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異端の力 9月18日~365日の香水

異端ということ
今日、私たちが生存しているのは、歴史を通じて常識にとらわれず挑戦してきた少数の異端者のおかげかもしれない。彼らは常に少数派でありながらも、イノベーションを起こし、変化をもたらし多数派とは異なる選択をした。
この見解の出典も不明だけれど、イノベーションを起こせるかどうかは、あらゆる組織や集合体の生命線と言っていいし、それを起こす人は常に少数派だという節理は納得度が高い。

芭蕉のイノベーション
イノベーターで思い浮かぶのはたいていの人と同じスティーブ・ジョブズ。それに松尾芭蕉。
芭蕉は長い歴史を持ち貴族文化として定着した雅な和歌を侘びと寂びの俳句に、そして庶民の文化にするというイノベーションは画期的だったと思う。
そんなことわざわざしなくてもいいことを、現状に人々がすっかり慣れ切ってそういうものだと思い込んでいるものを、壊し創出していく。
ひらめき、問題意識、そして好み、究極は自分の好き嫌いに忠実でいたら、周囲と合わない部分がどうしても出てきて、イノベーションせざる得なくなるのではないか、とも思う。
いつの間にか周囲に同調しすぎて、こういうものと思考停止した領域が自分の中にないか、ドキリとする。

ファッション界のイノベーターたち
ファッションにおいては、19世紀的なものが、技術革新や女性の社会進出やブルジョワジーの台頭や、いろいろな要件が重なって20世紀にすべてあらたまった、と言ってもいいかもしれない。
先駆者はポール・ポワレやマダム・ヴィオネだろうか。
社会的なインパクトで言えばココ・シャネルがやはり象徴的な存在。
数年前のシャネル展では半世紀から1世紀前のファッションであるのに、「今見てもセンスがいい、おしゃれ」という声をよく耳にした。
そのはずで、「今」につながる形をこの時に彼女が創ったからだ。
まさに19世紀から”総とっかえ”した。
1世紀も続けば革新は定番に変わっている。

モスキーノの反逆と皮肉
フランコ・モスキーノ(Franco Moschino)という現代では早逝と言っていいイタリア出身のデザイナーは1950年生まれ。皮肉という形で高級なファッションという価値観に反抗した彼も異端者といっていい。
彼は「ファッション業界のアンチで、ファッション業界で成功した」と言われた。44歳問う若さで世を去ったのは、40年前の今日のこと。
価格は高級ファッションに属しながら、アウトプットは俗っぽく・・・松尾芭蕉が和歌の世界に起こした革新とモスキーノのメッセージは似ているようにも思う。
貴族文化や高級ファッションの排他性へのアンチテーゼ。

MOSCHINO/MOSCHINO/1987
モスキーノの第一号の香水。
異端な存在だったモスキーノの香水(特に初期のもの)は品行方正タイプが多い。これもアンバーやムスクが綺麗にまとまり、豪華なフローラルと調和した綺麗なオリエンタル。
ボトルデザインのキャップの部分にパール、ボディにイタリア国旗のカラーのリボンがかかる。叙勲を受けたような誇らしさを感じるデザイン。
パッケージは輝くゴールド。
近年はずっとポップになっていくモスキーノの香水の中で、不思議な存在感の第一号。

香り、思い、呼吸
9月18日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。


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