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キャメロット ~ 日生劇場

アーサー王伝説を元にした ファンタジー小説『永遠の王』が原作。
『マイ・フェア・レディ』で有名な コンビ ラーナー&ロウによって ブロードウェイ・ミュージカルになったのが 1960年。
のちに映画化もされたそうで、その時のアーサー王が リチャード・ハリス --- 当世では 映画ハリー・ポッターの二代目ダンブルドアで知られる俳優だ。王妃はヴァネッサ・レッドグレイヴ、ランスロットは フランコ・ネロだったそうだ………..すごっ

おとぎ話であり、 マイ・フェア・レディの作者と思って観ることと、年齢設定の予備知識は必要かと思う。

作品案内を読むと、稀代の名君 アーサーに心酔するランスロットが どういうわけか聡明な王妃グィネヴィアと恋に落ちちゃって、王もそれを知っていて3人とも苦しむ ----ドロドロドラマを期待しちゃいますよね。
でもオーソドックスで豪華なオーケストラに導かれ(ドラムとかエレキとか無いの) 昔のディズニー映画みたいな、一瞬、子供むけ?と感じるような雰囲気で一幕は進む。
おまけに ヒロインの王妃は
「ドラマチックな恋がしたいの〜
「ふたりの男が私を取り合って〜〜
「それが戦争になったり〜〜〜
と しょっぱなからカマしてくれる。 浮舟か? いや 竹内まりやか?
つまり 子供なんですね。
最初の登場時、王妃は 13歳とか14歳とか。アーサーもせいぜい25,6。
ランスロットも高校生くらいでしょう。そう思って観ると腑に落ちる。
それと、アーサーとグィネヴィアは政略結婚で 年齢も離れていて 信頼しあってはいるが恋のドキドキはない。また女性の不義は許されないが、男は適当に浮気して外で子供作っても、眉を顰められる程度 男あるあるで無問題、な時代設定だ。

というような事をのみこんだ上で、脚本の良さを上げると。
平和と法治を目指したアーサーの治世方針に 武力メインだったランスロットも影響されていくのだが、その "法”の不完全さゆえ窮地に立たされてしまうというあたりでしょうか。
社会は常に動くのだから、完全な法を作るなど不可能ですが…

さて舞台。後方3分の1ほどを 左端に指揮者を置く左向きのオーケストラが占めている。演奏者多い。管楽器は贅沢に使われているが 弦は少なめ。
役者が移動できるよう十字に通路がとってある。
前方パートの真ん中らへん?が斜幕で仕切られている。
シンプルなセットに ドレープはしっかりとった衣装が 綺麗に映えて 安心して見ていられる。

演者さん
最近のコーラスはどんな舞台を見ても男声も女声も安定感がありますね。
浸れます。
王妃の 唯月ふうか さん 小柄で声も可愛らしい雰囲気だが、夢見る少女から 徐々に王妃としての自覚・貫禄を纏う歌唱の変化が見事。

ランスロットの桐山くん。ほんまに桐山くん? よく鳴る美声。
WESTで歌うときとは何もかも全く違うためでしょう、 ぎこちなさは残るものの経験積めばよくなること間違いなし。年イチはミュージカル やろか〜
運動神経も良いのでしょう、無駄がない滑らかな動きが 若い優秀な騎士らしくて、若く美しい王妃が 素晴らしい夫がいるにもかかわらず 恋に落ちずにいられない相手役に相応しかったです。

そしてアーサー王坂本くん。
さすがベテランですね。
台詞や歌の分量も多いんだけれど、配分が完璧というか。
最後の少年や従者とのダイアログに続くモノローグ
”法治による平和な社会の夢を、未来に託す……” 輝かしかった。

松竹によるサイト
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/nissay_202310/

※ブロードウェイでも今年リメイクされているようで、そのレポ記事
https://broadwaysquare.jp/camelot/


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