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カオスから生まれる革新──アドインテ15年の軌跡と未来のビジョン(後編)

前編では、代表の十河がアドインテの設立経緯から初期の広告事業、クレーンゲーム事業の立ち上げ、そして「人を中心に据えた技術開発」という弊社の理念について紹介しました。まだ前編をお読みでない方は、ぜひこちらからご覧ください。


小売業を変えるハードウェア

最新型のAIBeacon。手のひらサイズの設置場所を選ばないデバイス

現在、日本全国に展開しているAIBeaconとAIICOは、小売業界に大きな変革をもたらそうとしています。

AIBeaconは、商業施設などに設置することで来店者の分析を行うことができる独自開発のデバイス。従来のビーコン技術とは異なり、来店者のプライバシーを維持しつつもより多くのデータを収集可能です。店舗オーナーは来店者の行動をより正確に把握し、効果的な販促活動や店舗レイアウトの最適化を行うことができるのです。

AIICOの本体。正面に備える大型のサイネージは画像や映像を流すことができ、商品の告知だけでなく広告媒体としても活躍

AIICOはというと、一見ただの自動販売機に見えますがそうではありません。化粧品のサンプル配布や、食品やカードゲームといった商材の非接触販売など、多様なニーズに対応できる多機能端末です。日本の小売業界において、AIICOは重要な役割を果たすと考えています。

特にAIICOを使ったサンプル配布は、非常に効果的です。従来、メーカーから店舗に送ったサンプル品は、店側の都合で配布されないこともありました。忙しい日常業務と並行して配布するのですから、当然と言えばそうかもしれません。対してAIICOを使えば、店側は人手をかけずにサンプルを捌けます。そして消費者は手軽にサンプル品をもらうことができ、メーカーも効率的に消費者の行動データを集めることができるのです。

​​日本はまだまだ実店舗での買い物が主流で、その特性を活かしたサービスが求められています。リテールテックが発達するアメリカではネット通販が発達していますが、日本ではコンビニやドラッグストアが至るところにありますよね。AIBeaconやAIICOが全国に普及すれば、実店舗が強い日本においても新たな買い物体験をユーザーに提供できるでしょう。

ハードで収集したデータを活用する

ハードの開発にとどまりません。AIBeaconで収集されるデータの活用もアドインテが担っています。例えば、個々の顧客の購買行動を詳細に分析することで、私たちがより効果的なマーケティング戦略を立案、在庫管理の最適化や店舗レイアウトの改善提案なども行います。顧客が本当に価値のある商品、消費者が求める商品を提供することを目指しています。

こういった技術は、将来的に店舗内外の広告やマーケティング活動と密接に結びつき、新しい形の小売体験を創出します。例えば、店舗内のデジタルサイネージや、消費者のスマートフォンなどとも連携させることで、オンラインとオフラインの両方で一貫性のある顧客体験を提供することも可能です。さらに、AIBeaconで得られた来店客の行動データと、AIICOを通じて収集されたサンプル配布の反応データを組み合わせることで、より精度の高いマーケティングができるかもしれません。

農業への挑戦

高知支社の試験ハウス内ではメロンの栽培に挑戦しています。

これまでの話題から少し変わりますが、私たちは現在、遠隔で農業が行えるシステムの開発にも取り組んでいます。この技術は単に農業の効率化だけでなく、社会問題の解決にも貢献できると考えています。

具体的には、遠隔での農業参加を可能にすることで、様々な理由で従来型の農業が難しかった方々にも、新しい働き方の選択肢を提供できると考えています。日々の水やりや収穫などといった作業を遠隔でこなすことで、社会とのつながりを感じながら自分のペースで働くことができるでしょう。

アメリカ製のシステムを輸入して、アドインテで独自改良を加えた水耕栽培システム。写真は本社内のラボにある試作機。

現在、メロンや小松菜の栽培に取り組んでおり、将来的にこれらの農作物を市場で販売することも視野に入れています。収益が上がれば関係者の方々に還元することも可能です。このように、IoTとAIを活用することで、農業は単なる食料生産の場から、社会問題の解決や新しい価値創造の場へと進化していくと考えています。

そして、今はまだ見えにくいですが、今後続けていけば小売の事業とも大きなシナジーが生まれるでしょう。「面白そうだ」という直感から始めた事業でしたが、現在では長期的な視点のもと事業に取り組んでいます。

アドインテが目指す未来社会

私たちが目指すのは、技術によって人々の生活を豊かにし、真に日本に住む人々に役立つことです。日本は成熟社会に入り、様々な課題に直面しています。私たちは山積みの課題に真摯に向き合い、解決策を見出す必要があります。まだまだ日本は変わらないといけない。本当に辛い思いをしている方が多いですから。

まず、重視しているのは、日本人の食生活と健康です。私たちは生産者と消費者の新しい関係性を創り出し、持続可能な形での価値提供を目指しています。大量消費を促進するビジネスモデルは、必ずしも消費者や社会にとって良いとは限りません。私たちは、本当に良い商品を作っている小規模な会社が適切な収益を上げられるような場を提供できればと考えています。

具体的には、都市部と地方の中間地点に独自のスーパーを作り、そこでしか買えない商品を提供することも構想しています。──これも農業と同じくらい突飛に聞こえるかもしれませんね。しかし、POSシステムの開発を祖業とする企業が、総合スーパーの経営に成功している例もあります。地方の特産品や添加物の少ない健康的な食品など、まだまだ価値が知られていない商品を全国に広めて、日本の食文化を守りながら新たな形の小売業を創造できるものと信じています。

未来を創る技術と人材

これまで述べてきたように、私たちは技術を通じて社会の変革に取り組んでいます。しかし、技術だけでは十分ではありません。私たちのビジョンを実現するには、それを推進する人材が不可欠です。

アドインテの特徴は、一見すると関連性のない多様な事業を展開している「カオス」にあります。このカオスこそが新しい価値を生み出す源泉となっています。異なる分野の知識や技術を融合させて新しい解決策を生み出すこと。これが私たちの強みです。広告配信、クレーンゲーム、人材サービス、そして農業など、一見関連性のない事業も、時間とともにシナジーを生み出してきました。

正直なところ、この会社の未来には多くの不確実性が潜んでいることでしょう。しかし、先が見えないからこそ、未来の社会を変えられるのではないかという無限の可能性を私は感じています。アドインテは技術と人間の力を結集して、より良い社会、より豊かな未来を創造していく所存です。

アドインテでは、今後も会社や事業、働く人にフォーカスした情報をnoteで定期的に発信していく予定です。皆さんよろしくお願いします!

編集:アドインテ採用担当チーム