3月10日:「金ちゃんラーメン」の後悔
まさか金ちゃんラーメンをお取り寄せする日が来るとは。
金ちゃんラーメン。
四国ならどこのスーパーでも手に入る徳島県「徳島製粉」 のロングセラー袋麺。
愛媛の出版社に入社して、新卒から3年間四国で過ごした私にとって「金ちゃん」はあって当然、当たり前すぎて手に取らない、そんな存在だった。そして結局きちんと味わうことのないまま3年前に東京へ引っ越した。
いつかの投稿で、
明星の「チャルメラバリカタ麺」が旨すぎる。もうこれ以外の袋麺はいらない!的なことを書いたことがある。
すると、数日後、愛媛の出版社でお世話になった先輩からDMが届いた。
普段一言、二言しかやりとりしないJパイセンがここまで熱い文章を送ってくるということは、よっぽどの想いがあるんだろう。
さらには私がすすめた「バリカタ」を食べてくれた嬉しさも相まって、アマゾンで即購入することにした。(金ちゃんはもちろん東京には売っていない)
発送最少数が15個と把握して注文したものの、実物が届くとその多さに少し圧倒される。まず置き場所がないので、2袋は押し入れの上の段に放り込んだ。
「バリカタ」を超えるおいしさってどんな感じだろう。想像できないワクワクを胸に、調理。
具なしで食べるのが一番旨いとのことで(そんなことあるんか)、素ラーメンで食べるよう指示されたが、撮影にあたり色味がほしかったので、申しわけ程度のほうれん草を添えた。
一口食べて、あれ?ってなって。
もう一口食べてみて気づく。
味がめっちゃ普通であることに。
違う商品を買ってしまったのかと思うくらいに普通。THE普通スタンダードしょうゆラーメン。
正直にJさんに伝えると「どうかしてるぜ」と返ってきた。
ちなみにJさんの旦那は同じ出版社で、私の元上司だ。Jさんの隣にいた元上司は「トンキンな人になってしもたわ」と笑っていたらしい。
「トンキン」という言葉は初めて知ったけど、どうやら軽蔑されているらしい。私がまだ同じ会社に勤めていたなら減給の危機だったから、辞めた後でよかったと心底ホッとした。
上司が長年愛しているソウルフードに対して「めっちゃ普通」だなんて非常に恐ろしいことだ。
最後まで完食してもやはり普通だった(しつこい)
ただ、アマゾンのレビューには大絶賛の声が多数寄せられているから私の味覚がおかしいのか不安になる。
無理矢理にでも「普通さ」を褒めてみるならば、、
この普通さは日清にもサッポロ一番にも明星にも出せない普通さ。そして老舗だけあってすごく懐かしい、なんとも言えぬ安心感。
おそらく袋麺界では、白ごはん的なポジションなのだろう。
派手な味じゃないから毎日でも食べられる。「バリカタ」はたまにでいいけど、金ちゃんは毎日でもいける。
初回のインパクトというより、2回目、3回目を食べていくうちに、これじゃないとダメだ、金ちゃん!ってなるんだろう。きっとね。
最終的にはJパイセンまで不安にさせてしまった「金ちゃんラーメン」だったけど、久しぶりにJさんとやりとりできたのが懐かしくて、なんかすごく笑ったので買って良かったと思っている。
「袋麺界の白米的な良さが…」みたいなことを言ったけど、あの日以来まだ「食べたい」と思う瞬間が訪れていない。残り14個。