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1月19日の香り〜楊貴妃と早春の風〜366の日の偶然と感性
1月19日 ムスク系とシトラスグリーン系
楊貴妃と早春の風
馥郁と香る楊貴妃の傍らを早春の青く冷たい風が渡る。
貴妃の芳しい匂いと早春の香りが瞬間重なる。
彼女も風も通り過ぎた後の残り香。
そんな場面が立ち上がってくるアコードが生まれた。
挙体異香
挙体異香とは生まれ持って芳しい体臭をもっていること。香りをつけるのではなく、その人から香ってくる。
楊貴妃はそういわれた。
当時は希少だったライチを食していたからという話もあるけれど、彼女が無邪気に「ライチが食べたい」といったのは一度きりのことのはず。
以前、私は勝手な想像でそれは、「アンバーのような動物性の香りにシナモンやクローブのようなスパイシーな香りが合いまったような、肉感的でありつつ乾いた感じの甘さ」ではないかと、書いた。あくまで個人的な想像。
胡臭
胡臭とは胡族の女性たちの独特の魅力的な体臭のことのようだ。
胡族は今でいえばイランあたりの地域の人々らしく、楊貴妃も胡族あるいはその血が入った美女と言われている。
漆黒の大きな瞳と豊かなまつ毛、堀の深い顔立ち・・・エキゾティックで神秘的な容貌。
李白はこんな詩を詠んでいた。
胡姫貌如花
当壚笑春風
笑春風
舞羅衣
胡族の美しい女性たちの面立ちは花のよう。春風に笑う。微笑みながら薄い衣に身を包み舞う。
香りの描写はないけれど、馥郁とした空気に包まれていく。
胡族の美女が舞うたびに春風とともに、運ばれる香りが想像されてくる。
ムスク系とシトラスグリーン系
ムスクは動物性香料、現在はほぼ合成ムスクが使用されている。
今回使用したものは、もともとはアンジェリカから抽出されたもの。
アンジェリカは東洋では”女性の不調”に効果があるとされた薬用植物でもある。
合わせたシトラスグリーン系の香料とは、濃度調整のうえで8:2でアコードを取った。
使用したシトラスグリーン系はとても強い香気なので、これでバランスが取れているようだ。
内的世界と自然の共鳴
胡族の女性たちの舞いや楊貴妃と早春の風の光景は、その人が”内面に持っていたもの”と、”自然”が一体化した瞬間の映像化だったと思う。
内的世界と自然の共鳴。
人の数だけ無限に生まれてくる共鳴に思いをはせる。
香り、思い、呼吸
1月19日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。
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