ACTとは?#2:苦しみを受け入れる大切さ
こんにちは!
今回はACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)についてのシリーズ第2回目です。このシリーズでは、ACTがどんなものか、そして日々の悩みやストレスとどうやって上手に付き合っていけるのかを、わかりやすく紹介していきます。
今回のテーマは、ACTの基本的な考え方である「苦しみを受け入れつつ、それでも自分が大切にしていることに向かって進む」ことです。その中でも特に重要な「苦しみを受け入れる」という部分を、今回は分かりやすく解説していきます。
苦しみを受け入れるってどういうこと?
まず、「苦しみを受け入れる」と聞くと、「それって我慢しろってこと?」とか、「それが嫌だから困っているんだけど…」と思うかもしれません。もちろん、誰だって苦しいことからは逃れたいですよね。でも、ACTでは、無理に苦しみを消そうとせずに、それを受け入れることが大切だと考えます。
ここで、ちょっと例を使って説明してみましょう。
底なし沼にハマったら、どうする?
想像してみてください。あなたが「底なし沼」にハマってしまったとします。片足がズブズブと泥に沈んで、もう抜け出せない!と感じて焦りますよね。そこで、必死にもう片方の足を上げて、どうにか抜け出そうともがきます。しかし、片足を上げた瞬間、もう片方の足がさらに深く沈み、体全体が泥に引き込まれていく…。
もがけばもがくほど、体がどんどん深く沈んでしまいます。まるで自分の力で抜け出そうとすればするほど、逆にどんどんハマってしまうような感覚です。
もがくな!危険!
なぜもがくほど、危険なのでしょうか?
それは底なし沼にハマったとき、片足を上げるともう片方の足に全体重がかかってしまうからです。最初は両足で体重が分散されていますが、片足を上げると、残った足だけで全体の体重を支えることになり、その足がさらに深く沈んでしまうんです。
たとえば、体重が60kgなら、両足で立っているときはそれぞれ30kgずつ負担していますが、片足を上げると60kgが片足に集中します。しかも、底なし沼の泥は粘着力があるため、上げた足が泥に引っかかり、引き抜こうとすると、沼ぬハマっている方の足にさらに圧力がかかります。こうして、片足を上げた瞬間、どんどん沈んでしまうのです。
これ、心の中の「苦しみ」にも同じことが言えます。
苦しみから「もがく」のは逆効果?
私たちが日常で感じる悩みやストレスも、実は「底なし沼」にハマるのと似ています。たとえば、過去の失敗を思い出してしまったり、未来への不安が頭から離れなかったりすると、なんとかその考えを消そうとしますよね。でも、無理に忘れようとしたり、「こんなこと考えちゃダメだ!」と自分に言い聞かせても、逆にその思考がどんどん強くなってしまうことがあります。
まさに、底なし沼でもがくように、「苦しみを消そうとすること」が、かえって苦しみを増してしまう原因になるのです。
ACTが教える「もがかない勇気」
では、どうすれば心の底なし沼から抜け出せるのでしょうか?答えは、意外にも「もがかないこと」です。実際の底なし沼では、もがくのをやめて体全体を泥に広げると、圧力が広い範囲に分散され、沈む速度が遅くなり、最終的に浮かぶようになります。
心の底なし沼も同じで、無理に抵抗せずに感情を受け入れ、自分の状態をそのまま認めることで、心の重荷が軽くなるんです。ACTでも、苦しみを無理に消そうとせず、そのまま受け入れることで、心の中の重荷が軽くなり、より自由に動けるようになるという考え方をします。これを「アクセプタンス(受容)」と言います。
受け入れることは「諦めること」じゃない
「苦しみを受け入れる」と聞くと、「じゃあ苦しみを我慢しなきゃいけないの?」とか、「ただ耐えるだけで何も変わらないんじゃ…?」と感じるかもしれません。でも、ACTで言う「受け入れる」というのは、決して諦めたり、我慢したりすることではありません。
たとえば、将来への不安があるとき、その不安を無理に消そうとするのではなく、「不安があるのは当たり前だな」と受け入れること。そして、その不安を抱えながらも、自分が本当に大切にしていること、たとえば「家族との時間を大切にする」や「成長し続けること」に向かって行動を取ることがACTの目指すところです。
苦しみが消えるわけではないけれど、その苦しみがあなたの行動を邪魔しないようにする。これが、ACTの大きなポイントです。
まとめ:苦しみを受け入れて行動しよう
今回紹介したのは、ACTの基本である「苦しみを受け入れる」という考え方でした。心の底なし沼から抜け出すために、もがかず、苦しみと上手に付き合うことで、より自分らしい生き方を見つけることができるんです。
次回のブログでは、さらにこの「アクセプタンス(受容)」を深掘りして、具体的にどうやって実践していけばいいのかをお話ししていきます。
心の苦しみや不安に対して、「どうにかしなきゃ!」と感じたら、少し立ち止まって、このACTの考え方を思い出してみてくださいね。お楽しみに!