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全ては書かれている。だから書く。1月5日〜365日の香水
ケセラセラ(que será, será)
好きな言葉を聞かれると、この言葉が自然に浮かぶ。
口に出して”唱えた”ことはないけれど、この”手放し感”が私にとっては「あり方としての究極」に思えるからだ。
なるようになる、と思えることはとてもしなやかな姿勢だ。
それは風に揺れる柳や、尾花の風情にも通じる。
マクトゥーブ(maktub)
もう一つ好きな言葉にマクトゥーブがある。
昔、夢中になったパウロ・コエーリョの『アルケミスト』に出てくる言葉で、アラビア語で「すべては(神によって)書かれている」という意味らしい。この言葉を認識したのはパウロ・コエーリョの別の小説でだった。
(『ザーヒル』だったと思う。未読だけれど『マクトゥーブ』という作品があった)
これは、本当につらい時期に”すがった”言葉だった。
暗い夜の海に灯台の灯を見つけたような救いの言葉だった。
受容の言葉
ケセラセラもマクトゥーブも、現実を受け入れる言葉に思える。
原因究明も大切だけれど、それは時に後悔の山が高くそびえさせしまうことにも思える。
旅先でスリにあったとして、カバンの持ち方や自分の不注意を省みるのはいいけれど、「なぜ、旅行に行ったんだ」「なぜあの場所を選んだんだ」などと悔いて何かがかわるだろうか。
スリにあってもなるようになる、そういう運命だっただけと思ったほうが心の負担は軽くなると思う。
魔法の言葉
辛いとき、後悔があるとき、極度に緊張しているとき、ケセラセラもマクトゥーブも、不要な感情を洗い流してくれる呪文なのかもしれない。
魔法使いの呪文ではなく、私たちの日常のためにあるささやかな自己暗示の呪文。
あなたには、そんな言葉があるだろうか?
小さな時に「痛いの痛いの飛んでいけ」と言ってもらえた時のように根拠のない効果を持つ呪文。
SORTILEGE/LE GALION/1937
365日の香水、フィナーレは「ルガリオンのソリティレージュ」。
ソリティレージュは”呪文”や”魔法”の意味を持つ言葉。
調香師はポール・ヴァシェ(Paul Vacher)で、初代のミスディオール(miss dior/C,dior)、ランバンのアルページュ(arpege/lanvin)などを手掛けた。
リラやナルシス、イリスなどが気品と風格を与え、アンバーやヴェチバーも程よく香りを引き締める。
”白眉のモダンフレンズ”と言いたい。
呪文という名を持ちながら、怪しい雰囲気よりも神秘、迷いよりも信頼に気持ちを持って行ってくれるよう。
魅力的な呪文
ソリティレージュのニュアンスは、マジック(MAGIC)やチャーム(CHRME)に比べると、具体的だ。
魔法という大きな概念世界の中で実際に(呪文を)”唱える”〝書く””施す”ようなことを指すという。
シンデレラの”ビビデバビデブー”や、新月の夜や七夕に願いを書くのもソリティレージュの世界なのかもしれない。
とても詩的で神秘的な言葉だけれど概念ではなく具体的な行為を表す言葉。
私にはここに、二つの意味があると思う。
一つは唱えることがもたらしてくれる魅惑の世界~痛みが消えるなど願いの叶った世界。
もう一つは唱えること”そのものの魅力”。
叶っても叶わなくても、そう願いそう信じて唱える、書く・・・その行為自体が心を満たす、わくわくさせてくれる。
”すべては書かれている”のかもしれない。だからこそ願い、唱え、書く。
香り、思い、呼吸
1月5日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。