていた。
これだけの熱量があって、土曜日は家にいるだけでいいのか?
沼津に行ったときもそうだ。
Aqoursは、高海千歌ちゃんは、こんなとき一度でも諦めたか?
答えは否。Aqoursは最後まで諦めなかった。
そう、ライブビューイングだ。もうそれしかない。
日曜日の現地でコールを失敗しないためにも、できることはやっておくべきだし、何よりもう我慢ができない。一刻も早くAqoursのライブが観たい。
………だが、またしてもここに壁が立ちはだかった。
eplusでのライブビューイングの一般販売受付はどれも、おれが沼津に行った日の6月6日までしか受け付けていなかったのだ。
あるかわからない、あったとしても関東近郊で席の空きがあるかわからない、当日販売のアナウンスを待つしかないのか?
答えは否。Aqoursは最後まで諦めなかった。
だから、おれも諦めない。
・6月8日(土)
Twitterで検索し、ライブビューイングのチケットを譲ってくださることになった、めがてんさんとチケットの受け渡しをしに新宿へ。
お会いしたらこの後現地に行くまでに時間があるとの事だったので、ライブ前にラブライブ!ファンに聞きたかったことを聞いてみようと思い、話し込んでいました。三時間ほど。
鷺ノ宮:
僕自身はもともとプロデューサーなんですが、端的に言って、ラブライブ!のファンの方って例えばどういう立ち位置でAqoursの皆さんとの距離を測ってるんでしょうか?
めがてん:
そうですね、キャストさんも含めてその子を応援してるという気持ちが強いですね。特にAqoursだと高海千歌役の伊波杏樹さんは、Aqoursとして活動する前から生粋のラブライバーで。元々自身のTwitterでμ'sの話をしていたツイートがあったりして、その頃から同じアカウントで今も活動されている、シンデレラストーリーと言っていいようなバックボーンがあるんです。そういう部分も含めてまるごと応援しているような気持ちがありますね。
鷺ノ宮:
スクールアイドルプロジェクトというくくりもそうですけど、ラブライブ!の物語には、「終わりがあること」がストーリーの中にデザインされてると感じました。
実際μ'sもそうだったし、Aqoursも……。
めがてん:
Aqoursの活動がいつ終わってしまうかという不安は、正直最初からありました。μ'sは映画で本当にスパッと綺麗に終わって、ああ、これで終わったんだという感じが強かったです。今でもキャストさんは自身のソロライブで楽曲を歌ってくれたりしますけど、μ'sのファイナルライブで「ワンマンはこれで最後」と宣言されたのもあって。
Aqoursもきっとそうなるという思いはありました。思い返せば4thライブの時もそうだったし、今回のライブもそう。だからこそ、その時届けられる全力のパフォーマンスを届けてくれるし、僕らファンも全力で楽しもうと思う。それは毎回同じです。
だからライブは思い出一つ一つが特別すぎて、今までのライブの円盤を買ってるけど観れないんですよね、怖くて。
鷺ノ宮:
それはすごくわかる気がします。
めがてん:
でもAqoursが終わっても、思い出は決してなくならないと思います。
実際僕は沼津にも2ヶ月に一度くらいの頻度で行ってて、スタンプやグッズの更新が多いのも楽しいんですけど、それだけ沼津に行ってると、もう聖地とかじゃ全く無い場所に、好きな飲み屋とかBARとかがあるんですよね。
もう自分の一部なんですよ。だからAqoursの活動が何もかもなくなっても、きっと沼津のことは好きなままだし、行ってしまうと思います。
鷺ノ宮:
ゼロはゼロにならないって、千歌ちゃんも言ってましたもんね。実際沼津に行ったときは劇場版のストーリーと舞台が完全に現実と重なって、すごく不思議な気持ちになりました。
めがてん:
そう、Aqoursはね……いいんですよ……映画のこと思い出したら泣けてきた……
(二人でしばらくの間、目頭を押さえる)
鷺ノ宮:
ラブライブ!は終わりがあるということがエモさに直結してると思うんですが、そこで言うとアプリゲームだけは下手というか、長く続けてもらうことが前提だからだと思いますが、やっぱりちょっと違う気がしてるんですが…。
めがてん:
スクフェスはもう6年続いてて、やっぱりゲームとしてだいぶ厳しいんですよね。イベントのたびにアクティブが減ってるのを感じますし。「スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」、スクスタさえリリースされれば、全部一発逆転だと思うんですけどね……。ついに時空さえ歪めて、スクールアイドル同好会まで含めて全員並列に扱うみたいなんですけど。
鷺ノ宮:
え!?!?!?!?!?!?
それって、終わり、なくなってませんか????
めがてん:
実際そうなるかもしれないですね。一生続くプラットフォームになりそうな気もします。思えば次の9周年、ラブライブフェスで全ユニットが並ぶのもそれに近いかもしれない。
鷺ノ宮:
ということは、"Aqoursの物語が終わる"ライブは、今日と明日のこの5thライブしかないのかもしれない…?
めがてん:
そうかもしれないですね……。ヤバイ、泣けてきた……
(二人でしばらくの間、目頭を押さえる)
こんな感じでずっと話し込んでいました。長々とお付き合いいただいた、めがてんさんに感謝。今度は飲み行きましょう。
こうして、ついに迎えたライブ1日目。
ココまででちょうど18000字以上書いてきたコンテンツのライブが悪いはずがないのですが、当然よかった、ということを一旦とりあえず置いておいて、おれが面食らった部分を挙げて行きます。
・キャストさん毎のコールアンドレスポンスが初見だと全然わからないので詰んだ。特に果南ちゃんとSaint Snowの二人は結構な長文の上、キャストさんの言ってる言葉からコールを連想できないので難易度が高い。
・逆に楽曲のコールは難しい部分全然なかった。基本的にはみんなで声を出す部分は画面かバックモニターに表示されるし、Starry-Go-Roundの二番とか、夢咲きAfter schoolのソロ部分みたいな、「知ってないと死」の部分は殆どなかった。おれが単純に楽曲をすごく聴き込んでいたからかもしれませんが……
・インカムマイクのパフォーマンス、やっぱりメチャメチャかっこいい。アイマスやナナシスではハンドマイクが基本なので、期待して行った部分も大きかったけど、思っていた以上にキレッキレのダンスが観れて感動した。「Daydream Warrior」、ほぼEXILE。
・曲と曲の転換が長め。基本的に9人で歌う曲ばかりのため、矢継ぎ早に曲が襲いかかってこない。デレマスの6thのセットリストは34曲、今回のAqoursの5thは22曲。その分ファンも一曲一曲に集中して、全力を尽くしているのを感じた。
・幕間のショートアニメは気が狂っている。今回のライブに向けて楽曲を聴き込む中で、一応CDに収録されたドラマパートも全て聴いたが、どれも気が狂っているとしか思えない脚本でビックリしてしまった。子安秀明さんという方が担当されていて、μ'sの時代から続く伝統らしいと聞いて何も言えなくなってしまったが……。
・劇場版の楽曲はどれも、作中の演出に合わせる形で披露されたため、涙で全く前が見えなくなってしまった。
・6月9日(日)
そして、2日目はついに現地……おれにとっては半年ぶりのメットライフドームへ。
ドームと反対側の道路にあるファミリーマートの隣の、焼き鳥の出店がメチャメチャおいしいので、今回も食べました。推し店舗です。デレマス6thの時にも二日間ずっと食べていたので、去年の写真だと疑われましたが……
レバーとコメカミを塩で食べるのが板。メラドに来る際はぜひ。
そんな現地にきて改めて感じたのは、痛バッグ所持率の高さと、缶バッジを始めとする公式グッズの圧倒的支持率。
推しを証明するため、より多くを所持するため。グッズ同士の交換がそこらじゅうで行われていて、ファン同士のコミュニケーションの中心となっていたのを目撃した。
そしてそれらはひとえにファンの"熱量"そのものに直結していた。
ファンたちの熱量に当てられ我慢できずにリストバンドを購入し、もっくさんからは花丸ちゃんのアクリルストラップもいただいたので身につけて、今自分にできる最高の装備でライブに臨むことに。
まあ、TシャツはROCK OF MINDなのですが……
そして、ついにライブが始まった。
劇場版そのものの衣装とパフォーマンスに開幕から涙し、
スリリング・ワンウェイで爆炎が吹き上がり、
青空Jumping heartの前の席のオタクのフリコピを楽しみ、
予習してきたコーレスは完璧にこなすことに成功し、
千歌ちゃんと曜ちゃんのおそろいの帽子に梨子ちゃんが嫉妬し、
SKY JOURNEYとDaydream WarriorではWIREもかくやとブチ上がり、
幕間アニメは気が狂っていて、
逃走迷走メビウスループは劇場そのもので、
予測不可能Driving!のためだけに製作された車両型トロッコの雰囲気に、
Marine Border Parasolはセリフ部分で感動して動けなくなり、
ハジマリロードはメチャメチャに可愛く、
劇場版のダイジェストは何度観ても泣けて、
月ちゃんの挨拶にも歓声が起こり、
Hop? Stop? Nonstop!で眼の前がスペイン坂になって、
HAPPY PARTY TRAINのバックモニターのPVがよく映え、
”MY LIST” to you!、マジ!?という反応を近くの席のオタクとして、
未来の僕らは知ってるよ、でジャンプを決め、
Saint Snowは滅茶苦茶に盛り上がって、コールで完全に喉を潰し、
Brightest Melodyで完全に前が見えなくなり、
Over The Next Rainbowではタオル片手に一本しかペンラが振れず、
聖良さんのコーレスでは合う色がミックスペンラでは出せずに、
試聴動画しかない新曲を真っ向から受け、
そして、
9色の、虹がかかった。
内情を知らない人に説明しておくと、このブレードの色を合わせて虹をかける企画は、有志がTwitterで呼びかけていたものだ。当日もアリーナ席で、企画者が参加を呼びかけているのを見た。
だが改めて企画のTwitterのフォロワー数やツイートのRT数を見ても、ライブ前にこの企画が周知されていたとは到底思えない。会場のファンたちの、ラブライバーたちの一体感がなければ、起き得なかった奇跡だった。
そうしてDay1のアンコール中に完成した虹が、Day2でもかかったのだ。
鳴り止まないAqoursコールの中で、大きく広がった虹色の景色は。
おれが今まで見てきたどの風景よりも、幻想的だった。
そうしてライブは、AZALEAの「卒業ですね」、Guilty Kissの「Guilty!? Farewell party」、CYaRon!の「サクラバイバイ」を経て、劇場版のED曲の「Next SPARKLING‼︎」へと繋がっていく。
沼津の映画館で見たのと同じラストシーン。
異なったのは、10人目のメンバー、ファンたちの声が、そこに重なっていたこと。
2週間前に見たときには、こんなに感情を震わされると思ってもみなかった、ステージに立つ前の彼女たちの、「Aqours、サンシャイン!!」のコールに。
何よりも誰よりも、声を張り上げようとしている自分がいた。
今回のライブは、おれにとっては「タイミングがよかった」の一言に尽きる。
誘われたタイミングでアニメを観る環境があったこと、楽曲を聴き込む時間があったこと。映画が沼津でやってくれていたこと、沼津に行ける日があったこと。沼津で都合よくバスや船に乗れたこと、通り過ぎる寸前に松月があったことに気づいたこと。LVのチケットを余らせている人をTwitterで見つけられたこと、話しているうちに意気投合できたこと。メットライフドームに来れたこと。映画でエンドマークへ辿り着いた彼女たちの、この瞬間の、Aqoursのライブに来れたこと。
どれもが少しでもズレたり欠けていたら、こんなに感動することはなかっただろうと思う。
でも、感動できたのは単純に運が良かっただけじゃない。Aqoursのライブに賭ける想いは、きっとみんな一緒だった。
このレポートを書くためにセットリストを公開しているブログを見て回ったが、「Aqoursのライブはこれで最後なのか?」という事に関して言及している記事を何度か見かけた。
μ'sが5thライブのときに次回がFINALであることが後から判明したことや、今回のAqoursの5thライブで次回のナンバリングライブが発表されなかったことが重なり、不安を感じているファンもいる。
少なくとも、劇場版を通して、アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」は、明確な終わりを迎えた。
μ'sの活動が終わったときのことだけじゃない。もともと設定段階で彼女たちは物理的に一年しか同じユニットではいられないし、学校を舞台にアニメを展開する以上は必ず卒業というイベントは避けられなかった。
沼津の町おこしだって、過去に前例がないほどに盛り上がっているが、前例がない故に今後どうなっていくのかは誰もわからない。
おれはこう思った。
「終わりを想う」ことが、ラブライブ!の、スクールアイドルの本質だと。
「メメント・モリ」という言葉がある。ラテン語で「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句だ。だが、一番最初の意味は、【人はいつかは必ず死ぬ。その時を思い、生きている今を大いに楽しみなさい】という、底抜けに明るい意味を持つ言葉だった、という話を、信頼できる友人から聞いたことを覚えている。
おれはラブライブ!を追う中で、何度もこの言葉の意味を思い出していた。全てのものはいつか終わる。だからこそ、今この瞬間を全力で楽しむのだと。
でもおれには、言葉の意味を知った後でも、そういった生き方そのものを肯定できたわけではなかった。終わった後に、残るものはあるのか?終わったら終わりじゃないのか?その答えを見つけられなかったからだ。
それを、Aqoursが教えてくれた。ゼロはゼロにならないんだと。やってきたことは全て胸の中にあって、なくならないんだと。
それで初めてはっきりと、終わりを想うということを、全部肯定できるような気がした。
・ミライへ…
おれのラブライバーとしてのキャリアはたった二週間で、この先どれだけコンテンツを追えるかはわからない。またこうやってAqoursのライブに行けるか、CDのリリースを追って聴けるか、正直自信はない。
でも、心は走りたがっている。こんなにも楽しいことが、おれの知らない世界がまだまだ、たくさんある。
どれだけ距離が離れても、何度失敗しても、それはゼロにはならないって知ったから。
おれは忘れない。
Aqoursと出会ったこと、沼津に行ったこと、気の合う友達ができたこと、とにかくタイミングがよかったこと、こんなにも長い記事を書いたこと。
そして、あの虹色の光の中にいたことを。
ゼロから始まって、彼女たちと駆け抜けたこの時を、おれは忘れない。
ライブに誘ってくれた、もっくさん。
9tableのしゃろん。
カップリング談義に付き合ってくれた、室井さん。
LVのチケットを譲っていただいた、めがてんさん。
Twitterのオタクコミュニケーションに反応してくれた、ふくろうくん、アルバくん、ギガスくん。
打ち上げに混ぜていただいた、とっぴさん、にくまんさん、やまねさん、るえさん、大阪のライバーのみなさん。
おれと出会ってくれた、国木田花丸さん。
輝きを届けてくれた、Aqoursのみなさん。
そして23000字を最後まで読んでくれたあなたに。
心からのありがとうを。
(おわりです)