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オフザマットオンザマット

台風7号の名前はアンピル
熱帯低気圧に名前を与えると
なぜだか親近感に似た感情が芽生えてくる
アンピル
もう少し逸れてはくれないか
アンピル
ありがとう
アンピルは
福島県には上陸しなかった
しかしてその余波は
想像以上で
思いも寄らないくらいの
雨を降らせて去っていった
雨が降り過ぎると東北本線は止まってしまう
8月17日土曜日
午前中は福島郡山間の運転見合わせ
運転見合わせならばどうする
午前10時にフォーラム福島で
濱口竜介監督の映画 
【偶然と想像】
が上映される
トークとサイン会付きの上映会
あらかじめ席を予約していた為
やっぱり行かないと諦めたくはない
走って行けない時間ではないが
できれば体力を温存しておきたい
開始時間が10時であれば
二本松神社前から
福島駅までの路線バスが出ているはずだ
廃線になっていなければ
思考停止に陥らないように
精神を走らせ続ける

福島駅東口まで片道1070円
所要時間はおよそ60分
時間も予算も電車の倍以上
公共交通機関としての役割
こういう有事の際に
選択肢として
バスもあるっていう事実がありがたい
バス慣れしてないのもあり
何処に座ったらいいんだろう
一瞬の判断に迷う
座った席は優先席
車椅子のマークを見つけて
席を移動しようと腰を浮かせたら
バスは動き出した
優先席なわけだから
譲るべき時に譲ればいいのだ
と自分に言い聞かせて
振動に身をまかせる
道中
熟練のバスユーザーが次々と乗り込んでくる
慣れたものだ
何処に座ろうかなんて微塵も迷うこともなく
整然とみな定位置に着席していく
辺りを見るともなく見てみると
背中にリックを背負ったまま
席に着いている人が目に付く
座席のスペースは狭い
現に私は背負っていたバックパックを
膝に載せてはいるが
とても窮屈
身動きがとれない
降りる時に気づいたが
いざ降りようとしたところで
バックパックを前に抱えていると
時間がかかる
工程の簡略化
熟練したバスユーザー
そういうことか 
時間に余裕もあることだし
900円台のバス停で
降りようと試みたが
Smoothに降りていく乗客達を横目に
もたついてしまって
結果諦めて終点まで揺られ続ける

フォーラム福島の開場時間は9時45分
15分前に着いてしまった
少し走ろう
スロージョグ
フォーラムから県立美術館まで往復して
9時47分
窓口に行列
事前に席を予約していた事が功を奏して
QRコードでピッとしてすぐに入場できた
トイレに行ってから
席につく
隣に人がいる
弟だった
似ているなあなんて思ったら
マイリアルブラザー
兄弟並んで映画を観る
偶然と想像は今回で3回目
会話の間だとか
抑揚なんかが気になる
会話劇
次に何を言うんだろう
日常会話って
スリリング
だって
あらためて
それぞれの
認知のズレだったり
感情のゆれだったり
劇場内は冷房が効いていて身体が冷えてくる
長袖を持ってくればよかったと後悔する
そこまでは頭が回っていなかった

鑑賞後
濱口竜介監督のトークがはじまる
フォーラム福島の館長阿部さんが
インタビュアーになり
話を聞いていくスタイル
そこから
お客さんとの
質疑応答の時間
質問者達はみんな
熱がこもった
的確な
いい質問を投げかけている
静かな熱狂
サイン会
本を買おうかどうか迷って
2冊で5000円するのかと躊躇う
こんな機会はそうそうないのはわかっているが

本当に読みたいのか
その本を
と考えて
今じゃなくてもいいかなって
その場を後にする
時刻は13時を過ぎたところ
電車は動き出しただろうか
午後から運転再開するとは
アナウンスされてはいるが
一度乱れたダイヤは
通常に戻るまでは時間がかかるものだ
経験上
早め早めに動き出した方がいい
福島駅へ急ぐ
ちょうどよく
これから運転再開するという電車に乗り込む
が電車は定刻よりも30分遅れて動き出した
途中で徐行を挟みながらも
なんとか郡山駅まで辿り着いた
身体が冷房で冷え切ってしまった


ブリトマートまで走る
本来なら片道45分かかるところを
意識的にペースを落として60分
身体に熱を宿す
湿気で滝汗
気温はさほど高くはないけれど
湿度がまるで熱帯雨林
空気がねっとりと重たい
纏わりつく
アンピルの残滓
ワンズゲートで出店している
カポノのハーブティーのミルク割を飲んで
クールダウン
フラットホワイトコーヒーファクトリー三春店
に寄って
フラットホワイトを飲んでクールダウン
インサイドフローオフィシャルスタジオに向かう
1年と半年ぶりのミヤちゃんとマイコさん
これからyogapartyがはじまるんだ

インサイドフローは
音楽と身体をシンクロさせていく
ヨガパーティーは
音楽に身体を合わせる事はしない
身体のフローに音楽が背中を
後押ししてくれるイメージ
開放
解放
ひらく
ほどける
踊れないけれど
心は踊る
ならば
身体はついてくる
何年ぶりだろうなんて面々とも再会
ビートビートビート
スクワットスクワットスクワット
シェイクシェイクシェイク
跳ねる跳ねる跳ねる
まわるまわるまわる
高まる心拍数
鼓動とミュージック
出し切った多幸感
からっぽのシャバーサナ

アフターパーティーはノンアルで
呑みたい気持ちもありつつも
復路が待っている事を考えると
素面でもキツいのに
酔った身体では
走り切る自信がない
気になっていた
yogaforeverybodyのタンクトップを購入
せっかくだから 
サイン入れてもらいなよって
二人にサインを書いてもらう
背面のサインは近い将来
擦れて消えてしまうだろうな
それもまた一興
なんとなくお開きムードが漂いだして
また走るのかなんてノロノロと歩き出したら
駅までなら送っていくよって
声がかかる
ありがたい
ありがとうございます
1年前の
ブリトマートサマーナイトマルシェでも
会っていた
ナオミさんカーに乗せてもらう
ここ走ってきたの
ブリトマートに行くときは
毎回走ってますよ
往復90分
無理だ
私は走れない
なので夜にヨガしにいくって難しいんですよね
真っ暗だし
なんて話していたら
もう郡山駅
車って速いんですね
だって車だもの

ストップあんどゴーを繰り返して
冷静と情熱の間を行ったり来たり
あっつい
さむいを繰り返して
私の内側で生まれた熱帯低気圧は
台風にはならずに
雨を降らせて去っていった
アンピル
さようなら












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Cinnamonboy
雨ニモマケズ 風ニモマケズ

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