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ありそうでなさそうでGardenia 6月29日〜365日の香水

そういえば、香水を使い切ることはほぼない
香水を使い切るということは、ほとんどない。
まず、外出するときに付けて出るということがほぼない。
私には香水類は勉強や鑑賞の対象としての役割が大きいのだ。
例外は夏場のリフレッシュに使うオーデコロン類で、これは使い切ったものがいくつかある。
オーデコロンエルメス(eau de cologne hermes)、ジャンマリファリナ(jean marie farina) 、1709(farina)
それでも数えるほど。

唯一の例外はガーデニアのパルファン
オーデコロン以外で使い切った唯一が、シャネルのガーデニア(gardenia/chanel)のパルファンだ。
ガーデニアとはクチナシのこと。
パリのカンボン通りの本店で、ボアデジル(bois de iles)キュイユドルシー(cuir de russie)そしてガーデニアのパルファンのセットが買えると教えられて、出向いたのだった。
20年以上前でユーロは今と同じくらいの1ユーロ170円くらいだった。

軽やかで重厚なパルファン
ガーデニアはパルファン濃度とはいえ、瑞々しいホワイトフローラル系で、とても気に入って、気がつけば使い切っていたのだ。
パルファンだけれど感覚的にはオードトワレくらいの感覚で使っていた。もちろん、パルファン濃度ならではの重厚感や精緻さも堪能できた。

ガーデニアの香料
先日から訪れた唐招提寺の鑑真和上廟の近くにクチナシの木があり、花が咲いていた。
濃厚な甘い香りとグリーン感。香り高い初夏の花。

意外だけれど、クチナシの花から溶剤抽出で香料を採油をしても驚くほどに低い採油率で、商業化に不向きなため、調合香料〜ガーデニア風の香調になるように他の香料を調合してつくるもの〜が使われることがほとんど。
濃厚な甘さを再現させたものが多いけれど、独特のグリーン感を強く表現したタイプもあって、この花の微妙な表情の違いを感じることだできる。

gardenia/chanel/1925
調香師はエルネスト・ボー(ernest beaux)。
NO’5を1921年に世に出し、以後、多くの名作をシャネルに残した。
ガーデニアの調合にはジャスミンやチュベローズを用いることが多い。シャネルのガーデニアからもそれらのニュアンスを感じるけれど、リアルの花の濃密な甘さは抑制されて、グリーン感を巧みに配してブルジョワ好みのホワイトフローラルになっている。
こういうパルファン濃度のタイプは、妙味があってとても優美。
クチナシの花のなめらかで艶のある白さを、香りで再現したような香水。

香り、思い、呼吸。
6月29日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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