Commovere
すごく美しい曲に出会った。
Fulminacci(フルミナッチ)の「Santa Marinella」(サンタ マリネッラ)だ。
Fulminacciはイタリアのシンガーソングライターだ。
偏見かもしれないけれど、イタリアの曲を聴いている日本人ってあまりいないのではないかと思う。
いや、そもそもイタリアの曲に触れる機会があまりないといった方がいいのかもしれない。
音楽番組で特集されるわけでもない、街を歩いていてふと聞こえるわけでもない、英語のように必修科目でもないから学校で取り上げられることもめったにないだろう。
私自身、イタリアの曲を聴くようになったのもここ最近の話だ。
今年の5月に初めてイタリアにいったのだけれど、その魅力にすっかりはまってしまった。
流れている空気、まぶしい太陽、時折吹く風、車窓から流れていく景色、
おいしい食べ物─。
何もかもが魅力的で、イタリアに住んでみたいと本気で思った。
そしてイタリアのことをもっと知りたいと思った。
歴史も言葉も文化も。
この思いが冷めないうちにイタリア語の勉強もはじめた。
Dualingoで勉強しているけれど、日常的にもっとイタリア語に触れていたくて、イタリアの曲を聴くことにした。
アマゾンミュージックでItalian songと調べてでてきたアルバムを再生する。
ラテン系特有の陽気な音楽に耳を傾けながら作業をしているとき、「Santa Marinella」が流れてきた。
ギターのコードとともに優しい声で言葉が紡がれていく。
イタリア語はまだ勉強しはじめたばかりなので、どういうことを歌っているのか想像も付かない。
けれどいいなと思った。
どこか懐かしくて優しくてでも切なくて、自然と目を瞑ってしまいたくなるような。
聴いていてすごく心地いい。
素敵なものに時も場所も言葉さえも関係ないのだと改めて思う。
作業の手を止めてききいってしまう。
こんなに綺麗なメロディーで何を歌っているんだろうと気になったから調べてみた。
やばい。
この感動を「やばい」で片付けたくないけれど、それを考える前に色々こみ上げてくる。
よく、推しの尊い場面や感情が高ぶったときに
手を額に当てて天を仰ぐ仕草をする人がいるけれど
そのときの私はまさにそれだった。
しばらくするとこの感情にぴったりの言葉が頭に浮かんだ。
Commuovere
コンムオーベレ
イタリア語で涙ぐむ物語に触れたとき感動で心が熱くなることを意味する言葉だ。
ああ、これだと思った。
それまで音としてはいってきてたものが色を持ち、一つの物語としてかたちつくられていく。
誰かを愛する愛しさ、苦しさ、切なさ。
色々な感情があまりにも人間らしく迫ってくる。
一目惚れならぬ一聴惚れ。
とにかくこの曲に出会えて本当に幸せだ。
特に好きな歌詞
(写真は南イタリア一人旅で訪れたバーリで撮ったものです。サンタ・マリネッラはローマ県の海辺の街なので、海の街つながりでチョイスしてみました。いつかサンタ・マリネッラに行ってこの曲を聴いてみたいな。)