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アトピー性皮膚炎 基礎 【前編】

この記事ではアトピー性皮膚炎についての解説を行っていきます。


アトピー性皮膚炎の発症原因

アトピー性皮膚炎の患者の多くは、アトピー素因を持っていることが知られています。アトピー素因とは、家族歴や既往歴があること、またはIgE抗体を生産しやすい素因を指し、湿疹ができやすい体質を意味します。しかし、発症の機序は複雑であり、すべてが遺伝的要因で決まるわけではありません。

皮膚バリア機能の低下、アレルギー性炎症、知覚(かゆみ)、環境要因、黄色ブドウ球菌感染、発汗などが発症に関わる要因として挙げられます。

アトピー性皮膚炎の臨床症状

アトピー性皮膚炎の発疹は、基本的に左右対称に分布し、顔、首、腕や膝の裏などに好発します。以下3つの観点から発症メカニズムを説明します。

  1. 皮膚バリア機能の低下

  2. アレルギー炎症

  3. かゆみ

ではそれぞれ見ていきましょう。

1. 皮膚バリア機能の低下

アトピー性皮膚炎は、外来抗原が体内に侵入することで発症する典型的なアレルギー疾患です。アレルゲンとしては、花粉やほこり、動物の毛などのタンパク質抗原が主に挙げられます。通常、皮膚バリアはこれらのアレルゲンの侵入をある程度防ぎますが、バリア機能が低下すると、大量のアレルゲンが侵入しやすくなり、アレルギー症状が発現しやすくなります。

皮膚バリア機能の低下は、生活習慣によっても引き起こされます。過度に清潔を保とうとする試みが、かえって皮膚を傷つけ、バリア機能を損なうことがあります。例えば、毎日の入浴で体をゴシゴシ洗ったり、入浴後に保湿ケアを怠ったりすることで、皮膚は乾燥しやすくなり、バリア機能が低下します。また、エアコンによる乾燥や過度の発汗もバリア機能の低下を招く要因となります。

2. アレルギー炎症

皮膚バリア機能が低下すると、各種抗原が皮膚内に侵入しやすくなります。私たちの体は、外来抗原に対して免疫応答を引き起こしますが、過剰な免疫応答はアレルギー反応を引き起こします。

アレルゲンに暴露されると、表皮の免疫細胞が抗原を取り込み、抗原特異的なヘルパーT細胞を活性化させます。これにより、Th2型アレルギー反応が誘導され、炎症が引き起こされます。この状況が続くと、炎症やかゆみが持続し、症状が慢性化します。

3. かゆみ

アトピー性皮膚炎の患者の多くが、かゆみに悩まされています。皮膚のかゆみは主にヒスタミンと呼ばれる物質によって引き起こされます。一般的な皮膚疾患では、抗ヒスタミン薬が使用されますが、アトピー性皮膚炎では効果が限定的です。

アトピー性皮膚炎のかゆみは、Th2細胞が産生するサイトカインによって誘導されます。かゆみを伝達する末梢神経を構成するC線維には、ヒスタミン依存性と非依存性の2種類があり、アトピー性皮膚炎のかゆみは主にヒスタミン非依存性のC線維によると考えられています。


ではこれらを鍼灸治療でどのように治療していくのかわたしの経験を踏まえて後編で解説していきます。

*参考図書*


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Yazawa@鍼灸師/よもぎ栽培
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