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神聖なトスカーナ 11月10日〜365日の香水


トスカーナというと豊かな自然や素朴だけれど質の高い食文化を想起する。ワインも人気だ。その州都はフィレンツェなので、ルネサンスの発祥の地として、歴史ある文化も豊か。

サンタ・マリア・ノヴェラ
日本でも人気だけれど、ドミニカ会派サンタ・マリア・ノヴェラ修道院ブランドではオードトワレやソープなどフレグランス製品も人気。
中世の修道院は、宗教だけでなく地域コミュニティに必要な役割をいくつもになっていた。学術期間でもあるから薬学の研究のために薬草を栽培し、それはリキュールになったり芳香水になったりした。
サンタ・マリア・ノヴェラ修道院で12世紀頃につくられたのはユリ香水、バラ香水とされている。今のオードトワレくらいの濃度の製品だったと言われている。
すでにアルコールが発見され、蒸留技術もイスラム世界から(十字軍の遠征により)もたらされていたので良い香りを放つ植物のエッセンスをアルコールに溶かすという製造だったのだろう。

ルネサンス
フィレンツェを中心に中世ルネサンスが起こり、ミケランジェロ、ダヴィンチ、ラファエロ、優れた芸術家が数多登場し、科学技術の研究も盛んになる。
ローマ帝国がキリスト教を国教としたために、行き場がなくなったギリシア哲学をはじめとするキリスト教学派以外の識者がイスラム社会に逃れていったことで古代の優れた学問はイスラム社会で継承され発展していた。
これも十字軍によりヨーロッパ社会に逆輸入された。そしてルネサンスがおこった。

メディチ家
フィレンツェの最大の権力者といえば金融商のメディチ家。
芸術のパトロンでもあった。この財力が、今日の数えきれない文化遺産になった。1533年、カトリーヌ・ド・メディチがフランス皇太子アンリ2世の元に嫁ぐ。
カトリーヌがお抱えの調香師であったレナード・ヴィアンコを伴って宮廷入りしたことで、フィレンツェの文化、特に香りの流行もフランスにもたらされた。
匂い手袋〜当時は皮革製品の“なめし”技術が今ほど進んでいなくて、動物臭のマスキングに革手袋に香料を付香したもの〜はカトリーヌが流行させたものの一つと言われている。

tuscany/estee lauder/1992
フローラルオリエンタルタイプでトップのフルーティからスイートで重厚なミドルノート、ラストノートまでヴィロードのような感触の香り。
液体がピーチオレンジになっていて、これがこの香りを表す色なのだと思う。
ルネサンス絵画の女神たちのように、血色の良い肌とふくよかな体と、神々しさを感じさせる。フローラルからオリエンタルのバランスが良いためかと思う。
明るい気持ちと共にやってくるのは一種の神聖さ。
修道院とかギリシア神話とか区分を超越した神聖さは、トスカーナそのものかもしれない。

香り、思い、呼吸
11月10日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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