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足し算で読む『アンデッドアンラック』理詰めのバトルとストーリーが魅力

「不死と」「不運に出会ったのが」
「運の尽きだ」

週刊少年ジャンプで連載中の、手足が飛び隕石が降り注ぎ痛快な掛け合いが飛び交う能力バトル漫画『アンデッドアンラック(以下アンデラ)』

死にたがりな不死の男「アンディ」と、触れ合った相手を不運が襲う不幸体質の女「出雲風子」が出会ったことで始まるこの作品は、2人が最高の死を見つけるお話と銘打たれている。

しかし、最高の死への道のりは遠く険しい。この2人のような特殊な能力を持つ人間は「否定者」と呼ばれ、危険な存在として同じ否定者から追われる身となってしまう。

理詰めでハイセンスなバトル描写

アンデラの魅力としてまず挙がるのは、理詰めかつ大迫力のバトル描写だろう。

それぞれの能力には発動条件と効果を定義するルールが設定されており、どんなルールで能力を発動しているのかを探りながら戦っていくことになる。

否定者は世界のルールを否定することで能力を発動している。アンディは死を否定することで不死の能力を得ている、といった具合だ。

最初は相手がどのような能力を持っているかわからない。
しかし一度攻撃を受けた時点で普通なら死んでしまう。

だがアンディは死を否定する不死の否定者「アンデッド」。
相手の能力を身体で受けながら何度も死に覚えを繰り返すことで、ルールを解明していく。

ルールがわかったら、今度は「不運」風子の出番だ。

不運のルールは「より親愛度の高い相手により長く触れ続けることで、隕石を落とすようなより強力な不運を起こすことが出来る」というもの。

アンディは不死を活かした様々な攻撃手段を持つが攻め手に欠ける。

不死のアンディに不運を付与することで、戦況をひっくり返す特大規模の攻撃をすることができるようになる。例えば海底火山を噴火させるような。

不運には本人の知らなかった「不幸は近くにあるものを用いて発動し、近くになければ遠くから呼び起こす」というルールがあった。
不運の効果は予測不可能だと思われていたが、この時には近くに海底火山があったため、想定通りに海底火山の噴火という不運を起こすことができた。

このように自分のルールについて理解を深めていくことで、戦闘の幅が広がりより強力な能力となっていく。

バトルのたびに相手がなにを否定し、どのようなルールで能力を使用しているのかを探ることになるが、その考察する素材の出し方とアンディの探り方が非常に上手い。

また、アンデラでは読者にもキャラクターと同等の手がかりが与えられるため、毎週「こいつはなんの否定者でどのようなルールがあるんだろう」と推理しながら読んでいくのも、この漫画の楽しみ方の1つだろう。

謎が謎を呼ぶ地球の理

アンデラは、バトルだけではなくストーリーにおいても理詰めで進んでいく。

アンデラの舞台は現代世界である。でも、なにかがおかしい。
例えば夜空に星がない。例えば「今日は何曜日?」と聞いても通じない。例えば、銀河が存在しない。

私達の世界と比べてルールが足りていない世界で、罰としてルールが追加されていく。
なぜルールが足りていないのか、なぜルールが罰として追加されていくのか。そうした世界の謎を解き明かしていくことも今後の注目点だろう。

この漫画はそういった小さな違和感を作中にどんどん潜ませていく。
世界観の匂わせに限らず、否定者の能力に関しても同様だ。

否定者の能力が判明したあと、過去の描写を見直すと「ここのこの発言や行動にはこういう意味があったのか!」と驚かされる。

何度も読み返したくなる魅力で溢れたアンデッドアンラック、買うなら今だろう。
なぜならまだ一巻しか出ていないからだ。ぜひ一巻を購入して、擦り切れるほどに読み返して欲しい。

また、ジャンプ+では序盤の3話を無料で読むことができる。
[第1話]アンデッドアンラック/ジャンプ本誌新連載マンガ試し読み
https://shonenjumpplus.com/red/content/SHSA_JP02PLUS00015663_57

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