見出し画像

どんなに気に入っても勇気をもって、立ち去る~香水を買う時のマスト

男性(に限らずだけれど)が、気に入った香りに出会い、自分のものにする、その前に絶対にやらなくてはいけないことがある。

六本木の某セレクトショップで男性が(いでたち、振る舞いから紳士と言っていいと思う)が香水を選んでいた。いくつか勧められ(たようだけれど)、「柑橘系がいい」と一言。店員の方が「柑橘系ならこれ」というのをムエット(香りを試す時に使う細長い紙)で匂って「じゃあこれ」と。

通りすがりのほんの数十秒の出来事だったかもしれない。御自身用なのかプレゼントなのかわからないけれど。シトラスノートはフレッシュとはいえ、夏専用とも限らないし、揮発度が高いのでいつまでも香りが持続することもないから、気軽に使える良い選択と思う。でもね・・・

「明日来てください」かつてそう言われた。本当に信頼のできる、おそらくは日本で初めてと言っていい本格的に世界の香水(文化)を広めるために専門店を開業した女性のお店に行った遥か昔のこと。勧められた香りが気に入って欲しいと思ったのだけれど。

香水には「匂い立ち」というストーリーがありトップノート、ミドルノート、ラストノートと時間の経過に伴い香りは変化していく。店頭で確認できるのはトップノートまで。だから、その先にどんな展開があるのか、ちゃんとラストノートまで一日かけてその香りと付き合ってから、決める、それが香りを選ぶ鉄則だ。前述の「その場で決めない、明日また」というのは本当に香水を愛する人のセールスだったと思う。その人以外に、そんな対応にはであったことないけど、素敵だ。あまりエレガントなたとえではないけれど、採用だって、履歴書だけで決めない、面接して、最終面接もして、質問を変えたりしながらジャッジする。

実際にオリジナルのオーダーをお引き受けすると、いくつかの試作品をまず送るけれど、「トップとミドルはAのタイプ、ラストノートだけBに」なんていうリテイクがまま入る。さっきは採用で例えてしまったけれど、一目ぼれはあっても、プロポーズまでに何回かはデートした方がいいのと同じかもしれない。思いがけないキャラ(ノート)を見つけたり、バイバイとした後に楽しい一日を振り返りながら包まれる雰囲気・・・香水もそこまでのお付き合いをしてから決めた方が絶対にいい。

人には直感でというのはアリだけれど、香水はトップノートの第一印象だけで決めない、これが選ぶ鉄則。みなさん、気に入った香りに出会ったら、勇気をもって「明日決めます」と、その場を立ち去りましょ!




いいなと思ったら応援しよう!