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美醜と恐怖

普段は乗らないようにしている体重計。
久しぶりに乗ってみた。
それが間違いだった。

少しだけ増えていた。

胸がザワザワする。

食欲が増進してしまうような薬を長年飲んでいる。
常に増え続けているわけではないけれど、
飲むようになってからはトータル10kgぐらいは太った。

増加が著しかったのは、2、3年前。
数ヶ月で5、6kgは太った。

ウダウダ言わずに、本気でダイエットをすればいい。
…そんな言葉は、よく見かける。
確かに、その通りなのだけれど。

「体重」「見た目」「食事」
これらを気にするスイッチが入ってしまうと、
転がり落ちていって止まらないであろうことがわかっている。

それはきっと生命維持もままならないレベルで。

そもそも、食事という行為も苦手だ。
外食ならまだマシだけれど、
家での食事は私にとって仕事に近い。

楽しく、ゆっくり食事をするという感覚がわからない。
こなさなければいけないタスクを、素早く漏らさずやり遂げる。
気づけば、そんな感じで食事をしている。

だから、満腹で気持ちが悪いなんてことは、よくある。
最近は、吐くということも覚えた。
吐くまでの気持ちのハードルは高いが、
吐けば少しはスッキリする。

でも、これも常態化してはいけない。

それなりに運動だってしているのに、増え続ける体重。
体に醜く付いていく贅肉。

加齢や薬のせいだから、
ある程度は仕方ないのだと言い聞かせて、
意図的に、意識しないようにしている。

それでも、本当は悲しくてたまらない。
そして、とてつもない恐怖だ。

健康のために太って、
太ったことでまた健康ではなくなって、
痩せるためにさらに健康を手放すことになる。

袋小路だ。

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