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経営的な、そして人間的な視座を高めてくれた私の3冊

この時期は、高い視座を持ってマネージャーになりたい方や、将来経営者を目指す方にとって、気持ちも引き締まる時期。
そんな皆さんに、私がこれまでに何度も読み返している本の中から、3冊をご紹介したいと思います。また、それらを私がどのように活用しているのか、少しでも参考になればと思います。

過去に何度も読み返している書籍3冊

①「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年」塩野 七生 | 新潮社

【本の概要】
ヴェネツィア共和国の一千年の歴史が書かれた本。ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島において、一千年もの間、自由と独立を守り続けたヴェネツィア共和国。その興亡史から、国家としての組織づくり、組織の仕組み、人材教育について読み取ることができます。

【学んだこと】
ヴェネツィア共和国の建国から滅亡までの一千年が描かれている中で、国家としての組織作りについて書かれているので、組織作りのマインドや仕組みを考える際に参考にしています。

王を主権者とすることが一般的であった時代に、共和制を確立したヴェネツィア共和国では、人民から組織のトップになる人もいたそうです。小さい国家の状態から、どのように国家に貢献する人を育てていくのか、どういう仕組みなのかが書かれています
国と会社では異なる部分もありますが、長い期間をかけて組織の土台を築き上げることは同じ。国家の在り方で、会社を経営する際のヒントにしています。

例えば、ヴェネツィア共和国ではトップを置きながらも、緊急の場合に動く特定チームだけの意思決定機関を用意していました。一方、平常時は大人数の意思決定機構があります
このように、メンバーが主体性を持って意思決定していく場が状況に合わせつつ存在する、というのは重要なことです。

【活用事例】
アディッシュでは、毎週の事業運営会議(経営会議のようなもの)を事業推進・会社基盤の2つに分けて実施しています。この会議では、メンバー構成もそれぞれ少しずつ変えていますし、また、会社全体の重要議題について直球で話し合う「どまんなか会議」というものも行っています。
こういった内容に応じた場を持つようにしています。


「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則 」ジム・コリンズ | 日経BP

【本の概要】
何度も読んでいる定番の経営本。突出した業績を長時間持続させることに成功した、飛躍企業11社が分析されています。
飛躍を導いた経営者の特徴、社内改革や社内文化の構築法について書かれています。

【学んだこと】
私自身の長期計画を立てる際に参考にしているのが、この本です。日々の忙しさから離れ、視野を広げてくれる1冊です。

【活用事例】
未来のアディッシュを考えると、今この瞬間に必要というわけではなくとも、今後は、今までとは違う構造での事業を推進できる人材が必要になっていきます。慌ただしい日々の中で忘れがちになってしまうのですが、将来的に必要な人材を今探しておく必要があるということを、この本を読み返すことで思い出せるようにしています。
今年の重要テーマに合わせて、必要な章を年初に見繕い、何月に読み返すのが良いかを予め計画しています。

ちなみに最近アディッシュでは、UI観点と事業観点の両方に強いデザイナーの採用に踏み切ったのですが、この本のおかげで自信をもって意思決定ができました。短期的な目線では、すぐに何かの数字があがるとかそういうわけではありませんが、長期的な視点で現在地を見るとデザイン面の強化が必要だと判断しました。


「それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条」 ケント・M・キース | 早川書房


【本の概要】
マザー・テレサも感銘を受けたという、ビジネスリーダーからロックスターまで、世界中の人々を勇気づける人生訓「逆説の10カ条」について語られた1冊。この本は、自分の行動原理を見直す際に参考にしています。
「逆説の10カ条」はこちらです。

「逆説の10カ条」
1、人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。
2、何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。 それでもなお、良いことをしなさい。
3、成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。 それでもなお、成功しなさい。
4、今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
5、正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。 それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6、もっとも大きな考えをもったもっとも大きな男女は、もっとも小さな心をもったもっとも小さな男女によって撃ち落とされるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7、人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8、何年もかけて築いたものが 一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
9、人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。
10、世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。
(出典:それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条| ケント・M・キース |早川書房)

【学べること】
「物事には、良い面と悪い面が必ずあるのだから、自分の行いが裏目に出ることがあっても、最善を尽くす」というメッセージが自分の行動原理に影響していると感じます。
経営者は、気持ちが沈むことも多い仕事です。それでも、一つ一つの困難やトラブルに振り回されずに、広い視野を持って突き進めば、世の中に貢献できる人になれる。そんなことを教えてくれた本です。不条理なことも多い中で「それでも、やるのだ」という自分の信念に従う気持ちを強く持たせてくれると感じています。

【活用事例】
実は私は、4月と9月に人類愛を学ぶ月間と自分の中で決めており笑、そのタイミングでこの本を読み返すことも多々あります。この10か条を忘れかけた頃に、胸に刻み直す。自分の原点に立ち戻るための本です。

自分にとって必要な本を、然るべきタイミングで読む


今回ご紹介したのは、歴史本、経営本、人生訓・自己啓発本と、異なるジャンルの3冊でした。経営本だけではなく歴史や、世界で愛されている言葉からもヒントを得て、マインドを整えることもできると思います。

また、同じ本を何度も読み返すことにも大きな意味があると感じています。自分の感じ方が違うし、感じ方が違うことで自分の成長を感じたりすることもあります。

経営者によって、また事業や会社のフェーズによって、どのような本を読むのかは異なるでしょう。数名の経営者におすすめの本を聞いてみても良いかもしれません。
普段はあまり本を読まないという方も、ぜひこの機会に本を手に取ってみてはいかがでしょうか。



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