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「お水取り日記」 第4部(無料)

第4部目次

(まえがき)
●2022年●
1月7日/仕事して日光。滝尾神社は難所だった! 
1月8日/ミッション達成!と深夜の絡み合い 
1月13日/お水取りで越谷を元気に歩くが午後失速。夜に回復して仕事 
4月10日/仕事して、甲府へ 
4月11日/帰京・仕事・POPの発送準備作業 
【あとがき】 


【まえがき】

 合作小説家「安達瑶」の片割れ、安達Oと申します。Oは血液型です。かつては「SMからSFまで」を標榜しておりましたが、現在はひたすら「楽しく読める」エンターテインメント小説を書き続けております。
 そもそも僕は、スピリチュアル系に興味はありません。信仰心もありません。
 しかし……今から15年ほど前、書き下ろし文庫本が売れなくて時代小説やジュブナイルなどいろんなジャンルに手を出しても低迷してどん詰まりに状態になったときに、ある人物から「ウソだと思ってやってごらん」と言われました。
 「*時から*時まで、**の方位にいなさい」と教わるままにやってみたのが「吉方取り」でした。吉方に行ってその地に湧く自然水を戴いてくるのが「お水取り」で、奈良東大寺の「お水取り」とはまた別のモノです。
 とにかく、言われるままにやっていたら、スポーツ新聞の連載が決まったり書き下ろし文庫「悪漢刑事」の増刷が決まったりして(第1作は19刷の大ヒットになり、第19作まで続きました)、ハッキリと目に見える「御利益」がありました。スピリチュアルが嫌いでも、効き目があるのだから続けてみようかな、と思うじゃありませんか。
 「吉方取り」「お水取り」は、「方位学」に基づく「占い」です。「気学」とも呼ばれるようですが、細かいことは知らないまま、実践だけやっています。
 小説の合作相手の相方・安達bは僕と対照的に、スピリチュアルなものに興味があるのですが、「吉方取り」「お水取り」には懐疑的です。ハッキリ言えば、信じていません。それでも吉方が同じで、行く先が奥日光だったり奥飛騨だったりすると、旅行という意味合いで同行してくれたりします。
 「方位学」にはさまざまな流派がありますが、僕が「ある人物」から教わったのは、古代中国から続く方位学の理論「奇門遁甲」が元になっているものなのだそうです。かの諸葛孔明が使い続け、中国後漢末期から三国時代という長い時代に培われた、とされています。他には日本に於ける気学の祖と言われている園田真次郎が編み出したものもあるようですが、僕は知りません。
 「奇門遁甲」は気学の方位学で使われている九宮の吉凶判断の他に、十干、八門、八神、九星と呼ばれる項目や、東洋占術の「命術」と「卜術」の基礎知識がないと理解を深めることが難しいようです。
 とにかく、まずは自分の星を算出します。その方法はネットで検索すると出てきますので、それに従ってください。簡単に出ます。ちなみに僕の星は「六白金星」です。
 星の廻りは毎年違うので、毎年新な年盤・月盤・日盤(これらもネットを検索すると出てきます)から吉方位とその時間を割り出し、その時間にその方位の場所に行き、可能ならその場所で湧く自然水を戴いてくるのです。流派によりますが、ネット上ですべてまとめて調べられるサイトが幾つかあります。検索してみてください。

 この「お水取り日記」をまとめるのに際して、協力してくれた編集者のS氏から、以下のような質問がありました。

1 お水取りを知ったのはいつ?
2 お水取りってそもそも何(歴史も含めて)? 
3 なぜお水取りを信ずるに至ったのか?

 これらは既に書きました。

4 お水取りをするようになって、何かが変わった?

 正直言って、始めた頃は御利益がある実感はありましたが、今現在はというと、情勢に流されているという感じになってきました。
 今、出版状況は悪化する一方です。以前は吉方取りの御利益(と信じていました)で出す本すべて増刷がかかって順風満帆だったのですが……新型コロナ禍の影響も加わって、エンタメ文庫の主戦場たるエキナカ・駅近書店の閉店が相次いだことで、冬の時代です。増刷は滅多にかからず、初版部数も減り続けています。しかし……もうダメか、と頭を抱えていると、新しい仕事が舞い込んだり、不意の増刷が決まったりして、なんとか食いつないでいます。これが、御利益なのか、我々自身の努力の成果なのか、よく判りません。

5 お水取りの作法
6 お水取りに必要な容器
7 お水取りの方角・日時はどこで知る?
8 お水取りで取水した水をどう使っている?

 僕は「方位学」に関して、ズブの素人です。教わったことをただただ実行しているだけで、何がどうなってそういう判断が出てくるのか、全く判りません。ただ、法則に従って割り出されることに従っているだけなので、方位学について僕がなにかを述べるのはおこがましいし、正確なことを述べる自信がないので、それについては僕が使っている参考書をご紹介します。
「九星開運手帳」
「九星開運歴」(カレンダー)
 いずれも千葉の「泉妙易占学院」(https://www.senmyou.co.jp)が発行しているもので、割り出しに必要なデータはすべて載っています。
 「お水取りの作法」に関しては、お水が取れる時間と方位を割り出してから、その地に「安全に飲める水」が湧いているかどうかを調べます。水道水ではなく湧き水です。「日本の名水」のような本やサイトに、飲んで安全な自然水が紹介されていますので、そこで調べます。さらにアクセスも調べます。とんでもなく山奥で人跡未踏の地には行きません。深夜の場合は特に安全な場所に限定します。宿泊施設(と、その付近)で井戸水が汲めるところや、温泉を直接飲めるところもありますから、そういう宿も検索の対象になります。
 神社の境内に「御神水」が湧いている場合もあります。これが第一候補ですが、有名な場所だと物凄く混んでしまう可能性があります。休日のお昼時の有名な場所は、かなり混み合います。大きなタンクに大量の水を採る輩もいます。こういう場合、時間内にお水が戴けない可能性があるので、僕は避けます。
 お水取りの理想的なパターンは、
「その時間までにその場所に着き」
「先に当地の神社にお参りして」(中国で生まれた方位学なのにどうして日本の神社なのかという疑問は湧きますが、「神社には『よい気』が集まっているし、その土地の氏神様に挨拶するのは自然なこと」と言われて、そんなものかと納得しました)
「その時間内にお水を戴き」
「その場で一口飲んでボトルに入れて」
「その翌日から8日間かけて飲む」
というものです。飲む量はコップ半分くらいでいいそうです。どうしてそうなのかは当然、知りません。日本の芸事一般のように「こうだからそうなのだ」というカタチで、理論は飛ばして納得しました。勉強すればその仕組みや原理は判るのでしょうが、僕は勉強していませんので。
 お水を入れる容器は、洗ったペットボトルを使っています。特別な容器は不要です。夏場は保温水筒を使います。
 煮沸しなければ危険で飲めないような水は健康に悪いので、戴きません。東京近郊の水は農薬が含まれている可能性があるので、用心しています。なるべく水質検査済みの「大丈夫なお水」を貰ってきます。
 「お水取り」の時間が早朝の場合、交通機関を使うと辿り着けない時は先乗りして当地で泊まります。お昼とか夕方とか夜の場合は、お水を戴いた後、可能ならばその土地で一泊して、温泉に入ったりその土地の食べ物を食べます。時間もお金もない場合は、帰ってきますが。
 という感じです。
 いろんな星の巡り方によっては、お水が取れない場合があります。そういうときは、当然ですが、お水は取らずに、その地で2時間(最低でも40分。どうして2時間とか40分なのかは判りません)滞在して、帰ってきます。その地のファミレスやファストフード店で仕事をしたり本を読んだりするか、街をブラブラ歩いたりして時間を潰します。
 以前はその地のお砂を少し貰ってきたり、その地に五百円玉や水晶球や願い事を書いた人形の紙や木片を埋めたりしたこともありましたが、今は止めました。理由は、その土地の砂を戴いてくるのも、何かを埋めてくるのも、氏神様に対して失礼だという話を神社の神主さんに伺ったからです。

9 お水取り情報のネタはネットで(無料で)調べられる?

 その年の年盤・月盤・日盤は「気学」とか「方位学」「吉方」などのキーワードで検索すれば出てきます。これは基礎データなので、いろんな流派でも共通です。これに、「歳破」「本命殺」「本命的殺」五黄殺」「暗剣殺」という「五大凶方」や星の「相性」「相克」を加味して吉方位を出しますが、ここから先の「判断」は、流派によって違いが出ます。僕は前述した「泉妙易占学院」の会員になって毎年、データを貰っています。自分で調べる手間が省けるので便利です。

 前置きはこれくらいにします。
 では、僕が実際に「お水取り旅行」「吉方取り」をした「日記」をぜひお読みください。きっとツッコミ処が満載ですよ。撮った写真は、その日の本文の後につけてあります。


●2022年


1月7日/仕事して日光。滝尾神社は難所だった!

 7時1分起床。
 快晴。
 朝のモロモロを済ませて、アサメシは昨日のお雑煮に餅を入れず(けっこう飽きてきた)、つまり野菜味噌汁に卵を入れてご飯小と野沢菜漬け、海苔、カズノコわさびで。
 仕事開始。明日早朝のお水取りで日光に先乗りするので、それまで実日(『紳士と淑女の出張食堂』)第一話の残り10枚をやってしまおう。
 相方はオミクロン株の感染が爆発状態なのに日光に行くのかと怒っているが、今から予約をキャンセルすると違約金が結構な額になるし、お水取りはしたいので、決行。
 12時42分北千住発の東武特急スペーシアをオンライン予約する。
 結局、12時までに10枚超しか進まず、終わらなかった。書けたところまでを相方に送信して、旅の支度をする。といっても睡眠時無呼吸症対策のC-PAPと着替えとMacBookAirを詰め込むだけ。今回は荷物を最少限にする。
 12時過ぎに外出。道の雪はほとんど融けていたしアイスバーンにもなっていない。自転車で駅まで。
 ルミネ地下で、車中で食べる弁当を選ぶ。特急プラットフォームに駅弁の売店があるが、ここの駅弁はもうずいぶん食べたしけっこう割高なので今回は敬遠。
 ルミネ地下にはあんまり美味しそうな弁当はなかったので、マルイの地下に行き、「酢豚と炒飯の中華弁当」を買って、東武北千住駅へ。
 と、特急プラットフォームの駅弁の売店はこの13日で閉店すると。なんだか申し訳ないが……もう少しイイ弁当を並べてくれてればなあ。近隣の店ではもっと美味しくて安い弁当を売ってるんだから。
 しばし待って、乗車。
 席について発車すると、早速弁当を食べる。冷えているがなかなか美味い。
 14時20分頃、東武日光着。

 駅前の「温泉の滝」は凍っていた。なかなか見事。(写真1)


 その近くにある「日光の美味しい水の蛇口」は健在。JR日光駅にある取水場所がダメならここに来ればいい。
 定宿になった「日光ステーションホテル・クラシック」に入って荷物を預けて、すぐにJR日光駅へ。14時37分発の「日光世界遺産バス」に乗るのだ。正月が過ぎて今日は平日だから、前回みたいに二荒山神社の麓までしか行かないことはないだろう……と思ったら、春の行楽シーズンまで(ひょっとしたら通年?)土日祝日や特定日はバスのコースが変更になると。しかし幸い、二荒山神社のすぐそばまでは行く。
 定刻通りに「世界遺産バス」が来て乗車。日光二荒山神社へ。
 お参りして、自分と相方の分の御守りを買い、お神籤も引く。前回は数カ国語併記の「インターナショナル版」を買って「大凶」を引いてしまったので、今回は日本語オンリーのドメスティック版を引くと……大吉だった!
 で。二荒山神社の奥に、別院の「滝尾神社」がある。ここは日光のパワースポットらしい。地図で調べると、歩いて16分で行ける。せっかくだから行ってみる。
 が……。
 歩きにくい石畳と石段が続く難路。それでも途中までは比較的歩きやすかったので頑張って階段を上るが、どんどん悪路になって行くし、階段は延々と続く。(写真2)


 来てしまったことを後悔するが、ここで引き返すのもシャクだ。
 かなり厚着をしてきたので、汗だく。トックリセーターの首回りは汗で濡れた。

 途中、「白糸の滝」。小さいが美しい。しばし休憩。(写真3)


 しかしまだ道半ば。
 必死に階段を上ると、「運試しの鳥居」に到達。ここの小さな穴に向かって石を投げて貫通すれば運がつくらしいが、絶対無理だと思うから、やらず。とにかく「滝尾神社」に向かうのみ。
 やっと、本殿に到達! いやあ、死ぬかと思った。
 二荒山神社でお神籤を引いたので、ここでは引かず、お参りするのみ。手を合わせて家内安全と商売繁盛を祈願する。
 帰りは下りとはいえ、歩きにくい石畳を同じ距離歩かなければならない。地図を見ると、近くまで車道が来ているし、駐車場もある。この道を歩けば楽かもしれない。しかし凄く遠回りして二荒山神社のバス停とは方向が違うところに出てしまう可能性がある。次に来るときはクルマで来るかなあ。いや、次はないかも。
 とにかく歩く。
 途中の階段で若者カップルが座り込んでいた。63歳のジジイは立ち止まってペットボトルのお茶は飲んだが、座り込まなかったぞ!
 おれの姿を見たカップルは立ち上がって歩き始めた。
 やっとこさ二荒山神社の脇まで来ると、小さな男の子2人を連れたお母さんとすれ違った。もう16時近い。今から行くんですかと声をかけたかったが、黙ってすれ違う。慣れているそぶりだったから。慣れてればすいすい登っていけるのかもしれない。

  16時前の「世界遺産バス」に乗って、ホテル着到。しかしこの「着到」ということば、映画のデイリーの予定表でしか見た事がない。調べてみると、歌舞伎の「役者の入り」からきた言葉らしい。
 チェックインして、部屋に入って、ヤレヤレ。
 風呂に入ろうかと思ったが、寛いでしまって仕事が出来なくなるかもしれないので、先に仕事を開始。出発前に書き切れなかった残りを書く。
 夕食をどうするか考える。駅前の飲食店は18時には閉まってしまう。前回入ったラーメン屋はちょっと重すぎる。
 ホテルのアラカルト・レストランは高いが、メニューをよく見ると、カレーとかスパゲティとかトリカラ定食もある。これにするか。
 原稿が一段落したので、風呂に入る。貸切状態だったが、途中でお一人入ってきた。
 サッパリして、レストランへ。
 席についてメニューを見ると、「お疲れサービスメニュー」というのがあった。前回はエレベーターに貼ってあったのだが今日は貼ってなかったのでないのだと思っていたら……。カレーと同じ値段でチキンカツのセットが食えるので、それにする。
 JR日光駅の美しいライトアップを観ながら、食事。チキンカツは控えめな味だった。
 部屋に戻ってコーヒーを飲んで、仕事の続き。
 食後だし、滝尾神社往復の苦闘のあとだから眠くなるかと思ったら、さにあらず。
 仕事は進んで、20時ごろには書き上がる。
 相方に送って、終了。
 テレビを見て、寝る前にもうひとっ風呂と思ったが、面倒になったので、22時にはベッドに入ったが、コーヒーが効いたのか、眠くならない。
 23時頃に起き出して、iPhoneでネットを見て、0時近くに眠りに落ちた。 
 明日は5時起きして、日光駅前で御水を採るが、気温は零下5度らしい。凍り付いて水が止まっているかもしれない。流れっぱなしだから大丈夫だとは思うが……ダメな場合は東武日光駅前まで行くが、それでもダメな場合は、日光消防署脇の「日光の美味しい水飲み場」まで行かねば。ここはちょっと遠い。それでもダメな場合は、旧日光市役所のそばにも「水飲み場」があるが……それでもダメな場合はどうしましょう?


1月8日/ミッション達成!と深夜の絡み合い

 5時、iPhoneのアラームで起きる。
 急いで服を着る。外は零下5℃らしいので完全装備。
 ロビーに降りると、夜勤のホテルマンが仕事をしていたので挨拶して外出。
 ホテルの目の前のJR日光駅頭にある「日光の美味しい水の取水場」が凍り付いているかどうか……。
 おお、見事に流れている! むしろ蛇口を止めている東武日光駅頭の取水場は凍っているかもしれないぞ。(写真1)

 今回のミッションは、これで達成!
 いろいろ最悪の事を考えていたが、一発目で問題なく解決できてよかった。
 せっかくだから日光駅前というかホテルのまわりを少し歩く。朝5時過ぎだから、クルマが2台、通っただけ。しかしホテルの人はもう動いている。
 部屋に帰って武装解除。もう一眠りするか、と思ったが、iPhoneでネットを見たり、テレビを観たり。NHKではキャイーンの天野が仙台牛を食べていた。
 6時過ぎに、風呂に行く。すでに先客あり。温泉に浸かっていると、夜が明けてきた。
 内湯の「熱湯」に入って暖まってから露天風呂に入り、また熱湯に入って、終了。身体ポカポカ。
 部屋に戻って、昨日分の日記を書く。
 部屋のバスで髭を剃り、寝癖がついた髪の毛を整えていると、7時を過ぎた。
 レストランに降りて、朝食を食べる。ここは開業してすぐから何度も泊まっているが、朝食はだんだん品目が減ってきた。それはまあ仕方がないだろうけど……かなり残念だ。
 第一陣は、オレンジジュース、ベーコンとジャーマンポテト、目の前で作ってくれるチーズオムレツ、トーストにコーンフレーク。
 第二陣は和食。ご飯小、豆腐の味噌汁、お漬け物各種、海苔。
 第三弾はスクランブル・エッグにカフェオレ。カフェオレ丼がないので、お茶碗を代用にしてクロワッサンを食べる。
 牛乳とコーヒーで〆て、部屋に戻る。
 まだ8時過ぎ。予定ではチェックアウトの10時まで部屋にいて、JRで宇都宮を経由して帰ろうと思っていたが……JRを使うと運賃がえらく高くなるし時間もかかる。ここは安くて早く帰れる東武を使うか。
 とは言っても食後のまったり感を楽しんで、9時30分に最終的な荷造りをして、9時40分、チェックアウト。
 今回は昨日昼の弁当と、二荒山神社のお賽銭とお神籤と御守り、そして昨夜の夕食にお金を使っただけで、かなり安上がりで済んだ。
 東武日光駅にある「温泉の滝」は昨日より凄く凍っている感じ。
 9時54分発の特急に乗れたが、ここは節約して、10時10分発の各停・新栃木行きに乗る。
 以前の東武はボックスシートの区間急行や区間快速があって、特急に乗らなくても快適だったのだが、今は久喜や南栗橋以遠は各停しか走っていない(正確には僅かに区間急行が走っているが)。急ぐなら特急に乗れと言うこと。世知辛くなったねえ。
 で、新栃木まで1時間。乗り換え時間にトイレに走って、南栗橋行きに乗り、これまた約1時間。特急の通過待ちと時間調整の停車が何度もある。急行とか走ってればもっと早く行けるのに。
 南栗橋で、半蔵門線直通の急行に乗って、一路北千住へ。
 途中の越谷とか新越谷、春日部とか西新井で下車して昼飯、という手もあったが、朝食を食べ過ぎて腹が減らないのと、寝不足と、ロングシートの長旅で疲れてしまったので、お昼は抜き。
 13時10分頃、北千住到着。もうヘロヘロ。
 長距離はもう、特急に乗ろう。90分早く着くのに1500円かかるが、その方がいいや。
 駐輪場で自転車に乗って、帰宅。
 荷解をしたり、くーたんにご飯を出したり(ドライフードのお皿をひっくり返していた)、iPhoneで撮った写真をiMacが読み込まず、再起動したりして、昨日分の日記をアップしていると15時近く。
 本来は15時30分から北山先生の気功があったのだが、オミクロン株の感染爆発で急遽中止になった。今回は完全に在日米軍の管理の甘さから持ち込まれたのに、政府は米軍に抗議も出来ない。実質上、日本は占領下にあるのと同じであることを告白したも同然。
 とは言え、さすがに無策では批判されるので、政府はアメリカに申し入れて少し改善されることになったが……。 
 17時近くなって、買い物もあるので、千住大橋の「ポンテポルタ」に行き、まず「餃子の王将」で、天津飯と餃子3本を食べる。注文してから、今日は卵料理ばっかり食ってることに気づいたが、まあいいや。本当は頼みたかった「スパイシー・フライドチキン」もメニューにあったが、見送る。
 美味しかった。おれはB級グルメの味に慣れてしまった。
 そのあと、「ライフ」でくーたんのちゅーるなどを買い、「マツキヨ」でシャンプーとパブロンゴールドを買って、帰宅。
 ニュースを観て、「ブラタモリ/南極」を観る。最新の合成技術で、まるでタモリが南極にいるように見える。凄い技術だねえ。ブリザードとか吹かせたら現地からの中継にしか見えなかった。
 風呂に入って、21時58分、就寝。昨夜は寝たのかどうかよく判らない感じだし、3時間の長旅も疲れたし。
 1時過ぎに、くーたんがゴソゴソしている音で目が覚めた。案の定、デスクの下にBigBenをしていたので実弾処理。
 それで目が覚めてしまったので、止せばいいのにiPhoneでTwitterを見たら……。
 以前から陰でおれに絡んでいるらしい「某氏」(アイコンが帽子の某氏)が、また、おれについて書いているらしいことを知ってしまった。
 「某氏」とは、以前は海外旅行にも一緒に行った仲だが、東日本大震災の時の原発事故で考え方が大きく違うことが判り、いちいち反論とかしたくなかったので書き込みが目に触れないようmixiのマイミクを切ったら途端に「敵認定」されてしまった。「某氏」の基準では、友人でなければ「敵」なんだそうだ。
 ブイブイ言わせていた頃はオタク界の盟主的存在だった彼はすでにオワコン状態だったし、別にどうでもいい存在ではあったが、陰でコソコソおれの悪口を書いていることは伝わっていたので、その都度、この日記で言いがかりについては反撃してきた。
 それも、最近は目にしなくなった。「某氏」に触れるのも穢らわしいので、絡みがないのはおおいに結構。
 しかし、ここんとこ、おれが在日米軍や日米地位協定について日記やTwitterで言及しているのがご不満らしい。
 「某氏」は、書けば書くほど無知蒙昧さと自分の歪んだ歴史観を露呈する損なタイプだから、放置しておけばいいとは思ったが、バカにバカ呼ばわりされるのも片腹痛いので、反論しておく。
 基本的に、アメリカは日本を「特別視」している。それは第二次大戦時に日系人だけ強制収容所に入れられた事でも判る。同じ敵国だったドイツ系やイタリア系は(日系人のように集団では)強制収容所に収容されなかった。
 戦時中のプロパガンダ映画を観ても判るが、日本とは文化も宗教も人種も違う。それに、開国して一気に「列強」入りを果たし、史上初めてアメリカ本土を攻撃した「敵国」というのは大きい。
 それに加えて、戦後の「驚異的な復興」「焦土から世界第2位(当時)の経済大国にのし上がった」日本に脅威を感じるのは当然かもしれない。経済で抑え込むのは大変だからせめて軍事上は抑え込んでおきたいという戦略をアメリカがとっても不思議ではないだろう。だから、戦後、日米地位協定は日本側に不利なまま固定された状態であるのだと考える。暴露王・エドワード・スノーデンは「日本のライフラインの元栓は横田基地にあって、アメリカの判断ひとつでこの元栓を止めて日本を麻痺させることが可能」と言っているそうだ。その意味はよく判らないが、そういう意識がアメリカにあるということは事実なのだろう。
「某氏」は日本の自前の軍事力が弱いからアメリカと対等になれない、だから憲法改正が必要だとかクソなことを書いている。
 同じ敗戦国のドイツやイタリアはアメリカとかなり対等な地位協定を結んでいるが、ドイツもイタリアも単独での軍事力は弱い。しかしNATOがある。この違いは大きい。
 東アジアの仮想敵国は、かつてはソ連、今は中国も加わったが、NATOのような組織はない。それが大いに残念ではある。
 韓国はアメリカに対してかなり強い態度を取るが、韓国軍が強大だからではない。アメリカの敵国ではなかったからだ。
 ……という事を、如何にコンパクトに書いてやろうかと考えていると目が冴えてしまって、4時近くまで寝ては目を覚まして断続的にTwitterを見てしまった。「某氏」の新たなアカウントもブロックしたので、これっきりにしたい。これほど無駄なやりとりに時間を使いたくないのだ。氏は暇を持て余してるんだろうが、おれは忙しいの。


1月13日/お水取りで越谷を元気に歩くが午後失速。夜に回復して仕事

 6時56分起床。
 曇りだが予報では晴れ。雨が降るかもという予報もあったが、空を見る限りそんな感じはしない。明日の方が晴れるようだが風が強いので、洗濯物を干す。
 朝のモロモロを済ませていると、空は晴れてきて、やがて快晴に。
 今日は9時~11時でお水取りが出来る。先週日光に行ったばかりだし、昨日のテニスの疲れが残っていたら止めようと思ったが、元気なので行く。
 北千住駅構内の「丸亀製麺」できつねうどんを食べる。これがアサメシ。
 区間急行で越谷。乗り換え案内では久伊豆神社方面に行くバスに間に合うはずだったが、駅前のバス案内が不親切でよく判らず、結局、乗り遅れてしまった。次のバスまで約20分ある。
 ええい面倒だ、とタクシーに乗って、久伊豆神社へ。ここはかなり前に2度ほど来たことがあったが、近年はご無沙汰していた。以前は歩いて行ったので、田畑の間を歩いて元荒川が近くに流れていたという記憶があったが……クルマで行くと、田畑なんかない。ご無沙汰している間に宅地開発されたのか記憶違いか。まあ歩くのとクルマでは道も違ったんだけど。

 で、久伊豆神社到着。
 ここはとても立派で広い神社。(写真1)


 お神籤を引くと「末吉」だった。
 お参りしてから、お水を戴く。(写真2)


 ここは市街地に近いけれど、水質検査をしているので安心だ。 境内をしばし散策。
 池のまわりも歩き、畔でしばし休憩。縁日の屋台がたくさん出ているが、まだ早いのでどこも営業していない。(写真3)


 一応、久伊豆神社に40分は居た。
 長い長い参道を歩く。本当にこの神社は広大だ。
 北越谷駅の方が近いので、北越谷駅まで歩く。約20分。
 元荒川はなかなか美しい。このあたりに住むのもいいなあ。しかし元荒川も洪水を起こす危険はあるよなあ。川の近くは危険かな。
 越谷駅で久々に「青木亭」のラーメンを食って帰ろうかと思ったが、北越谷駅に向かっているので、それは中止。1駅電車に乗って降りるのもナニだし。
 北越谷駅前にはおかずがいろいろ売っている弁当屋もあったが、ここはおとなしく電車に乗って北千住へ。
 帰路、スーパーでのり弁とトリからおにぎりを買う。出来たてが並んでいたのでまだ暖かい。 帰宅したら12時。
 弁当を食べてしまう。
 食後、仕事開始。「内閣裏官房3」の第4章の構成、今日こそ終わらせよう。
 しかし……睡魔が襲ってきた。昨日の疲れと越谷を歩いた疲れと満腹で。
 昨日録画し忘れた「有吉の壁」を見逃し配信で観る。つくばのドンキを借り切っての収録。面白い。この番組では「U字工事」と「三四郎」と「ジャングルポケット」が冴えてるなあ。
 観ていると相方から電話。仕事の打ち合わせをする。 
 で、仕事に戻るが……睡魔は晴れず。
 まだ17時だが早めの夕食。昨日買ったロールキャベツをホワイトソースで煮て、新宿アカシアの「ロールキャベツシチュー」風にして食べる。あと、お総菜のスパゲティサラダとご飯小。 午後10時、ゴミ出しをしてからメールをチェックすると、実日の第1話の原稿ファイルが相方から届いていた。
 やってしまうことにする。
 一度ざっと見てチェックのマークや部内メモを削除しつつ細かなところに手を入れ、もう一度読み直して、相方が変更した箇所について、変更したならこっちも変更すべき、と手直ししたり、表現の重複をカットしたりの調整をして、「決定稿」にして、担当F氏と相方に送る。 風呂に入り、汗が引くまで録画した「新・美の巨人 修善寺新井旅館」を観る。修善寺を代表する老舗の名旅館。一度は泊まってみたいけど、修善寺には鉄道模型が走る巨大ジオラマのある旅館もあるしなあ。修善寺の竹林を散策したいねえ。
 0時26分、就寝。
 今夜もなんだか面倒くさい夢を見たが、これは目が覚めると忘れてしまった。

4月10日/仕事して、甲府へ

 7時11分起床。
 快晴。
 朝のモロモロを済ませて。アサメシはご飯中に卵かけご飯、しらす、やみつき海苔、キュウリの糠漬け。
 仕事開始。徳間新作「降格警視2」の最終話を書き続ける。
 ツイッター世論では「映画の撮影現場の怒鳴りは悪である」ということになってしまったらしい。
 一般職場と映画の撮影現場は単純比較できない。特にロケの場合は光線状態や天候に左右されるので現場は殺気立って早く撮ってしまいたいという気持ちが最優先になる。それは怒鳴られる方も理解している。で、ミスったら「バカモノ!」になるが、一過性でまったく後に引かない。陰湿さゼロ。
 まあそれはおれが経験した現場だけのことで、他の現場では陰湿なクソ野郎がネチネチ罵倒してくることもあったのかもしれないが……。実際、おれもスタッフルームで酔っ払った先輩にネチネチとエンドレスな小言を食らったことはあった。それも毎夜。
 まあ、「怒鳴りは絶対悪」と主張するヒトは、現場で散々な目に遭って、それがトラウマになってしまったのかもしれないし、職場でネチネチ叱ってくるクソ上司に辟易しているのかもしれない。
 言葉が通じないのは残念だけど、そう思うことにしよう。今まで何度もやり取りをしてきたその人物にブロックされてしまったのは悲しいのだが。
 旧知のS氏からから電話が入る。自称「甲府のプロ」を豪語する甲府に詳しいS氏が、おれが今日甲府に行くということで、電話をくれたのだ。いろいろ情報をうかがう。ゆっくり観光したいのだが、そもそも甲府に行っている場合ではないのは確か……。 
 昼は抜いて、仕事続行。というか、あんまり腹が減らなかった。
 15時過ぎまで仕事をして、書けたところまで相方に送る。
 くーたんに多めのご飯を用意して、16時過ぎに外出。

 北千住から上野東京ラインで東京駅。
 「駅弁屋 祭」で弁当を物色し、「やまゆり牛のしぐれ煮弁当」を買って、17時15分発の「特急かいじ」に乗る。
 定刻に発車したが、すぐに止まってしまった。17時8分に八王子・西八王子間で人身事故が発生したらしい。
 神田でしばらく停車して新宿まで進み、長時間の停車。
 駅弁を食ったが、あまり美味しくなかった。「牛のしぐれ煮」って、こんな感じではないと思うんだけど……。
 電車は、かなり遅延することが判ったのでメシ的に危機感を抱いたが車内販売がないのが残念。
 1時間ちょっと遅れで新宿を発車。
 東京駅を出たときはほとんど空席だったが、新宿で停車している間にどんどん埋まって、おれの隣の席にも親子連れが座った。 たぶん、特急の運行が優先されるので、みんな乗ってきたんだろう。 赤ちゃんは可愛いが、話しかけるのもアレかなと思って躊躇してしまった。カリカリとポッキーみたいなのを食べるのが可愛かったのよね。ずっと機嫌もよかったし。
 仕事をしようとしたが、出来ず。
 20時15分頃、甲府着。駅の「いろり庵きらく」で天ぷらそばを食う。
 今夜の宿「センティアホテル内藤」までタクシーに乗ろうかと思ったが、節約して歩く。が……なかなか着かない。こんなに遠かったっけ。
 遠い上に、Appleのマップがウソを教えて、ホテル近くで迷子になり、焦る。結局アプリはホテルの裏を案内したのだ。
 部屋に入って荷物を置いて、すぐに外出。今夜のミッションは、当地の「遊亀温泉」に入り、稲積神社でお水を戴くのだ。もちろん、お水取りがメイン。不測の事態を考えて、プラン4まで考えたが、21時すぎにはホテルに着いたので、すべて予定通りこなせるだろう。
 ここは、安い! しかしフロントもしっかりしているし、部屋も小ぎれい。
 外出しようとしたが、部屋のドアがロックできない。フロントに電話したらフロントマンが来てくれたが、その前に、ドアのピッチを押せばロックできることが判った。トイレのドアと同じタイプだったのね。最近では珍しい。
 で、「遊亀温泉」まで歩いたが、これがまた、思った以上に遠かった。(写真1)

 源泉掛け流しらしい温泉(塩化物泉|炭酸水素塩泉)は、普通の銭湯で、石鹸がない。買わないと石鹸が使えないのだが、もうお湯に漬かってしまったので、石鹸なしで顔を洗う。
 浴槽は「熱い」「ちょっと熱い」「普通」の3種類。「熱い」は本当に熱くて入れない。
 地元の常連さんがワイワイ入っている。
 お風呂の喫煙所で一服して、本日の目的地、稲積神社へ。(写真2)

 お参りしてから、お水を戴くが……しまった。ここは「お砂取り」も出来るのだった! しかし和紙などの用意がない。
 残念だが、お水だけ戴いて、帰途につく。
 甲府には昭和の香りを残す「アダルト地帯」が数ヵ所にあって、その研究家も存在する。帰路、その一つの前を通った。なかなか興味を惹かれるのだが……一見さんが気軽に行ける駅前の飲み屋って感じではない。入ってみればそんなコトはない、居心地のいいお店らしいのだが……。
 ホテルの近くのコンビニでおにぎりやレモンサワー、柿ピーを買ってホテルに帰る。
 一服したくなって、ホテル玄関脇の喫煙所へ。
 部屋に帰ってオニギリを食べ、ネットで帰りのバスを予約して、レモンサワーと柿ピーを食べ、0時過ぎに就寝。

 乗っているバスが増水した川に転落、というパニック映画みたいな不吉な夢を見たが、おれは全然濡れずに次のカットでは何事もなく歩いていた。こういうギャグがボブ・ホープとビング・クロスビーの「珍道中」ものであったよね。ボブ・ホープが「どうやって助かったのか説明しても判ってもらえないだろう」とカメラ目線で言って済ませてしまう。
 寝ている間にC-PAPを落としてしまい、それで目が覚めてしまった。朝の5時。
 以下、明日の分へ続く。


4月11日/帰京・仕事・POPの発送準備作業

 バタンという音で目が覚めたが、寝相が悪くてチューブで繋がっている睡眠時無呼吸症の機械C-PAPをサイドテーブルから床に落としてしまったのだ。
 壊れていないか明かりをつけて確認したら目が覚めてしまった。それが5時過ぎ。
 寝直したが、半分ウトウトしてやっぱり目が覚めて、6時起床。
 晴れ。
 朝風呂に入ってホテルの安い髭剃りを使ったら顔が血だらけになってしまった。
 昨日分の日記の下書きをして、7時過ぎに1階の朝食会場(夜は居酒屋)へ。(写真1)

 「甲府のプロ」を豪語するS氏は「あんまり期待しない方が」とおっしゃっていたが、おれには大満足。朝カレーもある。ご飯を大盛りにして貰った。和食に海苔がついていないとおれは満足出来ないので、昨夜コンビニで海苔を買ったのだが、ついておりました。
 出汁巻き玉子、筑前煮、ハムサラダ、焼き鮭、お新香、ワカメの味噌汁、焼き海苔に大盛りご飯、そしてトマト風味のカレーライスで、大満足。配膳の女性も気さくで温かく、とても嬉しい。このホテルは大満足。甲府にお水取りに来るときの定宿にしよう。(写真2)


 部屋に戻って、少し仕事。予約したバスより1本早くしようかとも思ったが、相方へのお土産を買ったりすることを考え、また、そんなにあくせくすることもないだろうと、予約通りの10時発のバスに乗ることにして、9時過ぎまで仕事をする。
 本文を書くほど落ち着かないので、最後までの展開を考えてコンテというかハコ書きにする。名案が思いついた。これはいけるぞとイソイソ。
 9時過ぎにチェックアウト。今回は「じゃらん」のポイントを使ったので極めて安く泊まることが出来たが、普通に支払っても、ここは安い。一般的な甲府観光をするには駅から遠いが。

 駅まで歩く。もう既に暑い。Tシャツの上にすごく薄いフードパーカーを着ていたが、暑い。 甲府市役所前の桜が美しい。
 20分ほどかかって、甲府駅南口に到着。
 駅ビル「セレオ甲府」でトイレを借り、お土産を物色。信玄餅は知っているが「信玄桃」というお菓子を初めて見た。桃のようなお饅頭。信玄餅と合わせて買う。
 2時間超のバス移動中、トイレに行きたくならないように何度もトイレに行きつつ、バスターミナルでバスを待つ。
 9時50分ごろにやってきた高速バスにはトイレがついていた。安心。
 定刻発車。市内数ヵ所に止まってお客を乗せていく。だったら駅まで行かなくても、もっと近い「中央三丁目」のバス停を使えたな、と思うが、調べたら数分しか違わない。
 最初はガラガラだったけど、それでも総勢10人ほどの乗客。
 後ろの席のオッサン(おれもオッサンだけど)が、ずーっとクシャミしまくって鼻ズルズル。どうして鼻をかまないのだろう? 紙がないのならトイレに行けばいいじゃないか。
 ときどき、「鼻を豪快に啜り上げるおれってカッコいいだろ!」みたいに思い込んでる(としか思えない)クソ野郎がいるが、全然カッコよくないからな!
 こういう手合いは、鼻をかむと死ぬと思ってるバカとしか思えない。ガキじゃあるまいし。これでこのオッサンが新型コロナ感染者だったらたまらんぞ。まあたぶん花粉症なんだろうけど……。
 本当に参った。
 車窓は楽しい。小さな滝が見えたり、桜がまだ咲いていたり。防音壁で相模湖はよく見えなかったけど。
 オッサンの不快を感じつつ、定刻より早く、12時チョイ過ぎに「バスタ新宿」着。
 新宿に来たんだから、桂花のラーメンを食べて帰ろうと思っていたのだが、なんだか腹が減らず(朝ご飯をたっぷり食べたとは言え)、気も急くので、寄り道せずに帰ることにする。
 思い返せば2011年3月のお水取りで盛岡に行ったとき、何故か気が急いて直行で帰宅して、北千住に帰り着いた途端に、あの大地震が来たのだ……。
 今回、気が急いた理由は、くーたんが心配だったから。
 しかし……東京も暑い! もう、あせだく。

 13時頃に帰宅。
 くーたんは元気だったが、床にBigBenとゲロが。
 きれいにして、ご飯を出し、荷解して旅先で書いたメモがきちんと母艦iMacでも読めることを確認。
 真夏のように汗をかいたので、シャワーを浴びる。
 そうすると一息つけたので、外出。
 吉野家で「アタマ大盛の牛丼Bセット」を食べ、スーパーで今夜用の天ぷらと韓国海苔巻きを買って、帰宅。
 こちらから発送するPOPに書店さんの店名を書き入れていく。
 思ったより早く出来たが、小さな字を根を詰めて書いたので、目がショボってしまった。
 録画した「鎌倉殿の13人」を見る。市川染五郎の目許が祖父の松本白鸚に似てるなあ!「美男子と言われ慣れてる!」というギャグについて、当人は「そんな事言われたことはありませんが、そういうお役として演じました」って。当代幸四郎も現代的な二枚目だけど、当代染五郎もいいねえ!
 で、木曽義仲はイイヤツなのに、教養のなさがアダとなったのね。鎌倉で不穏な動き。八重さんはもうお腹が大きい!
 本当に、毎回が怒濤の展開だ!
 「せっかくグルメ傑作選」も見る。安曇野の回は過去に何度も見たなあ。安曇野、行ってみたいねえ。
 強い睡魔に襲われた。やっぱり久々に旅に出ると疲れるのね。けっこう歩いたし。
 そうこうしていると、所用で外出していた相方が来訪。
 早速、うどんを作る。戴き物の「極太うどん」は茹でるのが大変なので、カトキチの冷凍うどんと「ヒガシマルうどんスープ」と買ってきた「春野菜の天ぷら盛り合わせ」で。韓国海苔巻きも。
 なかなか美味い。
 食後、手分けして封筒に宛名ラベルを貼り、挨拶状を入れ、宛名に見合う書店名を記入したPOPを入れ、初めてかそれに近い書店さんに名刺を入れていく。ほとんど内職だが、これは志願してやっていることだから。
 そこで、いろいろ食い違いが出てきたが、なんとか処理。書店名入りPOPはあるのに宛名を貼った封筒がないとか、発送リストにない書店さん用の封筒もPOPもあるとか。
 まあ、多少の手違いはあるでしょう。
 23時近くになって、なんとか終了。
 相方を見送って一服して、今日は昼にシャワーを浴びたので、そのまま23時10分、就寝。


【あとがき】

 ここに収録した「お水取り日記」は、15年近く続けている吉方取り・お水取りのごく一部です。最近の日記から信心深いくせに疑り深い編集者・S氏に編んで貰いました。
 モノカキという職業は、生活も仕事も不安定です。波に乗っているときは実入りも良くてブイブイ言わせたい気分になりますが、基本的に水商売です。浮き草稼業です。勤め人のように安定はしていません。ある日突然、売れなくなります。
 しかし人間、今の繁栄が永遠に続くと思いたいもので……。「不振は一時的なもの」と信じて、もしくは信じたくて、それまでと同じような暮らしを続けて、ある日、ヤバいと気づきます。負債が膨らんで、経済環境は変わってしまったことにやっと気づきます。
 でもまあ、僕がカタストロフ(劇や小説の悲劇的な結末。破局の意)に至らなかったのは、まえがきにも書いたように、もうダメかもと思ったときに救いの手が現れたからです。相方の尽力がその最大の要因ですが、最近では新型コロナの給付金や支援金とかも含まれます。そして、遂に65歳になったので年金の受給も始まりましたし……。
 物心ともに相方の存在はとても大きいのですが、破局をなんとか食い止めてくれている別の力は「吉方取り」「お水取り」と考える事は可能かもしれません。あんまりベタに信じないで、「鰯の頭も信心から」という感じで、考えています。金銭的・時間的に、行けるならば行ってこようというユルいスタンスです。
 「お水取り」を口実に、水の都・松本や大垣といった素晴らしい街を知ることも出来ました。日立の「御岩神社」や大洗の「大洗磯前神社」のような神秘的な神社にも行くことが出来ました。吉方取りでも、東京近郊の成増から和光に向かう川越街道の風情、深夜の鵠沼海岸、中野区の新井薬師から中野に至る街の温かな雰囲気、同じ国立市でも国立駅周辺とはまるで雰囲気が違う谷保駅周辺と美味しいお店などを知る事が出来て、これは確実に豊かな時間となりました。
 お水取りを始めて約15年。ハッキリした効能はあったのか? と問われれば、あったような気がする、というのが答えです。まったくなければ続けていないでしょう。お水取り・吉方取りを始めて間もなく、新聞連載が決まったり、長編小説の増刷が決まったりしたので、「これは御利益がある!」と思って、励んだのですが、その御利益には期限がっあたのか、最近ではあまりなくて……。しかし、お水取り・吉方取りにかこつけて旅や街歩きを楽しんでいます。これだって、効能と言えなくもないでしょう。
 とにかく、「書を捨てよ町へ出よう」です。町を歩けば、いろんなものに出会います。それが刺激になったり、仕事のネタになっているのは確実です。
 ということで、僕の場合は回り回って、やっぱり効能は充分にあるし、一生続けていける「趣味」である、という答えに辿り着きます。

 編集子さんからは、僕の行動についていくつかの質問も受けました。

1 一日のうちでおみくじを引くことが複数回あるけど、これまたどうして?

 「凶」とか出たら(滅多に出ませんが)嫌なもんだし、当地に有名な神社が複数あれば、その都度引いてしまいます。何度引いても悪いことではないそうですし(悪いと言う人もいますが、どっちにしても根拠はないハナシです)。

2 神社仏閣に対する信仰はあるの?

 特にないです。でも、人智を越えたパワーというものはあると思ってます。霊的なものは在るかもしれません。世の中のことをすべて今の科学で割り切ろうというのは人間の思い上がりでしょう。そこまで科学は発展しきっていないとも思いますし。

3 たとえば風水というような運気を上げる智恵についてはどう思う?

 「風水」は「方位学」「気学」と近しいものだと思いますが、詳しい事は知らないので、何も言えません。何も知らないので、風水的な事はしていません。方位学的にやっていることが風水の一部門かもしれませんけど。

4 先祖供養が足りない、みたいな反省から、弱気になることありますか?

 ありません。反省したこともありません。そこに踏み込むとカルトの餌食になりそうです。マトモな神社仏閣はそんな事を言わないですし。

5 「お告げを聞いたことがある」「お化けを見た」「死者の声が聞こえた」というようなスピリチュアル体験、ありますか?

 母親の葬式で撮った「出棺」の時の写真に、棺桶から発するひと筋の光が写っていたり、友人の密葬の時間に、家族だけだと聞いていたので遠慮して出席せず自室にいたら、やはり出棺の時間に、部屋に大きなラップ音が響いたり、墓地の裏にあるビルで幽霊らしきものを見たことはありますが、しょせんはその程度で、僕には霊感はまったく無いと思っています。

6 自分の性格は強いと思いますか? 弱いと思いますか?

 すぐにくじけるので、根性は弱いと思います。でも、案外、ここぞと言うときは頑張ったり、本当にムカついた相手とは喧嘩して決裂しても平気だったりします。

7 「私は全然ツキがなくて……」などとしょんぼりしている人にアドバイスしてください。

 そういうアドバイスは、僕には無理です。アドバイスする資格がありません。僕自身、今日もツキを求めてあれこれもがいています。

 さて。
 統一教会のようなカルト教団の「異常な信仰」が注目されていますが、気学の指導者に有り金全部を寄付するようなことはまったくありません。かかる費用は旅費(交通費)だけです。
 決められた時間に(場合によっては宿泊してまで)お水を取ってくるというのも、端から見ればかなり異様な行動かもしれません。「科学的根拠が乏しいのに信じてしまうってことは宗教的だ」と言われることもありますが、これは初詣やパワースポット巡りと同じレベルだと思っています。
 僕の「連載が決まった、増刷が決まった」という御利益も偶然の産物であって、何らかのパワーのなせる技ではないのかもしれません。これは証明出来ないことだから、「御利益だった」と強く主張はしません。これが個人崇拝になったりカネを寄進しろとか言われるようになったらキッパリ止めるつもりです。何時どこに行けばいいという割り出し方はもう知っているし、ネットには無料の方位学や気学に関する情報が溢れているので……。
 まあ、吉方取りは「ウォーキングや気分転換のような小旅行」的にやっているし、お水取りをして悪い事は起きないので、続けています。個人の内で完結していれば、一般的な趣味と同じでしょう。

 みなさんも是非どうぞ、とは申しません。運が1ミリでも良くなれば、これはもうメッケモノ。そういう軽いスタンスでやっています。あくまで、エンターテインメントとして受け取ってください。

 ……と、2022年の夏にいったん、書いてみたのですが……その後、いささか心境の変化がありました。
 一つは、上記した「カルト教団の異常な信仰」について、真剣に考える機会が増えたからです。
 「お水取り」も「吉方取り」も「信心」に基づくものだとは思います。最初は「御利益があるからやる」極めてドライな気持ちで始めたので、宗教とはまた別のものだと考えていたのですが、これはやっぱり「信心」以外の何ものでもないでしょう。
 以前から僕は、「宗教」にはアレルギーのような気持ちを持っていました。寄進を強要されたり生活を破壊するほどのめり込むのは異常であると思いますが、それだって、「大病が治った」「不幸の連鎖を断ち切れた」という現世の御利益があったからのめり込んだ人も多いはずです。
 相方から「科学的根拠が乏しいのに信じてしまうってことは宗教的だ」と言われたことについて、最初は反撥と否定の気持ちしかなかったのですが、だんだんと「それもそうだなあ」と思うようになりました。「宗教心」があることは悪でもなんでもないと思いますが……経済的に余裕がないときに、最近は効き目が全然ないのに「やっていればいずれ御利益がある……はず」と思って続けるのは「異常な信仰心」と言われてしまっても反論出来ない、と思い至ったのです。
 「お水取り」「吉方取り」は、初詣やパワースポット巡りと同じレベルだとは思いますが、元来、初詣は近所の神社で済ましてきたし(遠くの有名神社にわざわざ出かけるという「風習」は参詣客を見込んで敷設した鉄道会社の陰謀によるもので、近年の「恵方巻き」やクリスマスにチキンを食うという奇習と同じ)、パワースポットなんてほとんど関心が無かったのだし……このへんで、生活全般を見直してリストラすべき事はリストラしようと思いつつあります。
 商売繁盛を願って続けてきたことですが、家計が苦しくなる一方な今、御利益が見込めない行動は整理の対象となりました。しかし……「吉方取り」にかこつけての街歩きは楽しいもので、健康増進の一助にもなると思うので……やめてしまうかどうかは検討中です。
 ただ……「お水取り」も「吉方取り」も、宗教につきものの難行苦行(と勝手に考えています)とはまったく無縁の「ちょっと努力は必要だけど基本的に楽しい」ことなので……必要経費によりシビアになりつつ続けていくのもありだ、というのが落ち着きどころです。
 2023年はまさに家計が逼迫状態という苦しい状態が続き、お水取りが主目的、という「贅沢旅行」を控えて、ごくフツーの1泊2日旅を3回しました。
 2024年はどうなるのかな、自分でも読めません。
 追記的になりますが、最後にひと言。2023年の夏、石川県で天然水を使った流しそうめんで食中毒事故が起きてしまいました。安全だと思われていた天然水にカンピロバクター菌(鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息する細菌)が含まれていたのが原因でした。神社の御神水は水質検査をして安全性を確認しているところが多いのですが、全くの天然の湧き水は誰も保障してくれません。湧き水の採取については、くれぐれもご用心ください。市街地や耕作地、牧場などのそばの湧き水は特に、環境省などの資料などで安全性を確認の上、お使いください。

                                   2023年12月4日記

著者近影(@Charamaker)

著 者:安達O(あだち・おー)

合作作家「安達瑶」の片割れ。1958年横須賀生まれの徳島育ち。
日大芸術学部映画学科監督コース卒業。市川崑監督の弟子をへて、エンタ小説家(合作)。著書に『悪漢刑事(わるデカ)』『内閣裏官房』『悪徳(ブラック)探偵』『降格警視』各シリーズ他多数。本作は累計刊行点数100冊超え記念出版。

MAIL:adachiyo@nifty.com
Twitter:https://twitter.com/Adachi_O1958

毎日欠かさず日記を書いてます ↓
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