妊娠中、不安に押しつぶされそうになっている女性に対して、周りの人々ができることはなんだろうか?
妊娠中の女性はとても心が不安定になる。
初めての妊娠、初めての出産、初めての育児に不安が募っていく。
これまでの自分の身体図式が解体されて、妊娠の経過とともにどんどん変容していく。
自分の身体がコントロール不可能になり、自分の身体が自分のものとは思えないような感覚となる。
妊娠は嬉しいだけではなく、身体的、心理的に大きな危機となりうるのだ。
そのような側面は見ないようにして、私たちは妊娠と聞くと、素晴らしいことだ、良い事だ、と祝福をする。
周りから妊娠に対して肯定的な反応をされると、妊娠を素直に喜べない、辛い、不安、という本人の気持ちを表現しづらくなってしまう。
そんなことを思うこと自体、自分はダメなんじゃないか、母親失格なのではないだろうか、と自分自身を責めてしまう。
さらに
妊娠したくてしたんでしょ?
母親なんだから頑張らないと。
そんなのみんな一緒だよ。みんな頑張ってるよ。
という言葉たちは、お母さんたちを苦しめている可能性がある。
妊娠中は、とても気が張っていて、何気ない一言に一喜一憂する。
自分のことなら上手く受け流せても、子供のことだと上手く受け流せなかったりする。
人ひとりの人生を背負うことの重さ、不安に押しつぶされそうになる。
誰に何を言われても不安で仕方がないのだ。
じゃあ周りの人々は妊娠中の女性に対して、何ができるのだろうか。
わからないけれど、肯定も否定もせず、ただ聴くことが大事なのかもしれない。
しんどい時には、無理に前向きな気持ちにさせようとするのではなく、今のしんどさを受け止める。
それだけで、だいぶ救われるんじゃないだろうか。
取り留めのないことをひたすらに考えていたら、その取り留めのない話を聞いてほしい。
そんなこと考えてても仕方ない
考えすぎだよ
と言わないで欲しい。
わかってるけれど、自分ではとめられないから苦しいのだ。
しんどい話を聞いていると、こっちもしんどくなってくる。
難しいけれど、一緒に揺らぐことのできる力を養っていくことが必要なのかもしれない。