整体の専門学校とはいったいなんだ？

SNSを見ていて驚いたのが、『整体の専門学校』というものが存在することです。
「え？何がおかしいの？？」と思われる方も多いかと思いますが、そもそも、整体というものは定義があいまいであり、そういった国家資格は存在しません。

これから進路を考える高校や大学生、セカンドキャリアとして治療系の資格を取得したいと考えている方は是非進路決定の参考にしてもらえたら幸いです。

そもそも整体ってなにもの？

『整体』という言葉が広く認知され、市民権を得ていますが、整体という言葉の厳密な定義はなく、ふわっとした状態で仕事をしています。

ちなみにネットで整体という言葉を調べてみたところ、多少サイトによって表現は異なりますが、以下のようにまとめられます。
整体とは、『背骨や骨盤のズレ、ゆがみを矯正して筋肉の疲労・コリを取り除く』もの。

なるほど。
では、ここで問題となるのが、そもそも『ゆがみ』というものがあいまいな言葉であり、医学的にもはっきりと定義されていないということです。
前回の投稿で「骨盤矯正」についてまとめているので、こちらも併せて参考にしてもらえたら幸いです。

骨盤矯正。骨盤矯正？｜アスレティックトレーナー・歯科鍼灸チーム｜AcuDent (note.com)

整体師ってだれ？

主に整体師を名乗っているのは、
・カイロプラクター
・民間資格のトレーナー
・（医療系国家資格だけれど）理学療法士や一部の柔道整復師、鍼灸師
などです。

まず、カイロプラクターに関しては、日本で法整備がされておらず、どなたでも名乗ることができてしまいます。きちんとアメリカの専門機関で資格を取得している方もいるとは思います。そうした方の施術であれば安心して受けられますが、日本国内では数日、または短期間の講習のみでカイロプラクティック施術を行っているため、リスクがあります。

次に理学療法士について。理学療法士は医療系国家資格者ですが、開業権がなく、医師の指示のもと、リハビリを行う職業です。しかし、独立してリハビリなどを行いたいとなった場合は、理学療法士として開業することができないので、誰でも名乗れ、かつ認知度が高い『整体師』と名乗っているのです。

そして柔道整復師、そして鍼灸師に関しては、マッサージや指圧をして報酬を得ることを生業としてはいけない国家資格です。マッサージや指圧を生業とするのは『あん摩マッサージ指圧師』のみです。そのため、「徒手による施術もできますよ」というアピールをするための1つとして『整体』という幅の広い言い方をしているのです。

民間資格のトレーナーによる手技やストレッチに関しても、『整体』という言葉のあいまいさ、そして名乗ることへの制約がないので、集客のために利用している言葉と言えます。
つまり、手や指を使ってマッサージや指圧を生業として名乗ることができない人たちが、整体という言葉を借りて、生体に対して刺激を加えるサービスを提供しているのです。

整体の専門学校？？

では、先日SNSで発見した『整体の専門学校』というのはいったい何なんでしょうか？

ホームページを見る限り、学校法人ではないようです。
就学期間は一年間。一般的な専門学校や大学と同じかそれ以上の年間講習費を支払って、整体のノウハウを学ぶというものです。

医療系国家資格であれば、最低3年間、定められた単位を取得しなければ国家試験を受験することができません。一方、そこのカリキュラムでは1年以内で履修が完了し、社会へ出ていくことが可能とあります。
本来であれば3年間という時間をかけて身につける知識や技術を、たったの1年で終わらせることはできるのでしょうか？
また、せっかくそれ相応の費用をかけて学ぶのであれば、きちんと国家資格という形を選択したほうが将来的にも安心できるのではないでしょうか？

就職について

私が見た団体は、就職や開業のサポートもしているようですが、別途費用を徴収していました。
そもそも個人事業主として、自分の看板を掲げて働ける仕事なので、就職難民というのには違和感があります。また、整骨院も鍼灸院もたくさんあります。リラクゼーション系、エステ系のサロンも駅近くにたくさんあるので、選ばなければいくらでも仕事はあります。

ですが、先にも書いた通り、『整体』という職業はなく、法整備もされていないので、守られてはいません。

まとめ

『整体』という言葉のあいまいさについてまとめてみました。
現在も、こうした施術サービスを提供しているお店の事故についてメディアで取り上げられることがあります。多くの場合は、あん摩マッサージ指圧師による施術ではなく、マッサージや指圧の基礎を学んでいない人たちによる事故が大半です。
そうしたことが増えないようにするためにも、今後の法整備をしっかりしてもらいたいと願っています。