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苦悩の正体はあなたの思考?#4 原因とその対処法を解説

こんにちは!
今回の記事では、今回の記事では私たちがなぜ自ら苦しみを生み出してしまうのか、その原因と対処法を一緒に探っていきます。

なぜ私たちは過去や未来のことを考えすぎてしまい、時にはそのことで苦しむのでしょうか?その答えを見つける鍵となるのは、「言葉」と「思考」です。「言葉」と「思考」は私たちに多大なメリットをもたらしながらも、同時に苦しみの原因にもなっています。

マインドの特徴と人間の特異性

私たち人間は、他の動物にはない、言語思考といった特別な能力を持っています。これによって過去や未来について考え、複雑な問題を解決する力があります。

たとえば、ネコはストーブが熱いことを学ぶには実際に触れる必要がありますが、私たちは「ストーブは熱いから触らないでね」と言われるだけで学べます。これは言葉の大きな力であり、私たちが進化の過程で得た重要な能力です。

この能力のおかげで、火を使ったり、道具を作ったり、さらにはコンピューターやAIまで発明するに至りました。言語の力は私たちに知識を伝え、未来を予測するための強力なツールとなっています。

言語がもたらす苦悩の理由

しかし、言語がもたらすのは良いことばかりではありません。言葉の発達に伴い、私たちは苦悩も抱えるようになりました。なぜなら、言葉は過去の出来事や未来への不安を想像する力を持っているからです。たとえば、過去に失敗した出来事を何度も思い出したり、将来の不安について考えすぎてしまったりすることがあります。

また、言葉は物事を比較・評価する力も持っています。私たちは他人と自分を比べたり、理想の自分と現実の自分を比較したりします。この比較が原因で「自分はダメだ」「もっと頑張らなきゃ」と感じ、不安や自己批判に陥ることがあります。

言葉による問題解決が逆効果になることも

日常生活で何か問題が起きたとき、私たちはそれを解決するために行動します。たとえば、家の掃除、壊れたものを直すなど、実際の環境に存在する問題に対処する際に言語能力は非常に有効です。しかし、このアプローチを自分の内面的な苦悩に対して使うと、うまくいかないことが多いのです。

考えないようにすると、余計に考えてしまう?―シロクマの例から学ぶ思考との向き合い方

「シロクマのことだけは考えないでください」と言われると、どうしても頭の中にシロクマが浮かんでしまう。この心理現象は、多くの人に知られている面白い実験です。ハーバード大学の心理学者ダン・ウェグナーの研究によると、「考えないようにする」こと自体が、かえってその考えを強く思い出す原因になることが示されています。

ウェグナーの研究では、参加者に「絶対にシロクマのことは考えないでください」と指示した結果、多くの人がシロクマのことを繰り返し考えてしまったのです。この実験は、思考の抑制が逆効果を生むことを示す典型的な例としてよく引用されます。

なぜ、考えないようにすると思い出してしまうのか?

考えないようにしようとすると、脳はそのこと自体を意識するため、結果的にその対象を考えてしまうというパラドックスが生まれます。「シロクマを考えないように」という指示自体に「シロクマ」という言葉が含まれているため、思考を抑制しようとするほど、シロクマが頭に浮かびます。

これと同じ現象は、日常的な悩みや不安にも当てはまります。たとえば、「仕事でミスをしないようにしよう」と強く考えると、そのミスの可能性がかえって頭から離れなくなり、緊張や不安を引き起こします。

言葉による苦悩とどう向き合うか

言葉や思考が私たちに与える影響は計り知れません。言葉は非常に強力なツールであり、私たちが学び、他者とつながり、環境に適応するために欠かせません。しかし、この言葉の力が、逆に私たちの苦悩の原因にもなり得るのです。

たとえば、未来への不安や過去の後悔。これらはすべて言葉によって形成され、強化されることがあります。「こうなってしまったらどうしよう」「あのとき、こうしていればよかった」といった考えが繰り返されるたびに、その苦悩が強まっていきます。

苦悩と共存するための方法

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)は、こうした「考えないようにする」努力が逆効果を生むことを理解し、苦悩と共存することを目指す心理療法です。ACTでは、思考や感情を無理に消そうとするのではなく、それらを受け入れながら、自分にとって大切な価値に基づいて行動することを重視します。

苦悩をなくすことはできなくても、それに支配されず、自分が本当に大切だと思う方向に進むことができれば、苦悩との関係は変わります。ACTでは、「避けられない苦痛」と「価値に基づく行動」を両立させるアプローチが取られています。

思考との新しい向き合い方を始めよう

私たちの頭の中で浮かぶ思考や感情は、自然なものです。それらを無理に抑え込もうとすると、シロクマの例のように、かえって強く意識してしまいます。苦悩を避けるのではなく、適切に向き合いながら、それでも自分が大切にしたいものに向かって一歩を踏み出すことが大切です。

今、あなたが頭の中で繰り返し考えていることは何でしょうか?それを無理に消そうとせず、「その思考とどう共存しながら前進できるか?」と考えてみてください。思考や感情は抑え込むものではなく、それらと上手に共存しながら、充実した人生を送るための道具と捉えてみましょう。

苦悩と共に歩む道を選ぶことで、より豊かな人生があなたを待っているかもしれません。

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