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【ご挨拶兼初学者向け企画】徒華はどこから来たのか、徒華はどこへ行くのか、徒華ミリオタは何者か

この記事は永遠のマージナルマン、北条岳人がお送りします。
@adabana_gakuto


前文

 主催から挨拶がありましたが、この徒華新書は運営体制が変わります。

「(何も本を出したりしてない、という意味において)無名だった我々が印刷費は回収できる程度に同人誌を売って売って売り抜いたことで自信がつきました、
でもこれをもっともっと大きくしていくには、もはやサークルという範疇では収まりきれないところまで想定してしまったんです。
❝ある種のベンチャー❞になっちゃった以上、『二人で壁サーになろう』って約束したのに、このサークルが決定的に変質してしまうんです。ベンチャー社員として俺と心中できますか?」と問われました。
 ぼくはこう答えました。『お前と組むのが嫌な訳じゃないし、嫌だったらとっくに三行半を叩きつけてる。だが、ぼくはどれだけ短く見ても12年は精神の傷を放置してた全身グジュグジュ人間だ。
ついていけるうちはいい。でももし耐えられなくなって廃人になったり、それこそ自殺でもしたら、お前の文筆で立身出世したいという夢を決定的に阻害することになる。お前の足手まといにはなりたくない。お前と死ぬと100%で言い切れないぼくを許してくれ。』
 お互い納得して、お互いに泣いて通話を終えました。なので、第2号の徒華新書は、主催の単著となります。読者の皆様方には、なにとぞ、ご理解を賜りたく存じます。
主催は、ぼくの後輩であり唯一無二級の友人でもあります。その後輩の決意の門出を、なにとぞ、なにとぞ応援してやってくださいますよう、この北条岳人、皆々様に伏してお頼み申し上げます。

 それはそれとしてぼくは時々この徒華のNoteとして記事を書いたり書かなかったりします。
ぼくは永遠のマージナルマン。主催から「現役大学生とつるもうとするのいい加減やめろよ」と何度もバチクソに怒られながらも、「後輩に本を貸したり知識を提供しようとしているだけ」だの
「本義的には、オタクには年齢も学歴も関係ない」だのなんだの言って、現役のとこに顔だして本を貸したり発表聞いたりする、教職なり損ないガキ大将気取りのクソガキです。
 でもだからこそ、我々の「初心者と中級者をつなぐ」という理念のために。あるいは主催が記事を作る時になんかの話のタネやフックになったりすればいいと思って、
Noteの方には顔を出したり出さなかったりするということをしないと、自分のやってることの❝道理が通らねえ❞というか一貫性がないと思うのです。
現役学生も主催もぼくの後輩であり、ぼくが過去のエッセイで書いたように(「ぼくが持ってないものを持っているが故に接点を持ちたい」と望むところの)異才ないし異才見込みであることに変わりはなく、
主催はぼくの唯一無二レベルの友人でもあります。だからこれは、連続性のある類似した事項なのです。少なくとも、マージナルマンである現状のぼくの中では。
「大人になれよ」という一般論に対して「今のぼくはマージナルマンとしてしか生きられない。ならばマージナルマンであることを徹底する」、というのがぼくの今の方針です。
とはいえこんなアダルトチルドレンの記事なんて読まなくてもいいですから、主催の記事を読んでください。よろしくお願いします。

本題の前文

  さて、月も変わりましたが、改めて「夏コミ月」お疲れ様でした。
自分の15年を形にしたものが、主催に曰く「印刷費❝は❞回収できる」程度には世界に行き渡り、ミリオタツイッターラの中では世界ランク的なものが非常に高い、えすだぶ先生からレヴュウもされていました。手厳しいところもあって無限に恐縮しましたが。

 「人はいじめられたところで精神の成長が停滞する」ということが指摘されています。それで言えば精神年齢は下で6、上を見ても13の状態で大学生になり、
そこで就活に失敗、「実質徴兵」と言われる自衛官候補生にすら落ちて現在進行系で12年立ち直れず今年に入って漸く「これ一人じゃ無理」と思って精神科に通い始めた精神全部傷口グジュグジュ人間が、
「一生手をつけられずに人生ごとエタる前に」形にしたものが、上位ミリオタによる批評までを含めて❝Eシリーズ全体に関する先行研究❞のようなものになるというのは、
ミリオタをやめられなかった身としてはーー尤も、ぼくは最悪ゼミ論すら書かずに卒業できる学部だったのでゼミ論までしか経験してないのですけれど、
「ちゃんと学術(アカデミア)してる」みたいな気分になっています。まさに(あとがきに書いた)「墓碑銘」として、たとえぼくの身になにかあっても❝先行研究❞はこの世に残る訳ですからね。

 しかもそれだけでは留まらず、ミリオタではないけど「『初参加だし……う〜ん300部!w』したってマジ?」という物珍しさで当日見に来てくださったり、(通販も含めて)手にとってくださったりした方までおられます。大変ありがたいことです。
 この300部ぶんの印刷費は主催の懐持ちなので、結成時点で『あんたは文字だけ書いて、知り合いの大物から援護射撃だけもらってろ』と言われたぼくには、
ものすごく極端で冷淡な話、完売しようが一部たりとも売れまいが、少なくとも直接的な経済的にはかけらも関係ないのですが、
たとえ仮にそのようなーー『初参加300部という狂気の沙汰をしてる変人を見に来た』という動機を含むものであったとしても、
理念と魂を形にしたものが「『ミリオタ』の外」にまで❝輸出❞されたという事実は、我々の理念に照らし合われば全く喜ばしいことであります。

我々の理念と目指すべきところ

 我々はーー少なくとも我々がそう自認する限りにおいては、『初心者と中級者を結ぶ、駆け出しの初心者を中級者へと導く手助けをする』のが役目のサークルです。
 それは例えば、アズールレーンや戦艦少女Rでだけ海軍を知ってるオタクに『戦艦シャルンホルストの最期が泣ける話でさぁ……』とか、
『アズレンのイベントストーリーでサラトガとネヴァダとかが出てきた「幻」はさぁ……』とか、『駆逐戦役の題材になってるナルヴィク海戦って、マジで駆逐艦しかその場にいない状態で英国戦艦出てきちゃってさぁ……(だからハードが駆逐縛りになってる)』とか、
『この動画!この人の動画見れば帝国海軍のあらかたがかなり正確に分かるよ!』とか、『これ、頭からっぽにしてできる海軍バカゲーだからおすすめ!』などと言い募ることです。

 それは例えば、ガールズ&パンツァーで戦車に興味を持ったオタクがいれば、「劇中に出てきた戦略大作戦は見たかい?あれ、特段の深い前知識もいらないしおすすめ戦争映画よ!」とか、
「逸見が好きな戦車にあげてるシュトゥルムティーガーってぼくも好きな戦車なんだけど戦車にとって毒沼以外の何者でもない市街地戦に投入されるべく作られた戦車っていうところがたまらないよね……」と戦車の魅力を語るとかです。

 それは例えば、ネット上に戦車不要論のような明らかに誤った見識を垂れ流す者がいれば、「私が間違っていました、後生ですからなにとぞ自己批判と総括をさせてください」と泣いて懇願するまで情報で殴ることです。
(この戦車不要論全力批判は過去の記事でやりましたけれど。)

 それによって「じゃあ世界の海戦史?って本を図書館で探してみるか」とか、「アズレンに出てくるスキルやストーリーの元ネタ調べてみるか」とか、「ウィキペディアで第二次ナルヴィク沖海戦とか北岬沖海戦について調べてみるか」とか、「本屋のミリタリーコーナーを覗いてみるか」と思ってもらうこと。
 そう思わせること。
それが我々の目指すべきところであり、「さういうものに我々はなりたい」のです。

その上でのこの記事の主眼

 ……で、ここで問題がある訳ですが、ミリオタの「外」にまで本が届いた今、我々を見ているのはミリタリーを1ミリも知らないという人もいるかもしれない、ということです。

 ミリオタというのは、自分で言うのもなんですがかわいそうな生き物です。ぼくはもうミリオタをやめられないのでなんとも思いませんが、少しでも間違ったことをいうと艦砲射撃のように批判が飛んでくる世界です。

 これだけ萌えミリが裾野を広げているにも拘らず、未だに萌えミリ
否定派みたいなのもいたりします。シューティングゲームで例えれば「東方はキャラ萌えだからシューティングじゃない!オトメディウスなんて以ての外!」みたいなことをマジで言ってる人たちがいるってことです。ゼビウスでバキュラに256発撃ち込んでろよって話です。

 特に映像作品での供給が渋めです。日本の戦争映画なんて人間ドラマ(笑い)や恋愛(笑い)に注力しまくってちゃんと戦争してくれませんし、元レンタル店入荷担当だから語気を荒げますけどアルバト口(くち)スとか彩プ口(くち)の邦題の付け方や説明を含むパッケージセンスのなさと言ったら!
原題「Saints and Soldiers」シリーズはパッケージを1ミリも信用しなければ普通に見られる作品なんだけど、パッケージがまるで漫画のウェブ広告(侮蔑表現)みたいに変なところを切り取ったりしてるから中身との乖離感がなぁ……

 それでもミリオタをやめられない我々は、普段どんなものを見ているのか?なにを考えているのか?というののごく一例を、
具体的には、例えばどんなブックマークを使ってて、どんな本や動画を見ていて、(個人の感想として)どんなサイトや情報を面白いと感じるのか?
それを特に「ミリオタではないけど今回本を買ってくださった人たちに」向けて投射していくのが今回の主眼です。
以下に示すのはほんの一例ですが、ミリオタじゃない人は「へ~そうなんだ」と言っていただけたり、初心者ミリオタの人は自分のステップアップの参考にしてもらえれば、
「歴史や軍事って面白いんだぞ!!!!!!!!」って地球を3周するくらいの大声で叫ぶ我々の理念に照らせば、こんなにうれしいことはありません。

調べ物の時によく使うURL

青葉山軍事図書館>軍事・兵器大辞典
 ミリタリー関連で見慣れない単語を見かけた時、なによりもまずここで調べます。ミリタリー関係で分からない単語があったら、ここで軽く調べるだけでもだいぶ違ってきます。

Tank-encyclopedia、戦車研究室
 戦車に関して調べる時は、とりあえずはこの2つを抑えておけば問題ないでしょう。第一次大戦から戦後まで取り揃えており、開発や運用なども触れてくれるので、ありがたいです。

https://tanks-encyclopedia.com/

keyのみりたり~なページ>軍用航空機データベース、軍用艦艇データベース(アーカイブ)
 昔は死ぬほどこのサイトを使ったものですが、惜しくも閉鎖されてしまいました。とはいえ日本語サイトで軍用機や軍艦が充実しているサイトと言えばとりあえずここ「だった」ので、インターネットアーカイブから今でも使っています。

MEDIAGUN DATABASE
 
銃火器について調べるときはとりあえずここ、というサイトです。アニメや漫画などに出てくる銃器も調べられるので、コスプレする人にも嬉しいところ。

個人的に面白いサイト

STRANGE VEHICLES OF PRE-WAR GERMANY & THE THIRD REICH (1928-1945)
 
この世にはロケットバイクという加速用ロケットを取り付けた乗り物があった、それだけでなくロケット自動車やロケット鉄道車両も、ということを初めて知ったサイトです。ロケット鉄道ってなに……??
 それ以外にも、全長500m超(!)重量6万トン(!!)水中も移動できる(!?)敵陣地下に穴を掘ってトンネル爆弾作戦に使うとされていた「ミドガルドシュランゲ」など、民間・軍用問わずドイツ製の変な乗り物がいっぱいです。

Online Etymology Dictionary | Origin, history and meaning of English words
 
英単語の語源や今の単語になった過程を調べることができるサイトです。たとえばミリタリー関連の英単語で言うと歩兵を意味する「Infantry」はInfant、
In(否定)fant(話す)→赤ん坊、幼児+形容詞系のry、つまり「(騎士になるには)赤ん坊のように若すぎる=経験不足な奴ら」という意味から来ているのだと、このサイトで知りました。
みなさんが知っている英単語にも、語源まで調べてみると意外な発見があるかもしれません。

好きな本

サルファ剤、忘れられた奇跡
 「人間は1935年までは転んだら死ぬかもしれなかった」、ってご存知ですか?古代の四体液説をいかにして人類は脱却しーーそしてそれまでにどれだけの犠牲が払われどのような❝医療❞がなされ、そして歴史を以前・以後に分ける抗生物質を手に入れたのか。人類と病気の戦いの歴史が分かる本です。

英語の謎
 「昔は全部の単語が不定詞だった」って信じられます?いや信じられるられないじゃなくて「嫌すぎて信じたくない」が?????
そういう「英語そのもの」に関する雑学がまとまった本です。

英国メイドの世界・日本のメイドカルチャー史(上下)
 
世代的なものなのか、所謂メイド喫茶には興味がありませんが使用人文化や所謂メイド服(但しどんなに短くても膝丈のものに限る。ヴィクトリアンメイドこそが最強)には非常に興味があります。
森薫先生の「エマ」「シャーリー」「エマ ヴィクトリアンガイド」が新刊として出てくる世代の人間だったので。ーー当時に「英國恋物語エマ」見ておきたかったなぁ!
 著者の久我真樹さんという人はまさに使用人文化に魅せられ、日本における使用人文化研究の担い手となった方なのですが、その著書の情熱と膨大な情報量は、まさにぼくの理想とする「クリエイターとしてのあり方」、
自分の渾身の一撃で、情熱と興味を徹底的に押し出して、他人を、世界を振り向かせて塗りつぶしてやるというのを体現しておられるようで、尊敬しております。

 「英国メイドの世界」は、使用人の種類や職務内容、どのようなキャリアをたどるか、給料はどのくらいか、どういう人がなるのかなどを徹底的に解説した本であります。
我々ミリオタの興味関心分野に少しだけ関連するところだと、子守をするのが仕事の「ナースメイド」と呼ばれる職務についていた女性の話が興味深かったです。
あの「ふてぶてしいイギリス人」の代名詞とも言えるようなチャーチルが、成人後も、首相になってからも、当時自分を育ててくれたナースメイドと文通をして交流を保っていたというのです。「生みの親より育ての親」は洋の東西を問わず、ですね。
子供が一定の年齢になるとナースメイドと子供とは引き剥がされるらしく、そうして多くの子供は「耐え難い喪失」を経験するというのも、発達心理学の観点から見ても頷ける話です(先生になりたったけどなれなかった人要素)。
日本の漫画でも「ドカベン」の岩鬼が当時の乳母を慕っていたり、「不滅のあなたへ」のハイロの人格(と、最終的に背信者になることにもおそらく)に多大な影響を与えている描写があります。
そう考えると、あのチャーチルですら「喪失」は堪えたんだな、という人間臭い部分が見えてきます。

 日本のメイドカルチャー史は所謂オタク文化に興味がない人にはあまり刺さらない内容かもしれませんが、「オタク文化と言えばメイド」という構図、さながら『女子供の好きなものと言えば巨人・大鵬・卵焼き』に類する構図がいかにして成立していったのか。
それを解き明かす本であり、記述が1970年代における世界名作劇場や少女漫画から始まっているというのも「各論の集合体で総論を作る」ぼくのあり方と似通ったところを感じて非常に好みです。

最近見てやべーと思った動画

DUKWの総生産台数21147台×1台あたりの安全積載容量2300kg=4億8638万トン飛んで100kg、この輸送能力は本当に恐ろしい数字です。
もちろんノルマンディー上陸作戦でも活躍したとのことで。以前のBoBの記事でも指摘したように、ドイツ陸軍はどうやって、DUKWのような輸送手段も、当然これに類する輸送能力もなく、
2年がかりで準備されたノルマンディー上陸作戦ですら5個師団だったのに、それを上回る9個師団による大規模戦域での上陸案を、準備期間が半年もない状態で、提案することができたのでしょうね?

前述のDUKWの総生産台数21147台×1台あたりの安全積載容量2300kg=4億8638万トン飛んで100kg、対してスキ車の生産数198台×積載量2トン=396トン。
工業力の差は歴然なのでさておき、日中戦争の頃に提案されたのにDUKWより登場が遅いあたりも含めて、本当に……おおもう……と言いたくなりますわね。

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