見出し画像

12月28日まで大阪がアートになる「Study:大阪関西国際芸術祭」 その2

一昨日に続いて、大阪関西芸術祭のイベントに参加してきた 足立明穂です。ITコンサルタントなのに、アート作品のイベントなんてとか言ってたら、『アートに囲まれるITコンサルタント』って言われましたw

「シモン・アンタイ-Folding」展

さて、今回は、エスパス ルイ・ヴィトン大阪で開催されている「シモン・アンタイ-Folding」展から始まります。スペシャル・ビューイングと題して、会場前の時間に、解説しながら見学させていただきました。

アンタイの特徴は、キャンバスを折りたたんでシワを付けて、色の濃淡や、わざと色が付かない部分を作るとう作品。

こんな風に、近くで見ると、シワシワです。

わざと白い空間を作っている作品。

さらに、大きなキャンバスを規則正しく畳んで縫うことで、直線として色が付かない部分を作るということもやっています。

これ、ふと思ったのですが、日本の伝統技法である『絞り染め』と似てるなぁって。
布の染色されない部分を作るために、糸できつく結んで絞ると、そこには色が付かず、花の図案のようになります。

色が付かない場所を作り出すというのは、折りたたんだり、絞ったりと、そういうことで計算しつつも偶然できてくる面白さみたいなのがありますよね。

そして、その図柄は二度と同じものが再現されないという唯一無二のNFTにも通じるような感覚を抱きます。

とにもかくにも、作品が大きい!!!

気になったので、質問してみました。どうやって搬入したのか??

大きな作品は、ロールにして運び込み、それをもう一度、貼りなおすそうです。ただ、シワになったりするので、大変だとか・・・。そりゃそうですよね・・・

小さな作品(といっても、一般の家には、とても入らないサイズですけどw)は、クレーンがあるので、それで吊り上げて搬入するそうです。

と、アートの知識がないがゆえに、そんな質問しかできなかった自分が悔しい(^^;

でも、いいんです。アートに囲まれるITコンサルタントなのでw

あ、ちなみに、「シモン・アンタイ-Folding」展は、2024年2月4日(日)まで開催されているので、ご興味のある方は行ってみてください。

https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/magazine/articles/espace-louis-vuitton-osaka

伊藤穰一✕南條史生トークセッション「テクノロジーはアートの未来を開けるか」

このセッションは、めちゃくちゃ楽しみにしていました。

(伊藤穣一さんはリモートでの登壇です)

伊藤穣一さんは、何十年も前に、富ヶ谷にオフィスがあるころにお邪魔して話をしたことがあります。インターネットの先駆けというか、常にテクノロジーの最先端で『遊んでいる』(失礼!)人。今は、千葉工業大学の学長でもあります。

南條先生は、森美術館館長もされた重鎮です。アートイベントのディレクターやキュレーターとしてさまざまなことを手掛けられていて、すごすぎる人です。

こんな2人が対談するのですから、面白くないわけがありません!w

メディアアートの考え方や、変遷、そして、NFTや生成AIアートの話まで、なかなか聞けない話ですよ!!

さぞかし多くの人が聞きに来ているのだろうなぁと思っていたのですが、クリスマスイブの昼ってこともあってか、人が少ない!!
いやーー、もう、私からしたら、考えられないですよ! こんなに人が少ないなんて!!(^^;

お話を伺っていて感じるのは、アートという定義が明確になっていないということや、さまざまな媒体や道具が発展する中で、新しいことをやる人たちが出てきて、常に、『新しいアートだ!』と『そんなものはアートではない!』との論争が続くことですね。

そして、まだまだそういう『道具』を使いこなせていない人間がもがいていくのがアートなのかなぁとも思います。

生成AIが作り出したデータについての著作権問題にも触れていましたが、アメリカでは、純粋にコンピュータが作り出したものは著作物ではないということになっているとのこと。

まあ、これについては、文化庁も同じことを言っているのですが、とはいえ、そこに作者の意図が入ってきている作品については、どのように判断するのかが、なかなか難しい。

例えば、『何か絵を描いて』ってやった場合

これは、なんの私の意図もなく、計算機が出してきたデータの塊にすぎません。

しかし、『クリスマスの夜に、地球をぐるぐる回っていくサンタさんと、そのソリをひく赤鼻のトナカイ。ソリには世界中の子供たちに配るプレゼントがたくさん積まれています。いくつかは、ソリから落ちて、地球上に降り注いでる様子を描いて』と指示した場合

これは、明らかに私の意図があり、ただ、サンタがトナカイのソリでプレゼントを配るというのと違って、プレゼントが地球に降り注ぐというアイデアは私の独自なポイントかとと思いますw

このような絵になってくると、単純にコンピュータが出力したデータだからとは言えなくなってきますよね?

この辺の線引きは非常に難しい・・・

途中で、伊藤さんが、今の生成AIは、新しいアートの可能性を生み出していて、人間が考えられないようなものを組み合わせて、ある意味、めちゃくちゃなものを作り出すという話をしていました。

しかし、人間は、その中でも、アートとしての要素を持ったものを生み出すクリエイティビティがあるという状態で、決して、そこは生成AIでは難しいということです。

ちょいと、この辺、私の気になるところでもあるので、最後に質問してみました。

「生成AIの問題点は、とにもかくにも、とんでもなく速い学習速度で、人が新たに作り出したものを一瞬で学習し、すぐに似たようなものを作り出すところではないでしょうか? そう考えると、生成AIに学習させるデータを人間が作り出す、言い換えれば、AIの餌を作るのが人間のような未来になりませんか?」

で、これについて伊藤さんが、確かにそういう側面はあるけれど、とはいえ、人間は新たなものを作り出すことができるのであり、そこが人間らしさ、人間の持つクリエイティビティで、AIの餌という見方もあるけど、そうではなく、クリエイティブな活動だと思いたいといったことをおっしゃっていました。

南條先生は、落合陽一さんの言葉を引用して、人間は、これからアートぐらいしかやることなくなるんじゃないの?ってwww

ほんと、面白い話で、刺激を受けました!!

アソシエイト ディレクター墨屋宏明によるフェア会場ツアー

大阪関西国際芸術祭のアート&クリエイティブフェアーの会場を、ディレクターの墨屋宏明さんが一緒に開設しつつ回るツアーに参加しました。

まず、アート&クリエイティブフェアーは、アートを展示販売している場所で、多くのアーティスト、コレクター、ギャラリーがブースを構えています。海外のアート作品もあり、なかなか見ごたえがあるのですよね。

以下、個々の作品やアーティストに説明していると、ものすごいことになるので、写真だけ、パラパラと(^^;

オンラインでも購入できるそうなので、チェックしてみてはいかがでしょう?

まず、最初は、グラフティの作品。グラフティ(落書き)は、ストリート・アートの一つですよね。

よく見ると、道路標識をベースに、そこからアートへと仕上げている作品です。

海外でも人気のある作品。縦長なのは、スマホをイメージしているそうな。


いうまでもない、誰もが知る世界的に有名なキャラクター。
それを、うつ伏せにすることで、顔を見せていないけれども、それを想起ささせるという面白さであり、また、著作権ギリギリの表現手法だそうですw


実際につかっていた衣服を素材にしてつくられた作品。
日本の伝統技術である「木目込み」も応用されています。

若いアーティストのペインティング作品。壁は、会場で描いたもの。

絵に指でひっかいたような跡がある作品。アニメのっキャラクターに愛おしさを感じつつも、そこに触れらない気持ちを表現しているとか。

かわいいキャラクターを描きつつ、その背景には、震災の風景であり、その対比がある作品

実際のミカンを皮をアクリルで固めた作品。世界中の人に、ミカンをむいてもらって、むき方の違いから皮の形が違うことから組み合わせて作られている。

廃材を組み合わせた作品

岩を写真撮影し、それを和紙にプリントして作られた作品

デジタルアートを作るアーティストが、それを作る前の設計図を線で表現しているというアナログ作品。

双子の作品で、実際にリアルに作って、それを撮影してから、さらに手を加えて平面の作品にするというもの。

一見、抽象画のようで、その中に、少女のシルエットを見つけた瞬間から、今度は具現化した絵に見えてくる不思議な作品

デジタル画像を生産し、消費されるということまで考えた作品。個人的に、興味を持ったものですね。
映像を編集し、USBメモリに入れて販売。消費されるということで、その映像を編集して使うこともできます。
面白いのが、データサイズの「G(ギガ)」で量り売りしていること!w

デジタルのモザイクになった様子や横にブレた状態などを作り出している作品

素材をいろいろと実験的に試している作品

この作品は、「紙やすり」にペイントしている。独特の色の深みが出ているとか。

インドネシアの14歳の障碍者のアーティスト。世界中から依頼がきている。

アジアのアーティストの作品

サラリーマンがのっかっているという、ちょっと笑える作品

頭は石で、身体は木製の犬。首を動かすこともできる作品。

インパクトのあるオブジェ

そして、面白いアクセサリーの作品「身に着ける芸術」

畳のヘリで作られたブレスレット


香水の空き瓶とふた


ガンプラのフレーム


生成AIでつくられた画像(裏に番号があり、その数値で作られた画像)

こういうアクセサリーって、めちゃくちゃ面白いし、こいうところに日本の伝統文化に直結している素材や技法を活かして作って、そこから世界に広がると面白いって思います。

ただ、もったいないのは、こういうアクセサリーって、身に着けてもらってこそ価値が出る。その身に着けるシーンが、なかなか思い浮かべられないこと。

自分が身に着けて、かっこいい、かわいい、素敵などなど、そのシチュエーションまでも提示することができれば、もっと多くの人に、特に海外などにも届くのではないかなって思いますね。

アートは、流れからすると、インスタレーションのように、空間全体をデザインし、作品化し、世界観を伝えることをやる方向に向かってきています。

私の本業であるITでも、バーチャルやらアバターやら、仮想空間メタバースやら広がってきているのは、世界観を広げることをやりたいから。

また、その世界観を感じたい、世界の中に没入したいと思ってるからこそ、たった一つのアクセサリーであっても、そこから広がる世界観までも見せることで、もっと大きなアート市場ができてくるんだと思いますね(と、偉そうにIT屋が言っておきますw)。

大阪関西国際芸術祭、めちゃくちゃ刺激になり、視野が広まり、ドキドキ、わくわく、いろんな体験ができて、有意義で楽しかった!!!

いいなと思ったら応援しよう!