ショートエッセイ:英国「食」旅行記 (7)スポッテド・ディック(あばたのディック)
英国のディナーって(英国に限ったこっちゃないか)、普通は前菜(スターター)・主菜(メイン・ディッシュ)・デザート、というコースになるんだそうです。
しかし前菜っつーから少量のオードブルかと思ってたらこれが意外に量があり、ナリがでかいわりに小食の我々にとっては一人分はちょっとキツい量。で、マナー違反は承知していましたが、エコロジーと食事代節約のため、殆ど我々は一つのお料理をシェアしてました。旦那がメイン・ディッシュ、私がスープという具合に。
でまぁ、シャーロック・ホームズ・パブで夕食を食べたときにもそうしたんですが、このときはおなかに若干の余裕があったのと、たまにはデザートを食べてみたい、という思いで、旦那はアップルパイ、私はこのスポッテド・ディック(あばたのディック)を頼みました。
スポッテド・ディックはこれまた代表的な英国料理の一つらしく、「シャーロック・ホームズ家の料理読本」にも「英国おいしい物語」にもレシピが載ってました。 簡単な作り方ですが、小麦粉をスウェット(牛の脂身。ステーキ用のお肉を買うとついてくるあれと思って頂いて良し)やドライフルーツとまぜまぜして作った生地を蒸して、あったかいカスタード・クリームかシロップをかけて出す、というもの。
私はこの2冊を暗記するほど読みこなしていたので、メニューにこれを発見したときは嬉しかったなぁ~。「本にあったあの憧れのメニューが食べられる!」ってんで。
さて、実物は…。
ほかほかと湯気を立てて現れたそれは、クッキーとケーキの中間のようなずっしりとした食感、蒸したお菓子特有のこもったような香り、干しぶどうの甘味、と実に重厚な舌触りのデザートでありました。
特筆すべきは「これでもかー」とかけられたとろっとした熱いカスタード・クリーム!!
いやぁ、熱いカスタード・クリームっておいしいもんですね~。初めて知りました。ちなみに旦那のアップルパイにもたっぷりとかかってました。
しかし、一応ザンゲしときます。実はわたくし、余りの量に全部食べきれずに残しちゃったのだ。あのコッテリさは正直キツかったっす。でも、隣の英国人カップルはスターター、メイン・ディッシュ、デザートと全部平らげてったっす。それもおのおの一人前ずつ。やっぱガイジンは(略)。