BPLS2の無効試合について。
"観るe"あでりーです。今回はいきなり本題ですが、去る2月8日のBPLS2 SOUNDVOLTEX部門 クォーターファイナル第1試合 次鋒戦にて機材トラブルが発生し、両チーム協議の結果無効試合となりました。残念なことに機材トラブルによる試合中断はIIDX部門を含めて(視聴者が知る限り)3回目、BPLS2 SDVX部門では2回目となります。
本稿は以下連ツイの焼き直しとなります。連ツイ読んだことある方はこの後読まなくても大丈夫です。1回目の時は対象をぼかした形で連ツイしていましたが、同じことが起こってしまったので今度はnoteで筆を執りました。
1.不具合は起こり得る
連ツイの際にメンテ切れはあり得ないとのご意見をいただきましたが、私はメンテ切れはあり得るとの立場です。知る限りだと、試合日の筐体はメンテ→練習→本番の流れになるらしく、これは練習での感覚を本番に引き継げる面で合理的なものと考えますが、一方でボタンハマり等の不具合の確率は上がります。また、SDVX部門の2回目のトラブルは電子的なものだと聞いています。
各論は置いておいて、何事もトラブルは起こるものです。そうしたトラブルが発生した場合の取り決めが明文化されていないのであれば、あまりに楽観的またはスポーツとして準備不足です。もしくは明文化されてはいるものの観客に説明が行われていないのであれば、それは運営が責任を果たしていないと言わざるを得ないでしょう。
2.eスポーツには再現性がある
BPL通じて1度目のトラブルの時は冒頭から再試合、2,3度目のトラブルの時は無効試合となりました。
特にSDVX部門のトラブルは2回ともメガミックスバトルで発生しており、先攻後攻、曲順、EXCEEDGEARのゲージの溜まり具合が再現できないので無効試合は妥当という意見があります。
本当にそうでしょうか。eスポーツは入力をすべて電子機器に行うため、その気になれば試合中のすべての入力を再現することができるはずです。例えばストリートファイターVでは過去の試合を(キー入力の表示とともに)再現するモードがあり、注目試合の解説を行う際に利用されています。実装しようとすれば、あるタイミングまで全く同様の入力を再現して試合継続するモードだってできるはずです。(選手は途中からのプレイは無理でしょうので、プレイ自体は最初から行うが入力再現中は前回のキー入力を再現する等。)こういったモードの開発は通常のゲームモード・イベントの実装に比べて利益に直結はしないでしょうが、スポーツとしてやるのであれば必要な投資と考えることはできないでしょうか。
もちろん人間側は再現性のある動きなどできません。特にBPLは一発勝負が魅力だという言説も一面理解はできるのですが、リアルスポーツを見ても陸上でのフライングからのやり直し、サッカーなどでの選手の負傷中断からの再開など一旦試合が停止したうえで再度続ける例はいくらでもあります。個人的にはあまりに一発勝負を神聖化しすぎず、再試合の制度・方法を整えて選手側にも予めその前提でいてもらう方が良いのではと考えます(もちろん、全て無効試合とルールで決めるのであればそれはそれで。)
3.性善説に頼りすぎるな
今までトラブルが発生するたびに、関係者間協議が行われて丸く収まってきました。しかし選手や関係者の中に血気盛んな方や自分たちが有利になるために一切譲歩しない人がいたらどうなっていたでしょう。
この章のタイトルで「性善説に頼りすぎるな」とありますが、これは今までの話ではなく今後制度設計を行う場合にも重要な観点となってきます。ルールの穴を付いて、例えば不利な局面で再試合をわざと起こすような動きが出るようなことも、当然予測すべきこととなります。
わりとBPLはBEMANIを盛り上げようとする気質の選手が多く、また成績が生活に直結していないのでたまたま問題は起きていませんが、これが高額の賞金が動く大事な試合だったらどうなるか。また、特に国際化すると、サッカーなどでもボディコンタクトの許容度や審判から反則をもらおうとする”演技”の是非など考え方が異なる様が見受けられ、意見の違いから既存選手の常識では考えられないことが発生することもあり得ます。
それでなくても、スポーツなのですからどちらの選手も勝利に貪欲になっています。それを踏まえて本来は予め後腐れがないように公平な制度設計をすべきです。
4.おわりに
他のeスポーツだと機材が各選手の持ち込みであったり、またネットワークの不良というどうしようもない外的要因があったりしますが、BPLは幸いにしてそういったトラブル要因は少ない環境にて試合が行われます。それでも、これだけ不具合が発生しています。
ハインリッヒの法則によれば、1つの重大事故の裏には29の軽微な事故があり、その裏には300のヒヤリ・ハットがあると言われています。BPLのトラブルはすでにヒヤリハットではなく軽微な事故と言え、おそらくその他にも諸々問題が起きかけていたのではないでしょうか。重大事故、つまりトラブルによる視聴者減少からのリーグ消滅、を防ぐため、3度のトラブルやBPL ZEROからの蓄積を生かして制度を整え(多分ゼロトラブルはあり得ないです)、何かが起きても選手・視聴者がある程度納得して試合を続けられる環境が作られることを切に期待します。